年金大改正!1円でも年金受給額を増やそう特集#4
加入年齢が延びたiDeCoを50代が利用すべき理由
加入年齢が延びたiDeCoを50代が利用すべき理由
公開日:2022年02月04日
年金大改正でiDeCoに加入しやすくなった!

社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの井戸美枝さんによると、今回のiDeCoにまつわる改正は「誰もが老後の資産形成に取り掛かりやすくなった、とてもよい改正」と歓迎します。
具体的にどう変わったのか見てみましょう。
■改正前
- iDeCoの加入可能年齢20歳から60歳未満
- 受給開始年齢は60歳から70歳の間で自由に選べる
■改正後
2022年5月以降は、
- 加入可能年齢が60歳未満から、 65歳未満に延長される
- 受給開始年齢が60歳から75歳の間で自由に選べる
- 企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入の有無に関わらず、iDeCoに加入できるようになる
そもそもiDeCoは加入の際も引き出す際も税金の優遇があり、少額から資産運用を始められる制度。ごく小規模に始められる分、長期にわたって運用することで利益が上がる仕組みです(元金が保証されるわけではありません)。
今回の改正で加入可能年齢・開始年齢がともに5年間延びたことで、これから始める人にもすでに始めている人にもメリットが生まれました。
また、会社員で企業型DCに加入していたために、iDeCoへの加入を諦めていた人にとってもこの改正は朗報。誰もが、iDeCoによる老後の資産形成に着手しやすくなったのです。
加入年齢の引き上げで関係ある人とメリット

もう少し具体的に、誰に・どう影響するのか考えてみましょう。
加入可能年齢が拡大されるのはこんな人
1.60歳以降も国民年金に任意加入している人
- 国民年金の保険料納付済期間が40年(満期間)に達していない人が、60歳以降も加入継続を希望するケース
- 海外に居住している人が老後に国民年金を受け取れるよう加入を希望するケース
2.仕事を続けていて、厚生年金に加入している人
- 60歳以降、厚生年金に加入しているケース
注意: 60歳までに国民年金保険料を満期間納入済みの人で、60歳以降厚生年金に入っていない人は対象外。満期間納入済でも厚生年金に入っていれば対象になります。
少しでも長く働いて厚生年金に加入すれば、国民年金が満期間納入済でもiDeCoに掛け金を拠出できる上に、厚生年金も増やせるメリットもあります(厚生年金に関しては、第3回を参照してください)。
つまり、「今さら始めても……」と諦めていた50代後半の人でも、iDeCoを始めるメリットがある、ということです。
「国民年金の保険料が満額納入できていない人や老後資金に不安のある人も、60歳以降にお金を増やすチャンス。何といってもiDeCoの魅力は、節税効果が大きいことです。掛金がすべて所得控除になるため、所得税や住民税が軽減。また運用益も非課税ですし、引き出すときにも税金の優遇があります。この低金利時代、普通預金に預けていてもお金は増えません。だったらiDeCoに加入して老後に備えた方がメリットは大きいでしょう」と井戸さん。
また、少しでも年金を増やすために公的年金を繰り下げ受給する場合にも、iDeCoが役立つと井戸さんは言います。
「受け取り開始年齢が75歳まで延長されましたが、60歳から受け取れるのは今までと変わりません。少しでも若いときからiDeCoに加入してお金を積み立てておき、公的年金の受給は繰り下げて増額を図る。待機期間中に先にiDeCoの受け取りを開始して、無年金の期間の収入に充てるのも手です」
そのためにも、注意せねばならない点が一つ! それは、年金を繰り上げ受給しているとiDeCoには加入できないこと!
「繰り上げ受給してしまうと年金も減額されますし、iDeCo加入もできません。何歳から、何を・いくらもらうのが賢いのか、年金の受給開始年齢を考える際、iDeCoのことも合わせて考えたいですね」(井戸さん)
iDeCo加入でどのぐらい資産は変わる?シミュレーション

iDeCoに加入することで、どのくらいの税制上の優遇額と運用益が見込めるか試算してみました。
例)年収120万円の人が、毎月2万円を55歳から65歳までの10年間で拠出、運用利回り3%で15年運用、70歳から受け取った場合
税制のメリット:年間3500円
運用時のメリット:積立元本240万円+運用益83万3168円(運用益の通常課税対象にあたる16万9358円は非課税に)
井戸さんおすすめのシミュレーションサイトは、「ろうきん」のiDeCoシミュレーション。2022年1月時点では年金改正前の条件でしか設定できませんが、掛け金の額や受け取り方を決める上でも役立つので、一度利用してみては?
iDeCo加入の注意点!

iDeCoは定期預金や投資信託、保険などで積み立てをする仕組みです。しかし、定期預金では利息は増えません。利益を得ようとしたら、値動きのある投資信託に拠出するのが一番ですが、値動きのある商品なので、短期間では元本割れする可能性もあります。iDeCoは長期で運用してメリットが出るしくみ。じっくりゆっくり育てていきましょう。
60歳まで引き出せないため、収入がない・月収の6か月から1年分程度の預貯金がない人は、
- 積立預金などで基本的な資金力をつける
- 無理のない範囲の掛け金でiDeCoを始める
など、無理のない範囲から始めましょう。1年に一度、掛け金の額を変更することができますので、無理なく継続できる設定を心掛けましょう。できれば投資信託で、それも投資先が分散されたファンドで長期に積み立てていくこと。ご自分がどの程度のリスクに耐えられそうかも検討しておきましょう。」(井戸さん)
長生き社会を不安に思って、じっと65歳になるのを待っているだけでは、資産は1円も増えません。
今回の年金大改正をじっくり研究して、
- 少しでも若いうちから対策を考え、 国民年金・厚生年金の受給開始時期をシミュレーションしてみる
- 少しでも長く働き、厚生年金に加入することを考え、現在の仕事を見直す・将来の就職を考える
など、対策を講じておきましょう。
いよいよ最終回の次回は、会社員の夫+専業主婦/共働き夫婦/自営業夫婦/おひとり様、それぞれプロフィールの違うケーススタディで、今回の改正内容を踏まえてどうすれば受け取る年金を増やせるか、シミュレーションしてみます。お楽しみに!
教えてくれた人

井戸美枝さんのプロフィール
いど・みえ CFP(R)、社会保険労務士、経済エッセイスト。前社会保障審議会企業年金個人年金部会委員。国民年金基金連合会非常勤理事。年金制度やお金との上手な付き合い方、老後資金の考え方などをわかりやすく、テレビやラジオ、雑誌、新聞、オンライン記事などで多彩に発信している。近著に『今すぐできる!iDeCoとつみたてNISA超入門』(中野晴啓と共著:扶桑社)がある。公式サイト
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