18きっぷで観光列車(後編)
青春18きっぷで観光列車!おいこっととアートの旅
青春18きっぷで観光列車!おいこっととアートの旅
公開日:2018年12月20日
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、食べて食べて、また食べる鉄道旅の楽しさをご紹介します。青春18きっぷで長野駅に到着した翌日は、観光列車「おいこっと」で十日町に向かいます。鉄道旅の醍醐味が詰まった後編です。
青春18きっぷ旅2日目の朝食は、立ち食いそば!
前編を読んでいない方はこちら「青春18きっぷで観光列車(前編)小海線で長野への旅」
翌朝は長野駅発9時15分の飯山線観光列車「おいこっと」に乗車します。こちらも快速列車なので、あらかじめ指定券を取っておけば18きっぷで乗車できます。
乗車前に食べる朝ごはんは、駅そばと決めていました。長野は駅の立ち食いそばも美味しいのです。
「信州蕎麦処 しなの」はホーム階段下の、昔ながらの駅そば然とした佇まいが気に入っています。
こちらでかけそばを注文しました。
シャキッとしたネギがたっぷり乗ったかけそばは、麺は少しやわらかく、つゆは甘め。ちゃんと八幡屋礒五郎の七味唐からしが置いてあるところが長野らしいです。目の前にベンチがあるので、空いていれば座って食べることもできます。
古民家風のデザインの飯山線観光列車「おいこっと」に乗車
4番線ホームに移動して、すでに入線している「おいこっと」に乗車します。
「おいこっと」は田園風景や山、川を眺めながら走る観光列車。そのふるさと(田舎)のイメージから、東京の真逆にあるという意味で、「TOKYO」を反対から読んだ「おいこっと」という愛称が付いています。
茅葺き屋根の民家の襖や障子をイメージしている外観と同様、車内も古民家風の内装デザイン。
私の席は2人掛けの席の片方。この日は満席だったので、向かいの席には知らない方が来るわけです。席に行ってみると、すでに先客が。ガタイの良い、一見怖そうな男性が座っていました。
列車が走り始めて間もなく、おしぼりと野沢菜の漬物のパックが1人にひとつずつ配られます。信州はお茶うけに漬物を出すそう。お弁当はありませんが、車内ではビールやコーヒーなどが販売されています。向かいの方は早速これをおつまみに、ビールを買って飲み始めていました。
しばらくすると男性が立ち上がり、後ろの2人掛け席に座っている女性達に話しかけ始めました。どうやら女性は奥さんと娘さんのようです。
「ほら、あそこが長野総合車両センターだ。首都圏の廃車になった車両の解体作業もあそこで……」
会話の内容から、『あっ……この人、鉄道ファンだ!』と気付きました。そうとわかればもう怖くありません。思い切って話しかけてみました。
話してみると案の定、鉄道話で盛り上がりました。向かいの男性は奈良昌人さん。群馬にお住まいだそう。本当はもう1人のお子さん含め4人で来る予定だったのが、1人参加できなくなりキャンセルした席を、たまたま私が取ったのでした。
「おいこっと」の常連さんが伝授する、通な楽しみ方
実は私、おいこっとは初乗車。景色が良いのは知っていたので、ビールでも飲みながらのんびり車窓を楽しめればいいや、と思っていたのですが、何度もおいこっとに乗車されている奈良さんに「飯山駅では15分程度停車するからその間にからくり時計を見た方がいいよ。あと駅スタンプもあるし、ちょっとしたマルシェもあるから何か買えるよ」と言われ、慌てて席を立ち上がり改札外へ。18きっぷの強みです。
ちょうど10時ぴったりのタイミングで、からくり時計が動いているのを見ることができました。
スタンプも押して急いで車内に戻ると、なんと奈良さんがマルシェで飯山の郷土食「信州いいやま謙信笹ずし」を買ってくれていました。これも何かの縁、とビールまでご馳走に。申し訳ないやらありがたいやら。感謝です。
笹ずしはお箸を使わず、笹を手で持って食べます。
すし飯にたっぷりのった山菜にはクルミも入っていて食感が抜群。錦糸卵と生姜がさらに味のアクセントとなり、いくつでも食べられそうでした。
列車は素晴らしい景色の中をしばらく走り、森宮野原駅で再び15分ほど停車します。
こちらの駅は1945年2月に7.85メートルの積雪を記録し、日本最高積雪地点の駅として、標柱も立てられています。停車時間の間に、すげぼうしを着て雪ん子のような格好で、列車と記念写真を撮ることもできます。駅で売っていた栄村のトマトジュースも美味しかったです。
