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- 異業種の「介護職」に50歳目前で転職をした理由
働き続けることが当たり前になった時代。50代からの女性は、どんな働き方をすればいいのでしょうか?「50代からの転職シリーズ」では、実際に転職した女性の仕事内容と収入をつまびらかにします。初回は、「介護職」に転職したK・Kさんをご紹介します。
50代はキャリアプランを見つめ直す時期
2019年、金融庁の報告書にあった「老後には2000万円必要」という記載は、これから老後を迎える世代に大きな衝撃と不安を与えたのは記憶に新しいところです。
「人生100年時代」といわれる今、すべての世代の男女にとって「仕事を持つ」という選択肢が大きな意味を持つようになっています。
ところが、日本の女性の労働力率に目を向けると、今、50代以上の女性が結婚や出産のピーク期を迎えていた1995(平成7)年には30代前半の労働力率は5割まで落ち込んでいますが、2014(平成26)年には45歳~54歳の8割弱が働いています。いわゆる「M字カーブ」の現象です。
一度仕事を離れた女性たちの多くは、非正規雇用での働き方を選んできました。しかし、人生100年時代。ずっと働き続けることを考えると、50代は自分のキャリアプランを見つめ直し、転職や働き方について真剣に考える女性が多い時期だといえるのではないでしょうか。
女性の働き方を探る「50代からの転職」シリーズ第1回目でご紹介するのは、50代を目前に介護職に転職したK.Kさん(62歳・静岡県)。まずは介護職に転職した理由と現在について、今の思いを語ります。そして、2回目、3回目では、転職方法と収入についてお伝えします。
介護職13年目K.Kさん(62歳)の仕事内容
今の私の仕事は、通所介護(デイサービス)の施設での介護職です。平日の8時半から17時半までフルタイムの正社員として働いています。
仕事の内容は、要介護、要支援の利用者の送迎、入浴、食事等の介護、リハビリ、レクリエーションの提供などです。
数年前から、介護の仕事をしながら「生活相談員」として利用者や家族の相談業務も担うようになりました。
50代を目前に転職をした理由は……
以前は、製本やDM発送を受託している会社の事業所でパート勤務をしていました。
その仕事を始めたのは、30代半ばでした。3人の子どもがまだ学生だったのに加え、同居する高齢の家族が3人もいたので「家族に何かあってもすぐに対応できるように」という理由で、正社員ではなくパート勤務をしていました。自宅から車で15分の近距離の職場で通勤も便利でした。
ところが、10年以上勤務した49歳の頃、その事業所が閉鎖することになり、パート社員の多くは退職を余儀なくされました。しかし、その頃のお財布事情はつらい状況でした。子ども1人を国立大学、2人を私立大学に進学させた後で、貯蓄額はかなり目減りしていたんです。ようやく子どもたちが手離れして、貯金ができると思っていたのに……。老後のことを考えると、「働かない」という選択肢はありませんでした。
失業保険をもらいながら、役に立てばと何となく「ヘルパー2級」の資格を取得。知人の紹介で、デイサービス施設で働き始めることに。
仕事を変えるときに悩んだこと・考えたこと
私が21歳で嫁いだ家は、農家で本家。子育てに加え、親戚付き合いや近所付き合いが大変で、さらに同居していた義理の祖母の介護、障害のある夫の叔父のケアなど、さまざまなことが続き、「時間にゆとりのある生活」とは無縁な生活でした。
ですので、「新しい勉強をする」というのはとても新鮮な体験でした。と同時に、失業保険もいただいてるし、この際だからのんびりとした時間を楽しんでもいいのかもしれない……とも思っていました。
資格の勉強をしているときには「いずれ資格が役に立つ日がくればいいな」程度に考えていましたが、思いのほか転職先が早く見つかり、働く覚悟を決めるのに勇気がいりました。
働くかどうかを決める前に、紹介されたデイサービス施設で仕事を体験してみたのですが、これまでの仕事内容とは違って、体と心をフル活用する仕事。「これを毎日続けるのは大変かもしれない」と自信がなくなり、断るつもりでいました。
ところが、当時の施設長がとても優しい方で、不安に寄り添って話を聞いてくれたので「少しだけ続けてみようかな」という気持ちになりました。
そうして続けていくうちに、徐々に介護の仕事にやりがいを覚えるようになっていきました。
13年働いてみて大変な時期もありましたが、「こんなに奥の深い仕事はない」と、今は誇りを持っています。
入浴介助の当番の日には、腰やひざが痛む日もありますが、今のところはおおむね健康。もし、フルタイム勤務がきつくなったら働き方を変えながら70歳くらいまで働いて、利用者さんに寄り添っていきたいと思っています。
健康でなければ働き続けられないので、毎日忙しいですが、疲れていても簡単な料理をして兼業農家の夫が育てた野菜をたっぷり食べるように心がけています。
次回は、具体的にK・Kさんが、資格勉強を始めたきっかけと転職で苦労したことをお伝えします。
取材・文=北川和子
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