貯まる人になるための「大人のマネー学」#24
年間50万円!?「推し活のための費用」はいくらまでなら許される?
年間50万円!?「推し活のための費用」はいくらまでなら許される?
公開日:2026年03月13日
50代女性に目立つ「推し活費用」計上

私はファイナンシャルプランナーとして、個人の方からお金回りのご相談を受けています。相談者の方には、当日までに1年間の支出状況をシートにまとめてきてもらうのですが、これがなかなか興味深い。
心の中で(どんなお金の使い方をしているかな)(無駄があるのはどこだろう)と思いながら、項目ごとに1行ずつ確認します。お金の使い方は100人いたら100通りなので、シートからはその人・その家庭の暮らしぶりが見えてきます。
最近のトピックは「推し活費用」。以前なら「趣味にかかるお金」の欄に記入していたのでしょうが、最近は自由記入欄に「推し活費用」と費目を独立させる人が増えており、なかでも50代女性に目立ちます。
自分の「推し」を応援するための活動費ということですね。ライブのチケット、グッズの購入費用にとどまらず、遠隔地まで出掛けていく交通費、宿泊費など。遠征するときは、推し活仲間と前泊・後泊して、ご当地グルメを食しながらのおしゃべりタイムに使う飲食費もかかるでしょう。
「推し活費用」を計算してみると、年50万円!?
50代は、子育てが終了して自由に出掛けられるようになったのだから、推し活適齢期なのでしょう。ですが、推し活費用、「1年間」でいくら使っているか、計算してみたことはありますか?
なんと、年間50万~60万円も使っているケースは少なくないのです。全国ドームツアーがあると、すべての会場のチケットを買うのが真のファンとおっしゃる強者もいました。
いいんですよ。推し活をしている間は、非日常ですから、日々のつらいことを忘れることができますし、リフレッシュすることで明日からまたがんばれます。
ただ、ファイナンシャルプランナー(FP)として心配なのは、推し活費用が多い人は貯蓄があまりできていない傾向があること。どういうことでしょうか。
貯蓄ができていなくて「推し活費用」が多いのは考えもの
50代は、老後資金作りのラストスパートをかける「最後の貯めどき」です。なぜなら、60歳以降も働くつもりがあっても、多くの企業は再雇用社員の給与を大幅に下げます。私は、定年以降、年収が大きく下がることを「収入ダウンの崖」と名付けました。
60代前半は、収入が減るので貯めることはできないけれど、せめて収支トントンを目指しましょうねとアドバイスしています。
そして65歳になると、公的年金がスタートしますが、年金だけでは暮らせません。そこで、蓄えた老後資金を少しずつ取り崩しながら暮らしていくのです。これが「年金生活」なのですよ。
話を推し活費用と貯蓄の関係に戻します。
年収1000万円の人が推し活費用に年50万円使うのなら、老後資金を貯める余裕は十分に残っています。でも、そんなに高収入の人はめったにいません。今の50代女性は、子育てでキャリアが中断している人が多いからです。
推し活に結構なお金を使う人は、他の支出も多い傾向があります。「今しかできない」「働いているのだから、このくらい使ってもいい」「老後資金は夫が貯めているはず」といった声が多いのですが、どれも刹那的に聞こえます。
「老後資金は夫が貯めているはず」は幻想かも
なかでも、「老後資金は夫が貯めているはず」と考えるのは危険だということを知っておいて。60歳で直面する「収入ダウンの崖」は男性のほうが深いのです。年収が1000万円以上の人も300万~400万円になるのが一般的。再雇用1年目と2年目は高かった収入のときの住民税が引かれるので、毎月の手取りは20万円を下回るケースも珍しくありません。
夫が収入ダウンの深い崖に落ちるなら、妻に収入があったら心強いですね。というか、それまで夫婦で貯めた老後資金を60代前半で目減りさせないようにするには、妻の収入をどこまで家計に使えるかが勝負なのです。
推し活、反対はしません。私も推しのアーティストはいますし、ツアーが始まればライブには何度も行きます。でもFPですから、貯蓄ができなくなるほどの推し活費用を使っていません。ここがポイントです。
まず、自分の推し活費用を「年間」だといくらになるのか書き出してみましょう。ちょっとびっくりするはず。
そして、貯蓄や投資に回したお金は「年間」でいくらか、電卓を叩きます。
推し活費用が貯蓄・投資額を上回るなら、ちょっと使いすぎのシグナルです。今年は、まず目標貯蓄額を決めて、その上で推し活費用の予算を組みましょう。気持ちよく応援消費しましょうね。
文=深田晶恵




