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- ルーマニア産のはちみつが世界一おいしいのはなぜ?
国や地域によって特徴が変わるはちみつですが、中でもルーマニア産のはちみつは「世界一おいしい」と言われます。その味わいやおいしくなる理由について、養蜂歴40年以上の「みつばちおじさん」こと、養蜂家の藤善博人さんにお聞きしました。
![ルーマニア産のはちみつが世界一おいしいのはなぜ?](https://halmek.co.jp/media/article/image/8b30c5fc5137c3745ccfb88fb812eacf.jpg)
ルーマニアは世界屈指の養蜂大国
古くから世界中で作られてきたはちみつ。はちみつの味や香りは蜜源になる花の種類によって異なり、採蜜する産地によってもさまざまな個性が出ます。
そんな中で「世界一おいしい」と言われているのが、ルーマニア産のはちみつ。養蜂家の藤善さんも、「ルーマニア産のはちみつは一度食べれば誰もが納得するおいしさ」と話します。
ルーマニアで作られるはちみつは、どうしてそんなにおいしくなるのでしょうか? 藤善さんによると、「蜜源の豊かさ」と「養蜂技術の高さ」が大きな理由だそうです。
「ルーマニアは、アカシアやヒマワリ、菩提樹など蜜源植物が豊富で、世界でも有数の大蜜源地帯として知られています。蜜源植物がこれほど豊富な理由は、古くから養蜂産業の振興を目指して植樹していたから。中でもアカシアの森は広大で、5月頃はアカシアの花によって山が丸ごと白く見えるほどです」(藤善さん)
この豊かな蜜源を活かすのが、養蜂家たちの高い技術です。ルーマニアは高品質のはちみつを生産するために、国立の養蜂学校やはちみつ工場を作ってきた歴史があります。
「ルーマニアでは、昔はみんな裏庭で蜂を飼っていたほど養蜂が身近です。長い歴史によって培われたミツバチ文化があるため、師弟制度で養蜂を学ぶほか、国立の養蜂学校で先進的な技術を学ぶこともできます。そうした背景から、養蜂家が非常に高い養蜂技術を持っているのです」(藤善さん)
豊かな自然と、それを活かす環境づくりで「養蜂大国」となったルーマニア。人口は日本の1/6ほどですが、蜂の巣箱の数は日本の10倍以上もあるそうです。
高級ワイン並み!? 徹底した温度管理
そんなルーマニア産のはちみつは、「高級はちみつ」としても知られています。
山田養蜂場でルーマニア産はちみつの輸入にも20年以上携わっている藤善さんは、「ルーマニアで巣箱から取り出したままの味わいを日本に届けようとすると、充填や輸送などの工程で、細やかな管理が必要になります」と話します。
「はちみつは粘度が高いので充填に時間がかかります。加熱すれば充填しやすくなりますが、45℃を超えるとはちみつの酵素が壊れ、香りや風味が失われていきます。
ルーマニアで取れたはちみつのおいしさを損なわないためには、巣箱の中と同じ35℃くらいの温度で充填するのがベスト。この手間をかけたはちみつであれば、取れたてそのままのおいしさが味わえます」(藤善さん)
さらに、輸送中の温度管理も徹底しないと、今度は運んでいる最中に味や香りが落ちていってしまうのだとか。
「船でルーマニアから日本にはちみつを運ぶとき、普通のコンテナだと赤道直下の高温によってはちみつが劣化します。これを防ぐには、コンテナ内を一定温度に保つ冷却装置を備えた『リーファーコンテナ』というものが必要。はちみつの場合は、リーファーコンテナで20℃に保てば、劣化や結晶化を防ぎながら運ぶことができます。
日本で手に入るルーマニア産はちみつのすべてが同じ方法で運ばれているわけではありませんが、山田養蜂場ではこうした品質管理を20年前から徹底しています。
手間やコストをかけて運ばれたものはどうしても少し高価になりますが、そこまでしてでも味わってほしいと願うほどルーマニア産のはちみつは格別においしい。ぜひ、お好みのルーマニア産はちみつを見つけてみてくださいね」(藤善さん)
一度は食べたい!絶品「はちみつの女王」
そんな徹底した温度管理で運ばれた高品質なルーマニア産はちみつの中でも、藤善さんが「ぜひ食べてみてほしい!」とおすすめするのが、はちみつの女王とも呼ばれるアカシアはちみつです。
「ルーマニアの森で取れたアカシアはちみつは、誰にでも好かれる上品な甘さと香りが魅力です。また、瓶の向こう側が透けて見えるほど透明度が高く、とても美しいはちみつでもあります」(藤善さん)
「アカシアの開花時期は通常1週間程度ですが、ルーマニアの広大な森では標高などによって開花時期が少しずつズレます。そこでルーマニアの養蜂家はトレーラーに巣箱を積んで、開花中の花を追いかけながら約1か月かけて養蜂を行います。移動中に巣箱の中で熟成されたはちみつは十分に糖度が上がり、感動するほど甘くおいしくなるのです」(藤善さん)
藤善さんはルーマニア産のアカシアはちみつを、「そのまま食べるのはもちろん、料理にも使ってみてほしい」と話します。
「上品でクセのない甘さと香りは、さまざまな素材のおいしさを引き出します。チーズに合わせてもおいしいですし、ジャムに使うのもおすすめ。ジャム作りのコツは、砂糖の代わりにちょっと贅沢にはちみつを入れて煮詰めたら、火を止めた後に追いはちみつを加えること。はちみつの風味がぐっと増し、絶品のジャムに仕上がりますよ!」
美しくて、世界一おいしいルーマニア産のはちみつは、自分へのごほうびにも大切な人への贈り物にもぴったり。特別なはちみつをぜひ一度試してみてくださいね。
お話を伺ったのは:藤善博人さん(養蜂家)
養蜂歴40年以上。みつばちについて深い知識を持つ。自宅でも養蜂を行っており、自家製のはちみつを毎日楽しんでいる。採蜜やミツロウキャンドル作りなどが体験できる「みつばち教室」の人気講師。「みつばちおじさん」として親しまれている。
取材協力:山田養蜂場
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