50代女性の仕事事情特集

50代女性こそ「自分再発見」で「仕事再スタート」を

公開日:2019.08.24

人生100年時代といわれる昨今、「働く」ことに対してさまざまな選択肢が増えました。いつまで働き続けるべきか、どんな仕事に就けるのか、どこで仕事を探せばいいのか、50代女性の仕事事情をシニアライフアドバイザーの松本すみ子さんに聞きました。

人生100年時代、何歳まで働くべき?

 「この年でまだ働いているのよ」という人がいますが、働くって素晴らしいことだと思います。外に出れば、新しい人とも会えて、いろいろな体験ができます。家でテレビを見ていても、足腰が弱っていくばかり。人生100年時代。働ける限り働く。一生働いてもいい。私はそう考えています。

現実的にも、女性が夫の年金や貯金に依存して専業主婦として老後を乗り切れるのは、団塊世代までです。今の50代、60代は違います。熟年離婚や死別、夫の病気もあります。いろいろなリスクに備える意味でも、働くことが基本です。

働く女性の就業形態

 

昨今の求人状況は?シニアでも働けるの?

働く女性

60代前半までだったら、引く手あまたです。日本全体の有効求人倍率が1.61倍(※2019年6月の時点)と、とにかく人手不足ですから。後から詳しくお話ししますが、情報収拾が大切です。サービス業、飲食業、介護業界……。そういうところはもちろんですが、探せば業種を問わずいろいろあります。しかも9時から5時でなく、いろんな働き方のできる職場があります。週1回でも1時間でもあるし、その時間も早朝から深夜までさまざまです。

少子高齢化は、国にとってはよくないことですよね。でもそういう働き方ができるのですから、シニア女性にとってはよろしいことですよね(笑)。

再スタートは、自分を見つめ直すことから

これから働き出すなら、自分を見直すことです。働いてきた人なら、その経験がどこで生きるかを考える。どんな仕事をしてきたのか。キャリアを振り返り、自分なりに分析しましょう。分析というと大変に感じるかもしれませんが、心の動きを考えることが大切です。どんな仕事が好きで、どんな時に一生懸命できたのか。反対に、どんな仕事が嫌いだったのか。こういったことを日記を書くみたいな気持ちで、振り返る。そうすると、次にしたいことが見えてくると思います。

「仕事から離れてブランクが長い」とか、「専業主婦だったので何もできない」とかおっしゃる方も多いです。でも、掃除をして洗濯をして料理をして子育てもバッチリしてきた女性たちは、今盛り上がっている家事代行サービスでは貴重な人材。そういう情報を知れば、自分のキャリアに自信が持てると思うんです。

50代女性が仕事を探すなら、求人サイトで

「シニア歓迎」「シニア活躍中」をうたう求人サイトは、「マイナビ ミドルシニア」や「シニア求人ナビ」「人材派遣会社のパソナ」など。
「シニア歓迎」「シニア活躍中」をうたう求人サイトは、「マイナビ ミドルシニア」や「シニア求人ナビ」「人材派遣会社のパソナ」など。

だから、世の中の動きに目を留めていただきたい。主婦のための求人サイトは、いくつもあります。「主婦 求人」などで検索してみましょう。サイトによってターゲットがいろいろ設定されています。

50代の方なら、「シニア多数」と書いてあったり、そこで紹介されて仕事を見つけた50代女性の具体例などが書いてあったりするサイトを小まめにチェックするのがいいと思います。50代はまだシニアではないとお思いかもしれませんが、仕事を探す上では十分にシニアですので(笑)、それをキーワードになさっていただければと思います。正社員の仕事が見つかることも、時にはあります。

「シニア求人ナビ」でも、「経験なし」「正社員」の条件で検索すると、68件ヒット。ドライバー、介護職、家事代行サービスなどの職種が多いようです。
「シニア求人ナビ」でも、「経験なし」「正社員」の条件で検索すると、68件ヒット。ドライバー、介護職、家事代行サービスなどの職種が多いようです(※8月7日時点の検索結果。編集部調べ)
パソナの検索結果
「人材派遣会社のパソナ」のサイトで検索。経験なしの55歳ということで登録してみたところ、3件の派遣の求人がヒットしました。(※2019年7月9日の検索結果。編集部調べ)

外で働かなくても、手作りが得意な方なら作品を売ることもできます。保育園で必要な袋とかバッグとか、買いたいワーキングマザーはたくさんいますし、そういうものを売れるサイトもあります。

そして最近、内職が復活していると聞きます。これもネット検索してみてください。「内職 求人」と入れると、袋詰めのような1件いくらの仕事もありますし、エクセルを使用しての広告制作など時給が最低賃金より高い仕事など、ズラッと並んでいますよ。

8月7日
8月7日時点でのgoogleでの検索結果画面

仕事を辞めてからのブランクについては、再教育のセミナーを受けるという手もあります。各自治体が主催する就業支援のセミナーや、人材派遣会社の再教育を利用するという手段も。働く方にもブランクの不安があるように、雇用する方にも不安はありますから(笑)。 

会社がシニア女性を雇いたい本当の理由

それほどまでしてもシニア女性を採用したいのは、1つには賃金です。若い人は結婚して、子育てをしていくのですから、一定以上の給与が必要です。その点、シニアなら年金もありますし、若い世代より抑えた賃金でも働いてもらえます。

ですが、それだけではありません。シニア女性には柔軟性とホスピタリティーがあります。ここが同じシニアでも男性と違うところです。その点については、次回、詳しくお話しします。

次回「50代女性が働く上で、本当に必要なスキルとは?」を読む

教えてくれた人

松本すみこ

松本すみ子(まつもと・すみこ)

 有限会社アリア元代表取締役、NPO法人「シニアわーくすRyoma21」元理事長。キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、シニアライフアドバイザー。早稲田大学第一文学部卒業。IT関連企業に勤務後、2000年にアリア、2007年にNPOを設立。企業、行政・自治体、研究機関、メディアなどで、シニア世代の動向研究とライフスタイル提案、市場コンサル、講演・講座の企画・講師、執筆活動などを行っている。著書に、『55歳からのリアル仕事ガイド』、『地域デビュー指南術~再び輝く団塊シニア~』などがある。2022年逝去。

矢部 万紀子

1961年生まれ。83年朝日新聞社に入社。「アエラ」、経済部、「週刊朝日」などで記者をし書籍編集部長。2011年から「いきいき(現ハルメク)」編集長をつとめ、17年からフリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』(幻冬舎新書)

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