先が見えない時代でも大丈夫。揺れる心を支える「自分の軸」の見つけ方
先が見えない時代でも大丈夫。揺れる心を支える「自分の軸」の見つけ方
公開日:2026年03月10日
吉原友美(よしはら・ともみ)プロフィール

東上セレモサービス常務取締役、終活コーディネーター。一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。自身の家族が早くから他界。その経験から死生観を育成して生きていくことの大切さを知る。終活セミナーでは絵本を使い、死生観育成について伝えている。また、最新の終活事情・葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説する。セミナーの参加数は累計2万人以上の人気を誇り、自社では3万件以上の葬儀を承っている。
変わりゆく時代に、心の置き場所を見つける
桜の蕾が少しずつふくらみ始める季節になりました。日差しに春の気配を感じる一方で、朝晩の冷え込みに、まだコートが手放せない日もあります。季節の変わり目は、どこか心も揺れやすいものですね。
スーパーのレジで会計を済ませた帰り道、ふと「こんなに払ったかしら」と思う瞬間が増えました。卵も、パンも、油も、少し前とは明らかに違う値段になっている。政治のニュースを見れば、誰が何をしているのか、以前よりわかりにくくなった気がする。そして気づくのです。私たちは今、「先が見えない時代」の真ん中にいるのだと。
でも、だからこそ、はっきりと言いたいことがあります。この不安は、あなたが弱いからではない。そして、不安を感じることは、決して悪いことではないのです。
物価上昇が教えてくれたこと
物価上昇は、家計簿の数字だけの問題ではありません。それは「これまで通りにはいかない」という現実を、毎日の買い物という形で突きつけてきます。人生後半を歩む私たちにとって、この感覚は特に重いものです。子どものこと、親のこと、自分自身の老後のこと。考えるべきことが重なる時期に、社会全体が揺れ動いている。
この生活不安は、決してあなただけのものではありません。多くの方が同じように感じています。でも、ここで大切なのは、その不安を否定しないこと。むしろ、この不安こそが、あなたが真剣に人生と向き合っている証なのです。変化の時代を生きるということは、不安がなくなることではありません。不安とともに歩く覚悟を持つことです。
なぜ、こんなにも見通しが利かないのか
今、私たちが感じている不安の正体は何でしょうか。それは「経験したことがない世界」に立っているという実感です。
かつては、ある程度の道筋が見えていました。こうすれば安心、こう備えれば大丈夫。そんな「正解」のようなものがあった気がします。でも、よく考えてみてください。本当に見通しが利いていたのでしょうか。それとも、見通しが利いていると錯覚していただけなのでしょうか。
実は、いつの時代も未来は不確かでした。ただ、社会全体が「こうすればいい」という共通の物語を信じていたから、安心できていただけ。その物語が崩れた今、私たちは初めて、本当の意味で自分の足で立つことを求められているのです。
これは、恐ろしいことでしょうか。いいえ、違います。混沌とした時代だからこそ、私たちは自由なのです。
混沌の中で、私たちはどう生きるか
見通しの利かない時代を生きるには、これまでとは違う考え方が必要です。それは、「備え」ではなく「軸」を持つということ。備えるというのは、未来を予測して、それに対処する準備をすることです。でも、予測できない時代に、何を備えればいいのでしょうか。貯金? 保険? 健康? どれも大切ですが、どんなに備えても、すべてをカバーすることはできません。
だから、発想を変えます。備えることに必死になるのではなく、何が起きても揺るがない「自分の軸」を持つのです。
自分の軸とは、何があっても手放したくない価値観のことです。家族との時間を大切にしたい。自分のペースで生きたい。人に優しくありたい。好きなことを続けたい。そうした「これだけは」という思いが、混沌の中であなたを支えます。
心を整えるとは、不安を受け入れること
心を整えるというと、多くの人は「前向きになること」「強くなること」だと思っています。でも、それは違います。
心を整えるとは、不安を感じている自分を否定しないことです。「ああ、今私は不安を感じているな」と認めてあげること。それだけです。
不安は、危険を察知するための大切な感覚です。先が見えない時代に不安を感じるのは、ごく自然なこと。むしろ、不安を感じない方が問題です。不安を感じているということは、あなたがまだ、人生に真剣だということ。それでいいのです。
私たちに必要なのは、不安をなくすことではなく、不安を抱えたまま生きる力です。
人生後半は、そぎ落とす時期
人生後半は、何かを新しく積み上げる時期ではありません。余分なものをそぎ落として、本当に大切なものを見つめ直す時期です。
SNSで誰かと比べる必要はない。世間の期待に応える必要もない。「こうあるべき」という思い込みを、一つひとつ手放していく。そうすると、自分が本当に大切にしたいものが、はっきりと見えてきます。
不安との付き合い方も、自分で決めていい。誰かと話すことで楽になる人もいれば、一人で考える時間が必要な人もいる。日記を書く人もいれば、散歩をしながら考える人もいる。正解はありません。
舵を手放さなくていい
先が見えない時代は、確かに不安です。でも、見方を変えれば、決まったレールがないからこそ、自分で進む道を選べる時代でもあります。
物価が上がっても、社会が変わっても、自分の心の置き場所さえ見つけられれば、私たちは大丈夫です。完璧でなくていい。強くなくていい。ただ、自分の人生の舵を、自分の手で握り続けること。それだけで十分なのです。
春の風が、少しずつ暖かくなってきました。心の中にも、小さな春を迎えませんか。不安を抱えたまま、それでも前を向いて。それが、私たちの生き方です。
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