列車が再び動き出すと、奈良さんは車内販売でいつの間にか日本酒を買っていました。「水尾、大好きなんだよ。以前、車内販売の水尾を飲みつくしたなあ」との武勇伝も。柑橘系の香りを感じつつもすっきりとした辛口のお酒はくいくいと進み、終点間近でしたが4人であっという間に飲みきってしまいました。
ほどよく酔っ払ったところで、終点の十日町駅にて奈良さん一家とお別れ。
ひとりでも楽しいのですが、こういうご縁があると、旅は更に楽しくなりますね。飯山線は雪景色も良いです。冬季期間のおいこっとは運行本数が少なくなりますので、ご確認ください。
さて、これから「越後妻有 アートトリエンナーレ2018」を大急ぎで見に行ってきます。
まずは北越急行ほくほく線に乗って1駅、まつだい駅へ。この路線では18きっぷは使えません。
里山の風景に溶け込む現代アートを堪能
「越後妻有 アートトリエンナーレ2018」とは新潟県十日町、津南町を舞台に2000年から3年に1度、夏の間に開催されている世界最大級の国際芸術祭。広範囲に渡っているのでとても数時間では見切れませんが、とりあえず見たかったものだけでも見に行きました。
まつだい駅に近づくと、青空に映える草間彌生作品が、列車の中からも見えました。
「農舞台」という総合文化施設を中心に、こちらには里山にアーティストの作品が点在しています。山歩きしながら、四季の中に溶け込む現代アートを間近で見ることができます。
自由に自分のペースで楽しめるので、現代アートに触れたことがない方にもオススメです。1時間ほどのコースをゆったり歩き、景色と共に作品を堪能しました。
まつだい駅に戻り、暑かったので「とうもろこしアイス」を食べながら十日町に戻る列車を待ちます。十日町駅からは歩いて10分ほどの場所にある越後妻有里山現代美術館「キナーレ」へ。
キナーレの回廊に囲まれた中央の大きな池には空や建物が映っている……と思いきや、こちらはなんと描かれたもの。角度を変えて見ると更におもしろい作品です。
こちらは室内に展示されている作品。周囲のらせんは常にグルグルと回っています。不思議な空間の中はタイムトンネルを歩いているようです。
アートトリエンナーレと書きましたが、実は普段も「大地の芸術祭の里」として多くの作品が常設されています。今回私が見てきたものは、ほぼ常設されている作品です。
ただし冬季期間は雪に閉ざされるため、屋外の作品は見ることはできません。「大地の芸術祭の里」はこちらキナーレが中心的施設となっています。現在どの作品が見られるのかは、お問い合わせください。
キナーレ建物内にはカフェなども併設されていますが、なんと温泉も! 歩き回ったので「明石の湯」で汗を流して帰ります。ゆっくりしたいところですが、時間がなくカラスの行水でした。
十日町駅から越後湯沢駅へは乗り換えず行けることが多いですが、途中の六日町駅まではほくほく線、そこから越後湯沢駅まではJR上越線となります。
越後湯沢駅では大好きな「ぽんしゅ館」名物の「爆弾おにぎり」を食べました。
爆弾という名前の通り、1つがご飯1合分。お米が大変美味しくて、あっという間に食べ尽くしました。海苔がしっかりしているので、その場で食べる場合は半分に切ってもらうのがオススメです。ぽんしゅ館は気軽に新潟の酒蔵の利き酒ができる場所もあるのですが、おいこっとのお酒で満足したので、今回はそのまま帰途につきました。
越後湯沢駅からは途中で何度か乗り換えながら、上越線、高崎線、湘南新宿ラインで新宿駅まで戻ります。
越後湯沢駅から新幹線を使った場合との料金の差は約4000円。
18きっぷをうまく使えば、楽しくお得な旅ができることが伝わったでしょ うか。時間をお金で買いたいという方には向いていませんが、移動の時間も楽しめる方なら1度ぜひ使ってみてほしいです。青春18きっぷが販売されるこの時期だけは、あえてのんびり旅をするのもいいですよ。
次回は、群馬県・高崎のだるまで開運・SL三昧の旅です!
前編を読んでいない方はこちら「青春18きっぷで観光列車(前編)小海線で長野への旅」
☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。
青春18きっぷの旅がしたい方におすすめの記事






