知られざる京都の魅力!水路と鉄路を行く旅(前編)

知られざる京都!桜の平安神宮と夜行列車風ホテル

公開日:2019.04.15

大の鉄道好きマンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、女性ひとりで気軽に行ける鉄道旅をご紹介します。今回は、寺社仏閣だけじゃない京都旅。京都の新駅や廃線、鉄道博物館など鉄道好きの心をくすぐる場所を訪れます!もちろんグルメ情報も。

ぷらっとこだまなら、ゆったりお安く京都へ行ける

「そうだ 京都、行こう。」
無意識に刷り込まれたこのフレーズが頭の中をグルグルとし始めた春。
そういえば3月に、京都鉄道博物館の最寄駅となる新駅も誕生したばかり。
というわけで、京都へ旅することにしました。

チケットはドリンク引換券と乗車券・指定席券の2枚で1セット
チケットはドリンク引換券と乗車券・指定席券の2枚で1セット

東京駅から京都駅までは東海道新幹線に乗車。今回は「ぷらっとこだま」を使います。ぷらっとこだまとは、新幹線「こだま」に安く乗車できるJR東海ツアーズの旅行商品。インターネットでは出発5日前まで、店舗であれば前日まで購入可能です。ただし、ネットで買う場合は郵送で届くので、余裕をもって申し込んだ方がよさそうです。

東海道・三島ー新富士間を走るこだま)撮影=坪内政美
東海道・三島ー新富士間を走るこだま)撮影=坪内政美

ぷらっとこだまの料金は、2019年4月現在、東京—京都間で10,300円(ただし繁忙期を除く)。通常のぞみの乗車券と指定券を買うと13,910円なので、3,000円以上お得です。

しかし到着までにかかる時間は、のぞみで約2時間15分前後のところ、こだまは3時間42分。時間を有効に使いたい方は、通常の新幹線に乗車した方がよいかもしれません。さらに、乗車できる列車と乗降できる駅が指定されているのでお気を付けください。

朝のみ販売されている駅弁「朝のおむすび弁当」
朝のみ販売されている駅弁「朝のおむすび弁当」

こだまには車内販売がありません。食べ物を準備してから乗らないと大変です。東海道新幹線ホーム売店で買える「朝のおむすび弁当」はおにぎり2個と朝食らしいおかずが入り、さらにペットボトルのお茶が1本付いてなんと500円! 大変お得なお弁当です。ただし量は少なめ。

さらにぷらっとこだまには1ドリンクチケットが付いてきます。同じ売店でビールに引き換え、軽いおつまみを買って新幹線に乗り込みました。

京都駅到着!実はおいしい京都のパン

京都タワーは灯台をイメージしている
京都タワーは灯台をイメージしている

東京は大雨だったのですが、京都は快晴! 晴れ女の称号、キープです。
ぷらっとこだまは1番列車でも東京駅7時56分発なので、到着は昼近くになります。

京都といえばラーメン。すでにお腹が空いたので、駅前の「第一旭」か「新福菜館」でラーメンを食べようと思っていたのですが、結構な行列が。明るいうちに目的地を回りたいので泣く泣く諦め、荷物をロッカーに預けて、駅前の「進々堂」でパンを買い込み移動します。

進々堂のターキーサンドイッチとメロンパン
進々堂のターキーサンドイッチとメロンパン

実は京都はパンも有名。大阪、神戸など含め、関西はパンが美味しいそうです。焼き目を入れたパンのサンドイッチは、ボリュームある見た目ですが、野菜も多く、軽く食べられました。メロンパンは皮はサックリ、中はふんわりで私好みでした。

平安神宮入口の大鳥居は登録有形文化財に指定されている
平安神宮入口の大鳥居は登録有形文化財に指定されている

食べた場所は、平安神宮の手前にある公園。ベンチで桜を見ながらいただきました。

今年の東京は桜の開花が早かったので京都はもう散っていると思ったのですが、一時期寒くなり、開花が遅れたそう。おかげでベストタイミングな時に来ることができました。

神門の応天門も重要文化財に指定
神門の応天門も重要文化財に指定

平安神宮は元官幣大社で、1895年に京都市が平安遷都1100年を記念して創建されました。

比較的新しいこの神社は、神苑と呼ばれる庭園が見事。南神苑・中神苑・西神苑・東神苑の4つの庭で構成されていて、池泉回遊式となっています。明治時代に20年もの歳月をかけて作られた庭園だそうです。

神苑は約10000坪の広さ
神苑は約1万坪の広さ

お参りをしてから神苑へ入ります。ここから入場料が必要です。
入ってすぐに見事な枝垂桜が目に入りました。朱い社殿と濃いピンク色が青空に映えて、しばし見とれてしまいました。

チンチン電車と呼ばれた日本最古の電車
チンチン電車と呼ばれた日本最古の電車

実はこちらには、日本最古の電車が保存されています。1895年1月31日に日本最初の交通輸送業電車として、京都電気鉄道が運行したものだそう。平安神宮創建と同じ年に運行開始したという関係から、1961年の廃止後に、記念としてこちらに保存されているようです。

神苑の見事な自然と生き物たち
神苑の見事な自然と生き物たち

神苑の池の水は琵琶湖疏水から引き込まれています。そのため淡水魚など、本来の琵琶湖の生態系がそのまま池に生息しているそう。鳥たちものびのびと暮らしていました。

ちなみに先ほどの日本最古の電車も、当時、琵琶湖疏水の水力発電で動いていました。

夕食は地元の人おすすめのお店に。「赤」って何?

