2-1_沖縄県サンゴ

2022年07月23日

グリーン・フィンズ認定!サンゴ保全を続けて16年

好きから始まった環境保全活動。きっかけは身近にある

環境保護活動に関心はあっても何をどう動けばいいの? これはそんな思いを持った女性のストーリー。サンゴ礁の保全活動グリーン・フィンズ認定を受けた沖縄県恩納村のダイビングインストラクターの、人との出会いから始まった環境保全活動への思いです。

話を聞いた人:大嶋紗織(おおしま・さおり)さん

2-2_大嶋紗織さん

2003年PADI ダイビングインストラクター取得。2006年沖縄県恩納村にあるANA万座ビーチリゾート(当時)にダイビングスタッフとして入社。以降、サンゴの保全活動に従事。もっとサンゴの保全活動に力を入れたいという思いで、2013年に独立。同志4名と沖縄ダイビングサービスLagoonを立ち上げ、現在に至る。

20代前半、苦痛でしかなかった環境保護活動

2-3_苦痛でしかなかった環境保護活動

前回紹介した、サンゴ礁や海を守るために心掛けてほしい世界共通の認識を広める活動「グリーン・フィンズ」に2022年7月現在、日本で唯一参加しているのが沖縄県恩納村(おんなそん)です。恩納村で15年以上にわたりサンゴの保全活動に携わる大嶋さんに、サンゴの保全活動を始めたきっかけについて聞きました。

沖縄県で働き始めた22歳の頃を思い返し「そもそもANA万座ビーチリゾート(当時。以降万座ビーチ)を職場に選んだのは、万座ビーチがサンゴの保全プログラムを実施していたからなんです。

でも私自身が当時はまだ自分本位で幼くて、ビーチのゴミ拾いに行くのは暑いし、サンゴの保全活動で長時間水中にいるのは寒いし、苦痛でしかなかったんです」と大嶋さんは話します。

そんな気持ちが、いつ、どのようなタイミングで変化したのでしょうか?

人との出会いがきっかけでサンゴをもっと好きに

サンゴの保護活動の一環でサンゴの植え付けを行う
サンゴの保全活動の一環でサンゴの植え付けを行う大嶋さん

「サンゴ保全プログラムに参加してくれたお客さんから、毎回のように『素晴らしい体験をありがとう。また恩納村の海に潜りにきます』『豊かな自然をそのままの姿で残したいから参加してるんです!』といった思いを聞いているうちに、自分もサンゴの保全活動に本気で携わりたい!という気持ちになったのかもしれません」と大嶋さんは、お客さんやスタッフの何気ない言葉が、励みになっていたと、当時を振り返ります。

そんな“人との出会い”が大嶋さんの心を少しずつ変えていきます。

恩納村の浅瀬でサンゴを養殖する中間育成棚の様子
恩納村の浅瀬でサンゴを養殖する中間育成棚の様子

恩納村ではサンゴの保全活動の一環として「サンゴの植え付け」が行われています。サンゴの植え付けは、サンゴをある程度のサイズに分け、苗を作り、海に戻していく活動です。

サンゴの植え付けの第一人者である、恩納漁港の漁師さんと出会いも大きかったようです。大嶋さんが“沖縄の父”としてして慕うその方の姿は、かっこよく、眩しく見えたそうです。

「サンゴの植え付けは、この20年で少しずつ変化を続けています。前例がないことなので試行錯誤の連続で、より良い方法を考えて試すことの繰り返しです。

そこには沖縄の父の“諦めることなく、信じ続ける姿”が常にあって、とてもかっこいいんです。そんな沖縄の父に認めてもらいたい!という気持ちが大きかったです。

あと、サンゴの植え付けを始めた当初は、この活動をよく思わない人もたくさんいて、『自然界に人間が手を加えたらいけない!』など意見はさまざま。それでも『子や孫の世代まで美ら海(ちゅらうみ:沖縄の言葉で美しい海の意味)を残したい!』という沖縄の父の思いや努力を知っている私は、そんな否定的な発言を聞くのはただただ悲しかったです。

それでも諦めずにサンゴと向き合う沖縄の父の支えになりたい!この素敵な活動、沖縄の父の想いをたくさんの人に伝えたい!と思ったのも、サンゴの保全活動に気持ちが向く大きなきっかけでした」と大嶋さんは言います。

“海を守りたい!サンゴを守りたい!”という大きな目標ではなく、大好きな沖縄のお父さんを支えたい。大好きな人たちのために。という思いが強かったようです。

2-6_サンゴを主食にする「オニヒトデ」の駆除活動も積極的に行う
サンゴを主食にする「オニヒトデ」の駆除活動も生態系に配慮しながら行う(大嶋さん本人)

「人を想う気持ち」から始まる一歩もあると信じて

「お、大嶋いいじゃん」からでも、はじめの一歩はあると信じて
沖縄県恩納村では毎年5月下旬~6月上旬頃にサンゴが産卵

2022年7月7日、大嶋さんたちのショップもグリーン・フィンズへの認定が叶いました。認定を受けて、今思うことを聞きました。

「ビーチにゴミを捨てないで!海をきれいにしよう!って、どんなに言っても、人の心には響かないと思うんです。私もそうでした。心が動かなければ、行動にはつながらないと思います。

例えば、好きな芸能人やSNSでつながっている大切な人が、『ビーチのゴミ拾いに行ってきました!』て言ったら、少しは心が動きますよね。海を案内しているインストラクターとして『サンゴの話をしてくれたあの人、すごい海好きだったよね!』て思ってもらえたらうれしいです。

インストラクターとしてできることは、大好きな海の世界、サンゴの世界をたくさんの人に体験してもらって好きになってもらうこと。それで、みんなの“好き”をたくさん拾い集めることだと思っています。

そうやって蒔いた心の種が、やさしい輪になって、つながっていくと思うんです」と大嶋さんは、想いを語ってくれました。

ビーチクリーン
ビーチクリーン活動「ブルーサンタ」での集合写真。手前はこの日集まったゴミの山(コロナ禍以前に撮影)

大嶋さんが沖縄県恩納村に移り住み、15年以上潜り続け、恩納村のサンゴ礁は今が一番きれいに感じると言います。それが自然の周期なのか、サンゴの保全活動のおかげなのかはわかりません。

エシカルダイバーと自らを呼ぶ大嶋さん、「今ある自然の美しさや尊さを伝え、共に生き、大切にしたい!」という思いを胸に、これからも海を想い、サンゴを想い、仲間を想い、活動を続けていっていただきたいです。

写真・取材協力:沖縄ダイビングサービス Lagoon

住所:沖縄県国頭郡恩納村恩納339
電話:098-966-2818
営業時間:9~17時
定休日:第2火曜、荒天時
Mail:info@lagoon-diving.com
公式ホームページ

■もっと知りたい■

 

沖縄恩納村の環境への取り組み

>>サンゴの村宣言 ~世界一サンゴと人にやさしい村~

>>グリーン・フィンズへの参加

>>チーム美らサンゴ

HALMEK up編集部
HALMEK up編集部

「今日も明日も、楽しみになる」大人女性がそんな毎日を過ごせるように、役立つ情報を記事・動画・イベントでお届けします。

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