シニア女性は清潔感が大事

2018年09月07日

近未来☆最前線レポート vol.2

「家中ぜ~んぶ洗いたい!」シニア女性は臭いに敏感⁉

普段、50歳以上の素敵な女性にお会いして誌面や商品開発の種になるお話を伺っています。会話で出てきた驚きや気づき・学びから、シニア世代のトレンドや日常の工夫をお伝えします。「あるある」「ないわ~」などクスッと笑いながら“今”を感じてください。

汗にひっかけた挨拶が多かった、平成最後の夏

今年の夏は、とっても暑かった……。しかも、例年よりも早く夏が来ました。九州北部、中国、近畿、東海、北陸地方のいずれも、平年に比べて10日前後早い梅雨明け宣言となりました。関東甲信地方が6月に梅雨明けするのは、なんと観測史上初だとか……。

この季節には、読者のみなさんは決まって「汗」や「臭い」の話題をされるのですが、今年はいつも以上にその傾向が目立った気がします。

「ほんとに、暑いわね~。(センスでパタパタしながら)汗が引かないの……ごめんなさい」

「(ハンカチでフキフキしながら)最近の日本はどうなっちゃったのかしら。私こんなに汗っかきじゃなかったんだけど……頭から汗が降ってくるのよねぇ」

7月、8月は、こんな季節の挨拶といいますか、汗にひっかけた挨拶が日常茶飯事でした。
 

「若くみられる」よりも、「清潔感がある」ことを重視

今年3月に行った「美容と健康に関するアンケート」で、310人の読者モニター「ハルトモ」50~79歳女性に、「あなたは他人からどう見られたいですか?」と聞きました。


1位は「元気で健康的にみられたい」157人(53.4%)。
2位「品がよくみられたい」107人(36.4%)
3位が「清潔感があるようにみられたい」85人(28.9%)でした。

4位「5歳若くみられたい」73人(24.8%)よりも「清潔感があるようにみられたい」の方が上位にランクインしたのです。
 

生き研調べ
生きかた上手研究所調べ

 

「清潔感があるようにみられたい」のは、なぜ?

なぜ、清潔感があるように見られたいのでしょうか。一体、どんな相手を意識しているのでしょうか。

「異性に、モテる人の条件として、大事な要素だから?」
「子供や孫に、『生理的に無理』と言われたくないから?」
「友人に、身だしなみがよくない、だらしがないと嫌われたくないから?」

安直な仮説を並べてみたものの、どれもピンと来ません。

この年代ならではの理由があるかもしれない、なぁ。このように推測するのは、私がインタビューなどで普段接している50~60代の女性は、清潔感がとても高く、臭いに対して敏感な方が多いからです。

通販カタログを見てもらうと、こんな意見がよく聞かれます。

「『洗濯機でOK!』『手洗いOK!』などの表示は確認する。クリーニングではなく自分で洗いたい!」
「『丸ごと洗える布団』、『放置汗が防げる肌着』に惹かれる!」
「家具はカバーが取り外せる方がよい。洗って清潔感を保ちたいから」

 

通販誌
左「ハルメク 健康と暮らし」右「ハルメク おしゃれ」。ともに2018年8月号より

 

室内の寝具やカーテン、カーペット、ラグ・マットに至るまで、洗えるものはすべて洗いたい、というこれらの発言や要望は、夏に限ったことではなく、年中おっしゃいます。ビジネスパーソンとは違い、50~60代の女性は外に着ていく衣類や下着だけではなく、家中を洗いたいのです。ですから、対人意識はあまり関係がなさそうなのです。
 

夫・息子の体臭、柔軟剤・消臭スプレーなどの臭いが苦手

シニアの枕
2018年1月に行った、ワークショップの様子

 

シニア女性の枕
弊社の会議室に布団を敷いて、いろいろな枕の寝心地を比べました。

 

枕の商品開発のために、60代の女性にワークショップを行ったときのこと。睡眠に対する悩みや枕の不都合について話をしているときに、話が脱線しました。家族の体臭や化学物質の臭いに、話題が展開したのです。

「夫の枕カバーを洗濯するのが嫌い。加齢臭なのか、独特な臭いがする」
「うちも。旦那の臭いだけでなく、30代息子の寝具が気になる。皮脂と汗とが混ざった変な臭い」
「自分の体臭や口臭も感じやすくなった気がする。一度着た服はすぐに洗いたい」
「最近の洗剤や柔軟剤の香りがきつくて、具合が悪くなる時があるから、重曹で洗濯している」
「そうそう。香水がきつい女性や消臭スプレー・整髪料の臭いがする男性が近くにいて、電車を降りたことがある」

年を重ねると、自分や他人、モノなど、あらゆる臭いに敏感になり、清潔意識が高まるようです。
 

五感の中で、一番若くいられるのが「嗅覚」

医師・医学博士の平松類さんの著書『老人の取扱説明書』 (SB新書刊)を読んでいましたら、このもやもや課題の解が見出せました。

著書によると、五感は年を重ねるごとにすべて衰えるようです。しかし、均一には衰えず、一つ一つ順番に年を取るとのこと。以下、一部抜粋します。

まずは「視覚」。「老眼」は40代中盤からはじまり、50代になるとかなり本が読みにくくなり、早い人では白内障を発症する。次は「聴覚」。50代後半から難聴がはじまり、60代後半で急速に進む。「触覚」は、50代から衰えはじめ、70代から顕著になる。持っている物を落としやすくなったり、温度感覚が鈍りやけどをしやすくなる。「味覚」は、60代から衰え、味覚障害により次第に味付けが濃くなる。「嗅覚」は、50~60代までは年齢とともに機能が高くなり、70代から機能が低下していく。

平松医師の説明を読んで、「だから、臭いに敏感で、清潔意識が高い50~60代が多いのね」と、納得できました。体臭や口臭に気づかず、相手を不快にさせる可能性があるとしたら、70代以降ということになります。

もし、「これまで気にならなかった臭いが気に障るようになった」「臭いを感じやすいために、マスクが手放せない」などの変化を感じている方がいらしたら、自分だけではないと少し安心できるのではないでしょうか。

(※注)度を過ぎるようでしたら、更年期のホルモン乱れや化学物質過敏症などの可能性もあるかもしれませんので、病院で診断してもらってくださいね。
 

梅津 順江
梅津 順江

うめづ・ゆきえ 生きかた上手研究所長/インタビュアー。1年間に約700人の素敵な女性にお会いし、誌面や商品開発の種になる話を伺っています( ͡° ͜ʖ ͡°)/。のんきな夫との2人暮らし。趣味はダイビング、マンホール、美術鑑賞、食べ歩き。

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