夫婦で入居する老人ホームの選び方

2023年12月31日

夫婦は同室より別室がオススメ?費用や注意点を解説

夫婦で入居する老人ホームの選び方

夫婦で老人ホームに入居するなら同じ部屋が良い?同じ部屋に入居すると同じ空間で生活を続けられる、家賃を抑えられるなどの利点がある一方、プライベートを確保しづらいという難点も。夫婦で入居を考えるきっかけ、同室入居・別室入居の特長を解説します。

夫婦で老人ホームへの入居を考えるきっかけ

夫婦で老人ホームに入居を考えるきっかけはさまざまです。戸建てにお住まいの方なら、子どもが独立して家が広く感じられることがあります。広い家は日々の管理が大変で、夫婦だけの生活では無駄なスペースが多いと感じてしまうことも。
 
また、年齢とともに家事が負担になることで老人ホームへの入居を考える方もいます。掃除や料理など、日常の家事が大変になってくると、人に任せられることは任せて、自分はやりたいことに集中する生活が魅力的に感じられます。
 
ほかにも以下のようなきっかけがあります。
  • 外出せず夫婦だけの生活が長くなると、息が詰まってきたと感じる場面がある
  • 夫婦のうち片方が要支援や要介護状態になった
  • 将来、介護が必要になったとき、子どもには迷惑をかけたくなく、今のうちから備えたい
 
大きなきっかけがあることも、複数の要素が重なってきっかけとなることもあります。老人ホームを選ぶ際は、きっかけをふまえて、自分の希望に応じて選ぶことが大切です。

夫婦で入居できる老人ホームはどういうところ?

多くの老人ホームでは一人部屋が主流で、要介護の方向けのお部屋はほとんどが一人部屋です。しかし、夫婦二人で過ごせる二人部屋を設けている老人ホームもあります。

夫婦で一緒に過ごせるお部屋は、自立した方や、お元気な方向けに用意されているところがいくつかあります。二人部屋は数が限られることが多く、老人ホームが開設された直後に部屋が埋まり、入居しようとしても長期間の待機が必要となることも珍しくありません。

高級老人ホームの中には「サンシティ」や「ブランシエール」、「パークウェルステイト」のような老人ホームがあり、こうしたところでは自立した高齢者向けの居室が広く設計され、夫婦二人で入居できるところが多いのも特長です。

一人部屋を2つ契約するという選択肢もある

夫婦が同じ老人ホームで生活するもう一つの選択肢として、一人部屋を2つ契約するという方法があります。空室状況によっては、隣同士の部屋を契約することも可能です。この方法は、特に介護が必要な方や個々のプライバシーを重視する夫婦に向いています。

老人ホームを選ぶ際は、その施設が自立向けなのか、要介護向けなのか、両方を兼ね備えているのかをよく考慮することが重要です。

自立して生活する方が要介護の方向けの老人ホームに入居すると、他の入居者とのコミュニケーションがとりづらく、利用できる設備が少なく、生活に制限も多く、費用も高くなります。

要介護の方が自立の方向けの老人ホームに入居すると、欲しいサービスがなく、介護を増やすと費用が高くなることがあります。

夫婦二人での入居を希望する場合は、自分の状態と入居先で送る暮らしを十分に検討して、適切なホームを選択することが求められます。

同室で入居するなら

夫婦で老人ホームに同室で入居することの最大の魅力は、これまで通り夫婦が同じ空間で生活を続けることができる点です。

長年連れ添った夫婦にとって、お互いの存在は安心感や幸せをもたらします。共に過ごす時間が長いほどお互いの支えとなり、精神的な充足感を得ることができるでしょう。

また、同室で入居できる多くの老人ホームでは、キッチンやお風呂などの生活設備が居室内に備わっています。これにより、夫婦で料理を楽しんだり、共に趣味の時間を過ごしたりなど、家庭的な生活を維持することができます。そのほか、夫婦で同室入居することで以下のような利点があります。

  • 一緒に家事を行うことで日常生活の活力を保ちやすくなる
  • 家賃が一室分で済むため費用を抑えられる

経済的な面では、家賃は一室分で済みますが、生活支援サービス費や食費は二人分必要となります。このため、合計額がやや高額になることの覚悟が必要です。

夫婦が長時間一緒にいるとストレスになることもあります。また、夫婦のどちらか一方が要介護状態になった場合、もう一人に介護の負担がかかる可能性も。これは夫婦の関係性により左右されるため、入居前にしっかりと話し合うことが大切です。

さらに夫婦で同室入居できる老人ホームは数が少なく、地域や費用の選択肢も限られてしまいます。新築の老人ホームへの申込が必要であったり、長期間の待機が必要になったりするケースもあります。

