即戦力として、役立つ資格とは?

50代、キャリアアップのために資格を取る価値は?

公開日:2020.05.06

更新日:2023.08.04

子育てがひと段落し50代からもう一度働きたい、今の仕事からさらにキャリアアップしたい、と考えている方も多いのではないでしょうか。「資格を取って手に職を」は魅力的ですが、実はいろいろと落とし穴が! 有効な資格や、欠かせない資質を解説します。

教えてくれた人 前川孝雄(まえかわたかお)さん

  前川孝雄(まえかわたかお)
(株)FeelWorks 代表取締役/青山学院大学兼任講師
1966 年、兵庫県明石市生まれ。 (株)リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』『ケイコとマナブ』などの編集長を務めたのち、2008 年に(株)FeelWorks 設立。「上司力研修」「50 代からの働き方研修」などで 400 社以上を支援。2017 年に(株)働きがい創造研究所設立。一般社団法人企業研究会 研究協力委員、ウーマンエンパワー賛同企業 審査員なども兼職。著書は『「仕事を続けられる人」と「仕事を失う人」の習慣』(明日香出版社)、『5人のプロに聞いた!一生モノの 学ぶ技術・働く技術』(有斐閣)、『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(ベストセラーズ)など30冊。

最新刊『50 歳からの逆転キャリア戦略』(PHP 研究所)は、発売2か月で 4 刷のベストセラーに。キャリア・働き方・人材育成のヒントをYouTubeで発信中!「FeelWorks前川孝雄のYouTubeチャンネル」https://www.youtube.com/channel/UCQfltGZFasnuK0BWQA8BSjg

資格さえあれば、キャリアは形成できる?

資格勉強は、シニア女性に必要か?

 コツコツと資格の勉強を続け、無事に取得できたときにはとてもうれしいものですよね。その資格が仕事に関わる内容であれば、転職の際のアピールポイントとなるかもしれません。

その一方で、資格を多数持っているからと言って、必ずしも転職やその後のキャリア形成につながるわけではないようです。

今回は、『50歳からの逆転キャリア戦略』(PHPビジネス新書刊)など、多数の著書があり、400社以上で人材育成のコンサルティングを行う株式会社FeelWorks代表取締役の前川孝雄さんに、キャリア市場での資格の価値について伺いました。

 

求人を見極めて、取るなら即戦力になる資格を

介護職の資格なら即戦力に

世の中には、特定の資格がなければ働くことができない仕事が多くあります。例えば、常に人手不足の介護や福祉の職種など、資格を持っていることで現場の即戦力となるケースがあります。

一方で、なんとなく「転職の際に有利かもしれないから」という理由で資格取得に励む女性も見受けられます。中には、「好きを仕事にしたい」と考えて、いろんな資格の勉強をしているケースは珍しくありません。

とはいえ、もし50代の女性が転職や再就職を望んでいるのであれば、資格取得に時間とお金をかける前に「世の中がどうなっているのか」「求人市場がどうなっているのか」「どんな求人があるのか」をまずきちんと把握しておいた方が合理的だと思われます。

求人市場を把握した上で、「自分のやりたいこと」と「市場に求められていること」が重なる部分にアプローチをしていく方法です。

資格を取得している女性は、とても勉強熱心な方が多いのですが、一つの資格を取得して、キャリアアップの名目でまた別の資格取得を目指す……ということを繰り返し、目的と手段があいまいになってしまっているケースも見受けられます。

もちろん、資格を取ることで自分の人生の可能性を感じられるという効果はありますし、学ぶことは人生を豊かにするためには大切なことです。でも、もし漠然と「転職に有利になるから資格を取る」という理由なのであれば、遠回りになっている場合もあります。

 

今後、資格の価値が揺らぐ!? 今後働く上で必要な資質とは?

世の中には特定の資格がなければ働けない仕事が数多くありますが、直接仕事に直結しない資格も数多くあります。

一方で、目指した資格を無事に取ることができても、近い将来「資格の勉強のためにテキストの内容を丸暗記したこと」が、その後の職業人生で役に立つとは限らない時代が到来するとも予想されています。

なぜかというと、膨大な情報を正確に記憶し、迅速に情報処理することは、AI(人工知能)の得意分野だからです。業務独占資格であった、社労士や行政書士、税理士、弁護士という難関資格ですら、その価値が今、揺らぎつつあります。

その逆で、しかるべき時に必要な情報を取り出して、個別のケースに応じて実践的に使いこなす思考能力はますます大切になってくると思われます。
    
さらに、今後も変わらぬ価値があるのが、「人間関係構築能力」です。

社内外の人間関係は基本的には面倒くさいものではありますが、それを上手にやっていける人は、どこに行っても重宝されるでしょう。企業が採用時に重視する「人柄」といってもよいかもしれません。

キャリアにブランクのある40~50代の女性の中には、資格を取得することで自信を満たそうとうする傾向も見られます。

それで自信のあるふるまいにつながるのであれば、それは意味のあることです。とはいえ、転職や再就職の際には、採用の決定打になるわけではないことを心得ておいた方がいいかもしれません。

 

編集部が調べた職を得やすい資格

  • 「介護職員初任者研修」から始める介護の資格

常に人手が足りない業界で、介護職自体にも年齢制限がないため、50代以上の女性でも仕事を得やすい資格といえるでしょう。実務を重ねていき、介護福祉士やケアマネージャーといった資格を取得することでキャリアアップも可能です。

介護職のキャリアをスタートさせるなら、まずは介護実務の入門資格「介護職員初任者研修」を取得しましょう。その後実務者研究を3年間受けることで、「介護福祉士」の受験資格を得ることができます。

>>実際に、異業種の「介護職」に50歳目前で転職をした女性の体験談
 

  • 登録販売者

登録販売者は、薬剤師でなくても医薬品を販売できる専門資格です。実務経験がなくても取得することができます。

2009年の薬事法改正によって、コンビニエンスストアやスーパーなどの一定の条件を満たした店舗で第二類医薬品、第三類医薬品を販売することができるようになったという背景で、新設された資格です。店舗で医薬品に関する相談を受け、販売することが求められます。

筆記試験に合格すれば資格を取得できますが、資格取得の前後5年間のうち2年間、薬剤師または店舗管理者(管理代行者)になれる登録販売者のもとで実務を積む必要があります。医薬品の相談だけでなく、ドラッグストアでのレジ対応や品出しといった肉体労働も求められます。

取材・文=北川和子

※この記事は2020年5月の記事を再編集をして掲載しています。

■もっと知りたい■

>>50代からの仕事特集


■前川孝雄さんの著書はこちら

50歳からの逆転キャリア戦略 「定年=リタイア」ではない時代の一番いい働き方、辞め方 (PHPビジネス新書)

 

■参照サイト

ハルメク365編集部

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