薬膳と鍼灸のプロに学ぶ!温活その1:食事編

免疫力アップに!冬におすすめの食べ物と取り方のコツ

公開日:2023.12.27

コロナやインフルエンザなど感染症リスクが高まる冬。ウイルスから身を守るためには免疫力を高めることが大切です。免疫力アップのカギは、食事や運動で体を温め、体温を上げること。今回は体を温める食事について国際薬膳師の岡尾さんに教えてもらいます。

教えてくれたのは……岡尾知子(おかお・ともこ)さん

監修者プロフィール:岡尾知子(おかお・ともこ)さん

鍼灸師、国際中医師、国際薬膳師。1962年東京都生まれ。上智大学法学部卒業、東洋鍼灸専門学校卒業。美容・健康エディターとして長年、出版の世界で仕事をするなか、東洋医学に関心をもつ。本草薬膳学院で薬膳と中医学を学び、東洋鍼灸専門学校で鍼灸の専門教育を受ける。鍼灸師として臨床にあたりながら、薬膳教室を主宰。雑誌、新聞、WEBなどで健康に関する情報発信を積極的に行っている。本草薬膳学院講師、つぼみ堂はりきゅう院院長、ロータス薬膳教室主宰。著書に『はじめての薬膳生活』『野菜の事典と薬膳レシピ』(ともに法研)がある。
 

免疫力のカギを握る体温

空気が乾燥する冬は、感染症ウイルスが活発化します。ウイルスに負けない体を目指すには、免疫力をアップさせることが大切。そこで注目したいのが、体を温める「温活」です。

免疫力と体温には深い関わりがあり、体温が高まると免疫力もアップすることがわかっています。体温が1度上がると免疫力が5~6倍アップし、1度下がると免疫力が約30%もダウンするのだとか。

特に40代、50代の女性は更年期の影響で体温調整機能が乱れ、冷えがひどくなる人が多いので注意が必要。体を温める食事などを取り入れて、感染症に負けない体を作っていきましょう。

薬膳で体を温める

体を温める食事でぜひ取り入れたいのが、薬膳の考え方です。

薬膳とは、東洋医学の一つである中国医学に基づく食事療法のこと。「食事は薬を飲むのと同じくらい大切なこと」という考え方のもと、長い歴史の中で体系づけられてきました。

国際薬膳師の岡尾知子さんによると、薬膳では「体を温めるか、冷やすか」「肝・心・脾・肺・腎(かん・しん・ひ・はい・じん)の5つの臓のどこに作用するか」「酸・苦・甘・辛・鹹(塩辛い)の味」によって食材を選んでいくのだとか。

寒い冬に体温を高め、感染症に負けない体を作るには、まず「体を温める食べ物」を選ぶことが大切です。さらに、「腎、肺をサポートするもの」「辛いもの」を上手に取り入れるのもポイント。

「腎」は成長や老化とのかかわりが深く水分代謝やホルモンバランスの調整を、「肺」は呼吸や免疫機能を調節し、病気の元から体を守る役割があります。そして辛いものは、全身の血流を促して冷えを改善する作用が。

「薬膳と聞くと特別な素材が必要なように思われがちですが、スーパーで手に入る身近な食材だけでも、温活につながるおいしい薬膳料理は作れます」(岡尾さん)

具体的にどんな食べ物を取ればいいのか、岡尾さんに教えてもらいました!

冬に取りたい温活食材
 

冬に取りたい温活食材

岡尾さんがおすすめする冬の温活食材は次の通りです。どれもごく身近なものばかりなので、すぐに取り入れられますよ。

1.体を温める冬野菜

  • かぼちゃ……消化機能を助ける温め食材で、血流を良くするビタミンEが豊富。
  • にら……内臓を温める性質があるので、冬は特におすすめ。
  • ねぎ……豊富な辛み成分が体を温めます。
  • しょうが……消化器官を温めるので、冷えからお腹が痛くなりやすい人にぴったり。肺を温める作用もあるので、咳対策にもおすすめです。
  • 冬キャベツ……腎の働きをサポート。カリフラワーやブロッコリーも同じ作用があります。

2.発酵食品も温活に有効

  • 麹……体を温める他、消化を促す作用もあります。麴から作る甘酒を毎日の習慣にしても。
  • プーアル茶……緑茶、ウーロン茶、紅茶、プーアル茶はすべて同じ茶葉から作られますが、発酵が進むほど体を温める性質が高まります。じっくり発酵させて作るプーアル茶は体を温めるお茶です。

3.調味料でも温活

  • 黒砂糖……体の中でも、特にお腹を温める力があります。
  • はちみつ……五臓の「肺」の働きをサポート。風邪などへの防衛機能を高める効果が期待できます。
  • 酢……温める性質に加えて血行を促す作用があります。冷えによる体のコリが気になる人にもおすすめ。
  • シナモン……温め作用がとても強い香辛料。風邪薬にも使われています。

食事法のひと工夫で温活効果がパワーアップ!

食事法のひと工夫で温活効果がパワーアップ!

食事では、体を温める食材を取り入れる他、料理方法や食べ方を少し工夫するだけでも温活効果がパワーアップします。

岡尾さんが教えてくれた温活効果をさらに高めるコツは大きく3つ。感染症にかかりにくい体を作るために、できそうなことから試してみてくださいね。

1.温かいメニューを増やす
食材の中には体を冷やす性質のものもありますが、加熱することで「冷やす性質」が緩和されます。冷えやすい冬は、スープや味噌汁、蒸し料理、鍋料理などを積極的に取り入れて、温かいメニューを増やすようにしましょう。

2.香辛料をトッピング
辛みのある香辛料は、温め&血行促進作用があります。七味唐辛子、こしょう、山椒、カレー粉、シナモンパウダーなどをテーブルに置いておき、好みに合わせてトッピングするだけで、いつもの料理の温め効果がアップします。

3.温め食材に置き換える
よく作る料理の素材を、体を温める食材に置き換えれば、簡単に温活メニューに早変わり。例えば肉類では、牛肉や豚肉よりも、鶏肉や羊肉の方が体を温める作用が高くなります。肉じゃがの牛肉や豚肉を鶏肉に替えたり、白砂糖の代わりに黒砂糖などを使うといった、ちょっとした工夫が温活につながります。

温活メニュー

ハードルが高そうな薬膳ですが、身近な食べ物や少しの工夫を取り入れるだけで、簡単に温活につながる薬膳料理が楽しめるのですね。

「私たちが普段の料理に使う食材の中には、実は漢方薬の材料として使われているものもたくさんあります。しょうがや紫蘇、シナモンなどはその代表格とも言える食材。冬の体をサポートする身近な食べ物をうまく取り入れて、簡単・おいしい温活を実践してみてくださいね」(岡尾さん)

健康維持や病気予防の基本となる毎日の食事。体温&免疫力アップにつながるメニューで、感染症にも寒さにも負けない元気な体を手に入れましょう!

ハルメク365編集部

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