配偶者が亡くなったり、介護フロアへ移動したりする場合には、その後も広い部屋に一人で暮らすのか、それとも居室を移動するのかなどの課題も浮上します。これらの点を考慮して、同室入居を検討する必要があります。

別室で入居するなら

老人ホームで夫婦が別室に入居する選択をすると、夫婦それぞれが独立した生活を送ることができます。例えば、隣同士の部屋を選べば、お互いのプライバシーを保ちながら、すぐに会って一緒に過ごす時間を確保することが可能です。

一緒にいることも大切ですが、個々の自由やプライベートを重視する夫婦には適した選択と言えるでしょう。

費用の面では、別室に入居する場合、基本的には2室分の費用が必要となります。一室で共に過ごす場合と比べると居室費用は約2倍です。

ただし、別室入居は老人ホームの選択肢を広げることにつながります。一人部屋が主流の老人ホームが多いため、希望する地域や施設の中から選択する範囲が広がるのです。

介護が必要になる場合、介護スタッフによる充実したサポートを受けることになります。これにより、配偶者が介護の負担を感じることなく、それぞれが快適に過ごすことが可能になります。

別室での入居は費用などの考慮が必要ですが、独立した生活空間と介護スタッフのサポートを得られることは、夫婦それぞれの生活の質を高める選択だと言えます。夫婦でどのように過ごしたいのかをじっくり考え、適切な入居形態を選ぶことが大切です。

老人ホームに夫婦で同室入居する場合の費用

老人ホームに夫婦で同室入居した場合、基本的に別室で入居する場合と比べて費用は安くなります。ここでは、2023年12月時点での長谷工シニアウェルデザインの介護付有料老人ホーム(一般型特定施設入居者生活介護)「ブランシエールリボンシティ川口」の費用を例にあげて解説します。

ブランシエールリボンシティ川口」を利用する場合、支払い方式は以下の3つに分けられます。※ 自立型居室 1LDK( 45.74 平方メートル / 13.84 坪 )

  • 一括払い方式
  • 一部月払い方式
  • 月払い方式

支払い方式ごとに費用の内訳を見ていきましょう。

一括払い方式

一括払い方式は、入居時に家賃を複数年分(年齢により異なる)一括で支払うプランです。入居時の支払い金額は多くなりますが、毎月の金額を抑えられるため、選択する方が多い方式です。

【前払金】

  • 75歳の場合:5845万円
  • 80歳の場合:3896万円

【月額費用内訳】※ 税込/実費を除く 

一部月払い方式

一部月払い方式は、入居時に一括で支払う費用を抑え、毎月、家賃のうち3万円を支払うプランです。

【前払金】

  • 75歳の場合:5209万円
  • 80歳の場合:3473万円

【月額費用内訳】※ 税込/実費を除く

月払い方式

月払い方式は入居時に家賃相当分を支払わず、全額が月額費用に含まれるプランです。居住年数が短くても損をしない方式ですが、毎月の負担額が大きくなるため、利用する方は少なめな印象です。

【前払金】

60歳以上:0万円※

※ 敷金として家賃3か月相当額が別途必要

【月額費用内訳】※ 税込/実費を除く

夫婦で入居したいなら早めに探して申し込みしよう

夫婦で同室に入居したいなら早めの行動が重要です。二人部屋を提供している老人ホームは少なく、人気が高いためすぐに埋まってしまうことが多くあります。

そのため、入居がまだ先だと思っている段階から情報収集を始め、見学や予約などを早めに行うことを心掛けましょう。新築の老人ホームだと、まだ建物ができておらず、モデルルームとイメージで入居を決める場合もあります。

要介護状態になってから老人ホームを探し始めると、理想的なホームが見つからず、一人が老人ホームに入居し、もう一人が自宅や近隣の賃貸に留まるといったケースも珍しくありません。希望通りの環境で過ごすためには、早めの準備と行動が求められるのです。

夫婦が一緒に過ごせる老人ホームを選ぶ際には、入居条件や提供されるサービス、環境なども考慮に入れ、じっくりと選ぶことが大切です。


夫婦で入居できる老人ホームやシニア住宅をお探しなら、知識が豊富なスタッフに相談できる「ハルメク 介護と住まいの相談室」をご利用ください。ご家族の状況をうかがいながら、ご希望に合いそうな施設をご提案します。希望の暮らしができる住まいを見つけましょう。

 

記事監修:坂本愛さんのプロフィール

さかもと・めぐみ 社会福祉士。急性期病院のメディカルソーシャルワーカーとして受診相談や退院支援業務を経験。退院後に必要なケアをもとに、ご自宅での療養生活のアドバイスや、介護施設の紹介を実施。雑誌『ハルメク』の記事執筆にも携わる。

HALMEK up編集部
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