知られざる京都!桜の平安神宮と夜行列車風ホテル
2019.04.152019年04月20日
知られざる京都の魅力!水路と鉄路を行く旅(後編)
知られざる京都!鉄道好きにはたまらない絶景旅
大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、女性ひとりでも気軽に行ける旅をご紹介します。寺社仏閣だけじゃない京都旅の2日目はラーメンからスタート。フォトジェニックでおいしい!京都の鉄的魅力が満載の旅路を行きます。
京都の朝食は、市場のラーメンを食べるべし!
前回の京都旅1日目を読んでいない方はこちら「知られざる京都の魅力!水路と鉄路を行く旅(前編)」
京都の朝は「朝ラー」から始まる……。
「朝ラー」とは朝にラーメンを食べること。実は、京都市内には早朝から営業しているお店がたくさんあります。以前、私が訪れたことのある、丹波口駅そばの「京都市中央卸売市場」内のラーメン屋さんに行ってみます。ホテルから10分も歩けば、もう市場の中です。
朝の市場はとても活気があります。いるだけで元気になれそうです。邪魔にならないよう、走るターレーを避けながら「香来 中央市場店」へ。こちらは朝10時までラーメン(小)とチャーハン(小)、または玉子かけご飯がセットになる「朝ラーセット」があります。迷いましたが、通常のラーメンを注文しました。
大人も楽しい京都鉄道博物館で、グルメを堪能
再び元の道を戻りつつ、オープンの10時に合わせて京都鉄道博物館へと向かいます。JR梅小路京都西駅の改札口を背にして真向かいに、京都鉄道博物館があります。
エントランスホールから入るとまず、O系新幹線など3両の懐かしい車両が出迎えてくれます。奥に進むとさらにたくさんの車両が展示されていて、写真スポットが満載です。本館1階に入ると、500系新幹線電車、寝台特急などで活躍した581系電車、ボンネット型489系電車が並んでいます。どれもJR西日本を代表する車両です。
ラーメンを食べたばかりですが、実はちょっと物足りませんでした。やっぱり朝ラーセットにすればよかったかも……と考えながら、まずは食堂車に向かいます。こちらは実際に寝台特急の食堂車として使用されていた国鉄20系車両。解体されてしまうものも多い中、引退後もこういった場所で働けるとは、幸せな車両です。
注文したお弁当は京都鉄道博物館限定の「SL弁当」と「大人の700系新幹線ランチBOX」。食堂車車内で食べて寝台特急気分を味わってもいいのですが、この日はお天気がよかったので外で食べることにしました。
ちなみに中身はこんな感じ。SL弁当は開けると真っ黒でインパクト大!真ん中の黒い列は、左から「いかすみちくわ天」「いかすみ太巻き」「黒ごま豆腐」です。
お弁当だけなら向かいにある売店でも買うことができますが、こちらでは懐かしいポリ容器のお茶も売っています。ただしティーバックではなく、粉の緑茶を使用しています。
ちなみに館内で食べられる場所は1階中庭、SL乗り場休憩所、館内2階のレストラン、館内3階のスカイテラス、とたくさんあります。食堂車以外は、外からのお弁当などが持ち込み可能! 京都駅で好きな駅弁を買って、好きな車両の前で味わうのも旅気分が盛り上がりそうです。
まずはスカイテラスで、目の前をバンバン走る新幹線を眺めながら「大人の700系新幹線ランチBOX」をいただきました。真下に線路があるので、新幹線や特急、在来線などが常に走っています。運がよければ黄色い新幹線・ドクターイエローと東寺の五重塔のコラボが見られるかもしれません。
食べ終わるとちょうど鉄道ジオラマの運転が始まる時間でした。鉄道が走る風景を朝から夜、そしてまた朝まで追って説明してくれます。すでに廃止された車両も、ここでは元気に走っている姿を見られます。
館内をひと通り回り、再び外に出てみます。かつてこちらは梅小路蒸気機関車館というSLの聖地でした。その頃1度訪れ、扇形車庫や転車台などを見学し、SLスチーム号にも乗車しました。それらが今、鉄道博物館にそのまま引き継がれています。
さて、その際にも乗った、SLスチーム号にひさしぶりに乗車します。この日は沿線の桜が見事でした。乗車時に撮られる写真で、こんな記念証がもらえます。立派な台紙に入った有料の写真を買わなくても、こちらはいただけるそうです。SLを十分堪能してから、先ほど買ったSL弁当を2階のレストランで食べました。
