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- 白洲正子さん「気を張って生きる」素敵な年の重ね方
「ハルメク」でエッセイ講座を担当する随筆家・山本ふみこさんが、心に残った先輩女性を紹介する連載企画。今回は、随筆家「白洲正子」さんです。著書・名言・姿勢から見えてくる「いい顔をしたお婆さん」になるための生き方のヒントとは…。
好きな先輩「白洲正子」さん
1910-1998年随筆家
東京生まれ。幼い頃より能を学び、14歳で能の舞台に立つ。その後、米国留学し28年帰国。翌年白洲次郎(1902-1985年)と結婚。古典文学、工芸、骨董、自然などについて随筆を執筆。『能面』『西行』など著書多数。
能の世界から始まった「アニミズム」という考え
白洲正子。この名を聞いて思い浮かぶキーワードは「ほんもの」(「本質」と云<い>い換えられるかもしれません)、「眼力」、そして「骨董」と「能」。夫・白洲次郎の存在も忘れてはいけませんね。
4歳のときみずから能を習いはじめ、正子は14歳(1924年)で女性として初めて能舞台に立ち、「土蜘蛛」を舞いました。能と出合い、その世界に飛びこんで舞いつづけた行動力は並大抵ではなかったはずです。
初めてわたしが意識したとき、白洲正子は70歳代(1980年代)を生きていました。骨董を探し扱うひと、随筆家とだけ思っていたのは、わたしにはまだ、彼(か)のひとを知る準備ができていなかったからだと思われます。
それがあるとき、「アニミズム」ということばを手がかりに、くっと惹きつけられます。アニミズムは、自然界のあらゆるものに宿る霊性に対する信仰の意味です。
「私がアニミズムという信仰ともいえないような信仰を身につけたのも、深く掘りさげれば元はお能にあると思う」(『白洲正子自伝』新潮文庫)
この一文に接したわたしは驚き、勇気づけられました。自分が(誰もが)持って生まれた信仰心について考えていた時期でした。これまで関わったすべてのことを元としてわたしもアニミズムを身につけたい!と思ったものです。
老後を思い煩ったりせず、気を張って生きる
こうしてやっとのことで白洲正子という存在に心づいてからというもの、著作を読むようになりました。たまげたのは、若き日の白洲正子の恐ろしいまでのうつくしさと、結婚相手の白洲次郎の美男ぶりです。かっこいい!
かっこいいのはことばも、です。
「明日はこないかもしれない。そう思って生きてるの」
本が売れたけれど、税金を納めて骨董を買って、孫たちにご馳走をしたら、お金はちょっぴりしか残っていない、というときの発言です。老後を思い煩ったりせず、気を張って生きることが大事。そう発破をかけられたような気がしませんか?
それから、こんなのもあります。
「ひとは見た目がすべてよ」
生まれつきの目鼻立ちのはなしではありません。あなたもわたしも、いい顔をしたお婆さんにもなれよう!という、そういうことでございます。
参考文献 『いまなぜ白洲正子なのか』(川村次郎/新潮文庫)
随筆家:山本ふみこ(やまもと・ふみこ)
1958(昭和33)年、北海道生まれ。出版社勤務を経て独立。ハルメク365では、ラジオエッセイのほか、動画「おしゃべりな本棚」、エッセイ講座の講師として活躍。
※この記事は雑誌「ハルメク」2018年2月号を再編集し、掲載しています。
>>「白洲正子」さんのエッセイ作成時の裏話を音声で聞くにはコチラから
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