「布」のおばんざいとサッポロラガービール赤星
「布」のおばんざいとサッポロラガービール赤星

さて、京都といえばおばんざい。1人で入れそうな店がわからなかったので、京都出身の知り合いに聞き、西院駅から近い「布(ふ)」というお店を訪ねます。

おばんざいはもちろん、お刺身や焼き魚も美味しくてお酒がすすみました。あとは京都の定番だという「赤(ばくだん)」と呼ばれるお酒も飲みました。赤玉ポートワイン+焼酎+甘いサイダーで作られたものだそう。口当たりが良くて、お酒が苦手な方でも飲めそうな味です。しかしうっかり写真撮るのを忘れて飲みきってしまいました…。

梅小路京都西駅は2019年3月16日に開業
梅小路京都西駅は2019年3月16日に開業

夕食後は京都駅に戻って荷物をロッカーから取り出し、JR嵯峨野山陰線で2つめの、出来たての新駅・梅小路京都西駅へ向かいます。宿は駅から歩いて4分ほどです。

寝台列車の気分を味わえる宿があるんです!

「ファーストキャビンST.京都梅小路RYOKAN」)(16-写真・フロントは天井が高く、町家の造りが感じられる
(左)「ファーストキャビンST.京都梅小路RYOKAN」
(右)フロントは天井が高く、町家の造りが感じられる

こちらも3月28日に開業したばかりの「ファーストキャビンST.京都梅小路RYOKAN」。ファーストキャビンは、今や全国に展開し有名になった豪華カプセルホテルです。

さらにここが特別なのは、町家を改造して作られた建物、ということ。そしてファーストキャビン初となる、玄関で靴を脱いで入館する旅館スタイル。大阪では1度泊まったことがありましたが、部屋まで靴のままでした。

ファーストキャビンステーションのマーク
ファーストキャビンステーションのマーク
ラウンジ
ラウンジ
女性専用キャビン
女性専用キャビン
キャビンウェアやタオル、アメニティも充実
キャビンウェアやタオル、アメニティも充実

ファーストキャビンという名前の通り、飛行機のファーストクラスをイメージして作られた部屋は、天井が高く広さも十分。見た目も清潔感も女性が安心できるホテルです。

そして京都梅小路RYOKANは「ファーストキャビンステーション」と呼ばれ、夜行列車の個室寝台をイメージしています。JR西日本との合弁会社が経営しているそうです。他店舗のマークは飛行機ですが、こちらは夜行列車風でかわいいです。

(左)ビジネスキャビンは13部屋(右)ファーストキャビンは3部屋
(左)ビジネスキャビンは13部屋(右)ファーストキャビンは3部屋

もっとも気軽に利用できるのはビジネスキャビン、少し広くてテーブルもあるのがファーストキャビン。共にシェードは閉められますが、鍵はかかりません。

カプセルホテルというスタンスなので壁は完全に閉じられておらず、上下に隙間があります。音が気になる方はフロントで耳栓がもらえます。

こちらのタイプは女性専用フロアと男性専用フロアに分かれていて、男性専用も同じ数だけ部屋数があります。女性専用フロアには、専用カードがないと入れません。 

プレミアムクラスの京町家ルーム
プレミアムクラスの京町家ルーム

3〜4名で利用できる個室タイプの京町家ルームは、鍵もかかり、ほぼ旅館と変わらないお部屋です。ちなみにプレミアムクラスのお部屋は、1名で利用しても制限人数で利用しても、部屋の料金は変わりません。

 

プレミアムクラスのモダンルーム) (25-写真・コーヒーサービス
(左)プレミアムクラスのモダンルーム(右)コーヒーサービス

モダンルームは1〜2名で利用できる個室タイプ。広々と使いたい方や、鍵がかかる部屋がいい方は、1人で使うのもありです。

そしてラウンジでは、1杯200円のコーヒーを現在無料でサービスしてくれています。駅からの道すがら、途中にあった志津屋で京都のソウルフード「カルネ」を買って、このコーヒーと共に夜食にいただきました。

京都の鉄道を楽しむ1泊2日旅のルート
1日めのルートはこちら!

地下鉄烏丸線の四条駅と阪急京都線の烏丸駅は直結しています。京都は路線や駅名が違っていても乗り換え可能な駅もあるので、目的地ごとに調べておくと便利です。

次回は「知られざる京都の魅力!水路と鉄路を行く旅(後編)」です。 

☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。

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YASCORN 鉄道食べすぎひとり旅

YASCORN

駅弁・駅そばが好きな鉄道好き漫画家&文筆家。温泉ソムリエ。児童誌から鉄道誌まで幅広く活動中。著書に「おんな鉄道ひとり旅」(小学館・プチコミック増刊で連載中)、「メシ鉄!!!」電子書籍1〜3巻(集英社)他。「鉄道漫遊記」を東洋経済オンラインで連載中。HP: yascorn.com

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