館内を見るだけで数時間かかりますが、ミュージアムショップでお土産を選ぶのにもかなり時間がかかります。鉄道グッズやデザインの文具などはもちろんですが、ここでしか買えない京都老舗のお菓子類は、どれも欲しくなってしまいます。
荷物を考えなければもっと買いたいところです。
京都鉄道博物館からすぐ、市電カフェでおやつタイム
名残惜しみながら鉄道博物館を出て、5分ほど歩いて「市電カフェ」へ。こちらは実際に走行していた京都市電の車両を使ったカフェです。
ドリンクやスイーツなどは、車内でいただくこともできます。私は名物の「カタカタつりわぱん」とドリンクを購入。「カタカタつりわぱん」は名前の通り、つり革を模したちょっと固めのパンです。5種類ほどの味があり、夏や冬限定の商品もあります。
市電カフェから泊まっていたホテルまでは歩いて2分ほど。荷物を預けているので、さらに買ったお土産を預けに行って、今度は電車で移動します。
隠れ写真スポット、蹴上インクラインと水路閣
京都駅へ出て、地下鉄烏丸線・東西線で蹴上駅で下車。駅を降りてすぐに「ねじりまんぽ」と呼ばれる歩行者用トンネルがあります。強度を強めるため、レンガをねじったように斜めに積み上げているので、そう呼ばれるそう。その上にある遊歩道が次の目的地の「蹴上インクライン」です。
トンネルをくぐって、裏手から上に登ると、土手沿いにまっすぐ、線路が延びていました。
蹴上インクラインとは、かつて船を運ぶために使われていた線路のこと。なぜ船が運ばれていたかというと、前編の平安神宮の所にも出てきた「琵琶湖疏水」(びわこそすい)が関係しています。その琵琶湖疏水とは、琵琶湖の湖水を京都へ流すため、明治時代に作られた水路(疏水)。国の史跡に指定もされています。
琵琶湖疏水は京都〜大津間の船の輸送も用途の一つとしていましたが、高低差の激しい場所は船が運行できないので、台車に乗せて船を運んでいたのです。それがこちらの線路跡。水の中まで線路が延びているのがわかりますでしょうか。蹴上から南禅寺船溜までは高低差約36メートル、そして世界最長の全長582メートルの傾斜鉄道なのです。
現在は桜の名所として有名。ちょうど満開で見事でしたが、あまりの人の多さに、途中で歩くのを断念しました……。そして琵琶湖疏水のことを調べていたら、もう一つ気になるスポットが出てきました。どうやらそこまでも歩けるようなので、がんばって行ってみます。
こちらも琵琶湖疏水の分線で、南禅寺の境内にある水路閣。明治21年に作られた、アーチ型橋脚のレンガ造りの美しい水路は、群馬県の横川にある碓氷第三橋梁を思い起こさせます。後から知りましたが、実はサスペンスドラマのロケ地としても有名だそう。
地下鉄東西線・蹴上駅まで戻り、2駅先の三条京阪駅へ。ここから京阪鴨東線に乗り換えますが、その前に改札すぐ横にあるコンビニ・アンスリーでお弁当を受け取ります。これはかつて京都駅の駅弁として有名だった萩乃家の「幕の内弁当」。今ではアンスリー三条店と出町柳店でしか買えません。これは帰りの新幹線車内で食べることにします。
旅の締めは、観光列車「ひえい」で
地下鉄東西線の三条京阪駅と京阪鴨東線の三条駅は直結しています。そこから出町柳駅まで行き、今度は叡山電車に乗り換えます。これも今回の目的の1つです。2018年に営業開始した観光列車「ひえい」は斬新なデザインが特徴。1度乗ってみたくて、とりあえず終点の「八瀬比叡山口駅」まで乗車しました。時間にしてわずか14分の距離です。
ひえいは観光列車と言っても、特別な料金はかかりません。しかもSuicaなど交通系ICカードが使えるので、八瀬比叡山口駅までの往復だけなら1日券でなく通常料金の方が安いです。時間があれば、さらにそこからケーブル・ロープウェイで山頂へ行き、有名な比叡山延暦寺へ巡るコースもあります。ちなみに火曜日は、ひえいが運休なのでご注意ください。
長い1日でした。歩数計を見ると、2万歩以上歩いていました。こだまに乗ることで新幹線チケットがお得に買える「ぷらっとこだま」は19時頃が最終のため、帰りは通常のきっぷで帰ります。夜の京都タワーは昼とはまた違う顔をしていました。
神社仏閣だけではない京都旅、いかがでしたでしょうか。
前編で紹介した平安神宮から、蹴上インクライン〜南禅寺・水路閣は、実はひととおり歩けるコースです。ただし1日がかりとなるので、体力と相談しつつ計画しましょう。
次回はSL旅の予定です。
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