宮部みゆきさんの小説になる俳句を大募集します!
2024.11.052024年11月05日
第3回の俳句も大募集!
宮部みゆきさんの小説になる俳句、第2回の大賞発表
読者の俳句から宮部(みやべ)みゆきさんが紡いだ物語「善悪の両手を合わせ初日の出」は今月いよいよ完結。続いて募集した「夏の思い出」に1603句が寄せられ、宮部さんの句会仲間「BBK(ボケ防止句会)」のメンバーと選考が行われました。
宮部みゆきさんの小説タイトルになる俳句の第2回選考会が開催
今回もすべての句に目を通した宮部さん。「読者のみなさんの言霊を集めて、一度に見せていただいたような気がします」という中で、大賞の句は「鞍下し虹のアーチで馬洗う」に即決。
「虹のアーチの景色がパッと浮かびました。このシチュエーションは私一人では絶対に思いつけません。アーチという言葉から時代物にはできない。少なくとも昭和以降の物語にしないとこのモダンさが小説には出ないと、意欲が湧いてきました」
他に目にとまったのは「河骨やここに棲むもの潜むもの」。「河骨は、7月頃に黄色い花をつけるスイレン科の植物でこの句に出合うまで季語だと知らず勉強になりました。水面に咲いている花の下に何が棲んで何が潜んでいるのか……美でもありホラーでもありますね」と宮部さん。
「俳人の方に、俳句は写実に始まって写実に終わると伺いました。写実の中に人の心や思いの動きみたいなものが透けて見える句が今回選ばれたと思います」
後列左からBBKの薄露さん、石杖さん、灰酒さん。前列左から衿香さん、宮部さん、美猫さん。投句された手紙やはがきとともに。
真剣かつなごやかな雰囲気の中、楽しく選句が検討されました。
<<宮部みゆき大賞>>
【夏の思い出】
鞍下し虹のアーチで馬洗う
西村憲子(にしむら のりこ) さん(74歳・奈良県)
色が浮かぶ、すごい写実なのですが、馬を洗って虹が見えている幸せとか、いろいろな思いを託すことができる素敵な句です。
宮部みゆき大賞に選ばれた句が小説のタイトルになります!
1月号(12月10日お届け)から「春」の小説がスタート予定です。
<<優秀賞>>
虫干や父の背広と手沢本
えみこさん 76歳 新潟県
紙破り逃げし金魚の尾の長き
森ミツ子さん 89歳 東京都
蜜豆や十年分の話して
松浦姫りんごさん 67歳 大阪府
恙なき一日を崩す冷奴
やすこさん 89歳 山口県
河骨やここに棲むもの潜むもの
悦仙(えっせん)さん 66歳 東京都
優秀賞に選ばれた方にはハルメク商品をプレゼントします。
<<ハルメク賞>>
出棺や未練もたたみ黒日傘
ひなさん 79歳 東京都
ここからはひとりで帰れアワダチソウ
滋野(しげの)さちさん 77歳 青森県
正直に話せばわかる夏簾
稲葉佐代子(いなば さよこ)さん 80歳 茨城県
二歩先の夫と揃ひの登山靴
ふじのすそのさん 65歳 兵庫県
蛇のあと一叢冷たき風起る
小坂優美子(こさか ゆみこ)さん 77歳 富山県
龍神の星のまほらや遠河鹿
かをるこさん 80歳代 三重県
風に声あり庭先に蟇鎮座
えみこさん 76歳 新潟県
夏の日やこだまの自由席一つ
けんじさん 72歳 福岡県
風鈴の機嫌は風にあるらしき
横田真智子(よこた まちこ)さん 71歳 群馬県
蛇苺老女は海を忘れたい
宮園(みやぞの)こすもさん 68歳 東京都
ハルメク賞に選ばれた方にはハルメクポイントをプレゼントします。
第3回の公募をスタートします!
続いて、第3回の俳句を募集します!
兼題:「秋の楽しみ」「冬休み」
「秋の楽しみ」「冬休み」をテーマに、ぜひ編集部までご投句ください。※未発表の句に限ります。
応募方法について、詳しくはこちらのページをご確認ください。
- 宮部みゆき大賞 「秋」「冬」各1名
宮部みゆきさんが選考、タイトルから発想した小説にし、ハルメク本誌で掲載後、単行本に収録。別途和綴じのオリジナル小冊子もプレゼントします。
- 宮部みゆき優秀賞 「秋」「冬」各5名
宮部みゆきさんと句会仲間BBKのメンバーが選考します。ハルメク 通販の人気商品をプレゼントします。
- ハルメク賞 「秋」「冬」各10名
ハルメク 通販などで使えるハルメクポイント1000ポイントをプレゼントします。
募集締め切り
2025年2月28日(金)必着
発表予定
2025年6月号(5月10日お届け)以降の雑誌「ハルメク」およびハルメク365にて
応募方法
応募方法について、詳しくはこちらのページをご確認ください。
宮部みゆきさんのプロフィール
1960(昭和35)年東京都生まれ。法律事務所等に勤務の後、87年『我らが隣人の犯罪』でデビュー。99年『理由』で直木賞受賞。2001年『模倣犯』で毎日出版文化賞特別賞、司馬遼太郎賞、芸術選奨文部科学大臣賞文学部門を受賞。07年『名もなき毒』で吉川英治文学賞受賞。22年菊池寛賞受賞。
取材・文=原田浩二(ハルメク編集部) 撮影=中川まり子