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- 作家・小川糸「自分流を大切に外国でも快適に暮らす」
作家・小川糸さんは、現在、東京とドイツ・ベルリンの二拠点生活を送っています。シンプルで飾らないドイツでの暮らし方や、そこで気づいた日本とドイツとの違いについてお伺いしました。
ドイツの築120年の部屋で日本製アイテムに囲まれて
―ベルリンで暮らして2年目だそうですが、お住まいの雰囲気はどうでしょうか?
小川
私が住んでいる部屋は、以前に日本人の方が住んでいた部屋を引き継いで、置いて行かれた家具を使いながら、自分の物を足していっています。築120年くらいの古いアパートですが、ドイツではそれが普通。ダメになった箇所を修理しながら大切に暮らしています。天井も高く、窓は二重窓なので防寒対策は万全です。私は常にインテリアを引き算することを意識していて、置く場所があるからといって物を増やさないように気を付けています。

―日本の部屋とは全然違いますか?
小川
それが、やはり好きな物を置くので、だんだん日本の部屋に似てきました(笑)。特にキッチンに置くものが似てきますね。ドイツのアイテムはお鍋にしても何にしても、すべてが大きくて重いので、私は日本製の方が使いやすいんです。
根本的に日本とドイツは物に対して求めているものが違っていて、日本製は、かゆいところに手が届くような機能的な便利アイテムが多いけれど、ドイツ製品は丈夫で長持ちが基本。また日本は手作りの品に人気がありますが、ドイツでは少し事情が違います。工業製品に重きを置いているので、そこが日本と全く違うところですね。
ドイツの食生活の影響で、生魚が苦手になった!?

―食生活はどうでしょうか? 食の好みは変わりましたか。
小川
そうですね。日本ではお魚中心の食生活だったので、ドイツではどうなるのだろうと不安はありましたが、お肉がとてもおいしくて……。ドイツでは生魚を食べる習慣があまりないので、お刺身などを食べないうちに、生魚が少し苦手になり、お肉が大好きになりました(笑)。
お肉料理のごちそうはステーキ。ドイツの人は脂身は食べないので赤身肉です。ハムやソーセージもおいしいですよ。ハムはお肉屋さんで薄くスライスしてもらって焼いたり、熱々のじゃがいもにハムをのせたりしていただいています。
―美味しそうですね。和食よりもドイツ料理を作ることが増えたのでしょうか。
小川
いえ、基本は和食中心の生活です。ベルリンでもお味噌など手に入るのですが、添加物が多いので、お味噌は手作りをしています。ドイツ在住の日本人の友人たちが味噌作りをしているので、みんなで味比べをして楽しみながらやっています。麹はドイツ人と日本人のハーフの方で良い麹を作っている方がいるので、その方から分けてもらっています。
ドイツに来てから「手に入らない物は自分で手作りしよう」という気持ちになりました。お菓子なども手作りする機会が増えましたね。
ただし、だしは、帰国したときに築地で鰹節と昆布をまとめて購入しています。他にもごぼう、蓮根、ヒジキ、切り干し大根などの乾物類もたくさん買いますね。日持ちもするのでとても便利。私のドイツの食生活を支えてくれています。
いい物を選べば長く使えて、人に譲ることもできる
―シンプルな生活を信条とされていますが、ファッションやアクセサリーの好みはありますか?好きなデザイナーなど。
小川
私の服や持ち物は「ミナ ペルホネン」が多いです。服は心地よいもの、持ち物は長く使えることを考えて選びます。値段が少々高くても長く使えるのなら、結果的に経済的だし、自分が手放すときでも良い物ならば、人に譲ることもできますから。身に付けるもの、身近に置くものは日本製が好きです。
今日持ってきたのは、石垣島の漁師さんが魚を捕るときの網で作ったバッグです。だからとても軽くて丈夫です。ポーチとエコバッグはミナ ベルホネン。傘はアフリカの布を使用した傘で、日傘と兼用です。いつも手荷物はこれくらい。荷物はコンパクトに少なくしたいタイプで、できれば手ぶらで歩きたいくらい(笑)。
ドイツと日本では「老い」に対する考え方が正反対
―美容などはいかがでしょうか? ドイツと日本は気候の違いもありますし、気を付けていることなどありますか? また年を重ねていくこと、老いについてはどうお考えでしょうか?
小川
美容については全く何も気にしていません。髪も染めず、早く真っ白にならないかなと思っているくらい。まばらに白髪があるより、真っ白の方が気持ちよさそうだと思って(笑)。
日本は若いことに価値があるという一面があり、老いていくことを恐れて若作りをしたりするけど、ドイツ人は年齢を重ねることで、よりかっこよく生きている人が多いと感じます。
男女を分ける意識もなく、女性が力仕事をしたり、男性が育児に専念したり、それが普通にある社会です。私は、年齢はただの数字で、生まれてから何年経ちましたという記録だと思うので、ときどき自分の年齢を言うとき、実年齢よりも上にサバを読んだりします(笑)。いま何歳だからとか関係なく、年齢問わず若い気持ちの人はいますから。年齢で人を判断せず、その人自身をちゃんと見てお付き合いしていきたいですね。
作家・小川糸さんに東京とドイツ・ベルリンの二拠点生活についてうかがいました。日本であってもドイツであっても、シンプルで飾らない暮らし方が根付いてらっしゃる様が垣間見えました。
小川糸(おがわ・いと)
1973年生まれ。2008年「食堂かたつむり」でデビューして以来、著作が海外でも出版されている。「食堂かたつむり」は2010年に柴咲コウ主演で映画化された。また同小説はイタリアの文学賞であるバンカレッラ賞とフランスのウジェニー・ブラジエ賞を受賞した。2012年「つるかめ助産院」2017年「ツバキ文具店」がNHKでドラマ化。その他「喋々喃々」「ファミリーツリー」「リボン」「ミ・ト・ン」などの著作がある。
※本記事は2019年11月インタビュー時点の情報です
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