啓蟄という季語をご存じですか?
2022.03.112023年05月05日
素朴な疑問
季語の「風薫る」の意味とは?使い方や由来も!
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
同級生から数年ぶりに手紙が届きました。書き出しに「風薫るさわやかな季節となりましたが、お元気ですか? 」と書いてあります。
風薫るって、なんだか響きが素敵だわ。俳句の季語のようだけど、春の季語と夏の季語、どっちなのかしら? 意味や由来などをきちんと調べてからお返事を書きたいと思います。
風薫るの意味・由来
「風薫る」は、新緑の季節、若葉を吹き渡るさわやかな初夏の風という意味です。歳時記によると、「風薫る」が夏の季語として使われるようになったのは元禄時代だそう。
もともと漢語の「薫風」を訓読みして和語化したもので、平安時代には花の香りを運ぶ春の風を意味する春の季語として用いられることが多かったのですが、徐々に新緑、若葉の頃の風を指す言葉として使われるようになりました。
ちなみに「風薫る」程度の風速よりもう少し強くなると「青嵐」になります。俳句では「アオアラシ」と訓読みすることが多く、初夏の頃から吹くやや強い風のことを指します。
風薫るの使い方
俳諧では、はっきりとした季感をもって用いられている「風薫る」。松尾芭蕉や与謝蕪村などの有名な俳人から現代の俳人まで、「風薫る」を以下のように夏の季語として使っています。
「風かほる羽織は襟裳つくろはず」松尾芭蕉
「さゝ波や風の薫の相拍子」松尾芭蕉
「青のりに風こそ薫れとろろ汁」与謝蕪村
「薫風や恨みなき身の夏ごろも」蕪村
「帆をかふる鯛のさほきや薫風」宝井其角
「風薫れ風鈴の銘も小倉山」斯波園女
「杉くらし五月雨山風かをる」加藤暁台
「風薫る暮や麹の茶の給仕」岩間乙二
「薫香や蚕は吐く糸にまみれつつ」渡辺水巴
「空間を縦横に切り風薫る」長谷川櫂
俳句の他には「かぜかをる軒のたちばな年ふりてしのぶの露を袖にかけつる」(藤原良経)などのように和歌にも詠われました。
また、季語としてだけでなく「風薫る五月」といったように、手紙などでの決まり文句として用いられることもあります。
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イラスト:飛田冬子