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2019年11月30日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
食事を作ろうとしたときに「あ! 調味料が切れてた」ってことありませんか? 慌てて娘に「みりん買ってきて!」と頼んだら、買ってきたのは「本みりん」ではなく「みりん風調味料」でした。
とりあえず、みりんだからいいだろうと思っていたら、みりん風調味料を買ってきた娘に「違いは何なの?」と聞かれ、二つの違いをはっきりと説明できなかったのです。いったいなぜ2種類のみりんと名の付くものが存在するのでしょうか? その違いが気になったので調べてみました。
「本みりん」は、蒸したもち米、米こうじ、焼酎やアルコールを原料に、40日~60日間かけて糖化・熟成させて造られます。日本食の材料には米こうじを使ったものが多く、みそ・しょうゆ・甘酒などにも米こうじは原材料の一つとして使われています。この米こうじが発酵することによって、もち米のデンプンやタンパク質が分解され、本みりん特有の風味が形成されるのです。また、ブドウ糖やオリゴ糖などの多種類の糖が含まれているため、砂糖に比べてまろやかな甘みが出ることが特徴です。
本みりんの歴史は、戦国時代(16世紀)までさかのぼります。当時のみりんは、甘い飲用酒として親しまれていました。江戸時代後期(19世紀)になると、ウナギのたれやそばつゆ用に調味料として活用されるようになりました。明治から戦前にかけては、みりんはまだぜいたく品であり、日本料理店などで使用されることが多かったようです。昭和30年代にようやく一般家庭にも普及し、日本食の代表的な調味料の一つになったのです。
本みりんの特色として、以下が挙げられます。まさに日本食に欠かせないことばかりですね。
・食材の表面に「照り」と「つや」を付ける
・上品でまろやかな甘みがある
・味がしみ込む
・本みりんの「糖類」と「アルコール」が煮崩れを防ぐ
・もち米から生まれる「アミノ酸」や「ペプチド」などがうま味を与える
・アルコール分が食材の臭みを消す働きもある
一方、「みりん風調味料」はブドウ糖や水あめなどの糖類・米・米麹・うまみ調味料・香料などを短時間で調合し作られ、アルコール度数は1%未満です。このアルコール分の違いが、主にみりんとみりん風調味料の違いなのですね。
「本みりん」はアルコールとしての取り扱いになるため、酒税がかかり、酒類販売免許のある店でしか購入できません。これに対して「みりん風調味料」は酒類として扱われないため、価格が「本みりん」より安くなっています。
加熱してアルコール分を飛ばすことによって照りやうま味が出る「本みりん」に対して、加熱を必要としないドレッシングや和え物には、アルコールがほとんど含まれていない「みりん風調味料」の方が適しています。
しかも「みりん風調味料」は本みりん同様、糖度が高いので、本みりんと同様に照りやつやを付けたい料理に使うこともできますが、塩分も含まれているため、使用する際には塩分の調整が必要です。
本みりんとみりん風調味料には、保存方法にも違いがあります。アルコールを多く含んでいる本みりんは、直射日光の当たらない場所での常温保存が適しています。これは、本みりんには糖類も多く含まれているので、低温で保存すると糖分が結晶化してしまうこともあるからです。
対してみりん風調味料は、本みりんと違ってアルコール分が少なく保存性が低いため、冷蔵庫での保存が適しています。長期保存には向いておらず、開封後は早めに使い切るようにしましょう。
本みりんとみりん風調味料の違いがわかったことで、今度からは目的別に買えるし、レシピの幅も広がる気がします!
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イラスト:飛田冬子