新型コロナのデマ・フェイクニュースを見分けるには?
2020.04.142020年04月08日
【新型コロナ】海外在住の日本人からの緊急メッセージ
ロックダウン中のドイツ市民に学ぶ!自粛生活の工夫
西ドイツ在住のライター・島袋芙貴乃さんが、新型コロナウイルスの感染状況やロックダウンによる規制状況をレポートします。日本は2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されました。ロックダウン中のドイツ市民の暮らしを参考に工夫して乗り切りましょう!
ドイツの新型コロナウイルスの感染状況は?
ドイツでの新型コロナ感染は2020年3月初旬から徐々に増え始め、約1か月、4月6日時点での感染者数は10万132人、内死亡者は1584人、感染が確認されてから回復した患者の数は2万8700人となっています(※1)。
ドイツの新型コロナ感染状況に関して特筆すべきは、その死者数の少なさ。感染者数はアメリカ、スペイン、イタリアに次いで第4位という多さを打ち出しながらも、他国と比較して圧倒的に少ない死者の数は、国際的にも注目を集めています。
<世界の新型コロナ感染状況(2020年4月6日時点)>
1位:アメリカ(感染者数:約33万8000人/死者:約9600人)
2位:スペイン(感染者数:約13万5000人/死者:約1万3000人)
3位:イタリア(感染者数:約12万9000人/死者:約1万5900人)
4位:ドイツ(感染者数:約10万人/死者:約1600人)
5位:フランス(感染者数:約9万3800人/死者:約8000人)
ドイツが新型コロナ感染による死者を最小限に抑えることができているのは、他国に比べて「検査体制」と「医療体制」が充実しているからだといわれています。
ドイツは、新型コロナ感染が拡大し始めた初期の段階から感染の有無に関する検査に精力的に取り組んでおり、早期発見、早期治療、早期隔離がしっかりと行われていることで、新型コロナ感染による重症化するケースを抑えることができています。
また、ドイツにおけるICU(集中治療室)のベッド数が、人口10万人あたり29~30床と、日本やイタリアなど他の国に比べて多いのも、ドイツで死者数が抑えられている大きな理由です。(※2)。
ドイツでは新型コロナウイルス感染症による死亡者のほとんどはICUで集中治療を受けた後に亡くなっています。
これらをまとめると、ドイツの新型コロナ感染者は日々増え続けながらも、早期発見のパターンが多く、重症化する前に適切な治療、自宅待機、経過観察が行われていること。また重症化した場合にも、他国と比べるとICUの管理体制が充実しているので、重症患者を受け入れる余地がまだあることで最悪の事態を防ぐことができている状況といえます。
ドイツのロックダウンはいつから?何が制限されたの?
長期化が予想されている現状では、医療崩壊を防いで重症患者に適切な治療を提供することが大切です。そのために感染拡大を防ぐ目的で発令されるのが、ロックダウンです。
ドイツでは2020年3月22日、国内全域における「接触制限措置」いわゆるロックダウンが発令されました。
これにより、家族以外との接触を避ける、公共の場では他人との距離を1.5〜2m以上とる、外出時は家族のみ同伴可(家族以外の同伴は1名まで)、飲食店やサービス業など人と近距離で交わるお店は閉鎖(テイクアウトできるサービスは継続可)などの制限が科せられました。ただし、日常生活に必要な食料や日用品の買い出し、健康を維持するための散歩やスポーツ(ジョギング、サイクリングなど)は引き続き認められています。
3月22日に発令されたこの「接触制限措置」は、当初2週間の期限とされていましたが、新型コロナ感染が拡大し続けている状況を受けて、4月19日まで延長されました。ですが今後の感染状況によっては、この措置がさらに延期されることも見込まれています。
公共施設の封鎖や最高で300万円近い違反金も!
また3月22日以前から国の防疫措置は始まっており、3月16日には劇場や博物館、映画館、公園、プールなど、人々が交わる公共施設の閉鎖が決定しました。
さらに3月15日から18日にかけて国境管理の強化措置も続々と発令され、陸路・空路ともに厳しい入国制限がかけられています。
ちなみにドイツでは、国が発令した上記規制以外に、各州が独自で発令している規制もあります。
私が住んでいる西ドイツの「ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州」では「外出すること自体は禁止としない代わりに、公の場における3名以上の会合を禁止」などの独自ルールがあります。
規制に従わない違反者には秩序違反として少なくとも200ユーロ(約2万4000円)から最高で2万5000ユーロ(約295万円)の罰金が義務付けられ、犯罪行為として最高で懲役5年の自由刑が科されることも発表されています。
ロックダウン中、ドイツ市民はどう過ごしている?
こうした規制や違反金の内容を文字だけで見ると、ロックダウンが発令されるとものすごく暗く厳しい生活が強いられるようなイメージがあるかもしれません。しかし、実際には、私が住む西ドイツの州では殺伐とした雰囲気はなく、特別な外出を控える以外には比較的平和な日常を送っています。
春先で暖かくなってきたこともあり、近所の公園や森を散歩している人もよく見掛けますし(もちろん先に紹介した適度な距離を保って!)、リタイアしたアクティブなシニアたちは、電動自転車に乗って長距離のサイクリングを楽しみ、爽快に森を駆け抜けています。
また週末になると、近所の庭からBBQのおいしそ〜うな匂いがぷーんと漂ってくることもしばしば。外出できないので、きっと庭で日光浴がてらのんびりとBBQを楽しんでいるのでしょう。
私たち家族(私・夫・義理の母)はというと、夫と共に朝9時〜17時頃は在宅勤務をしながら、気分転換のための散歩にもよく出掛けますし、お昼ご飯の後には、コーヒー片手に庭に出て15分から30分程度の日光浴を楽しむのがもっぱらの習慣です。
仕事が休みの週末には2〜3時間程度の長めのウオーキングに出掛け、適度に気分転換もできています。
2020年に還暦を迎えた義理の母は、時間さえあれば庭のチェアに座って日光浴がてら大好きな読書に没頭していますし、これはいい機会だと、ノースリーブにショートパンツ姿で庭の草刈りや手入れに精を出しています(ちなみに4月現在のドイツの気温は、13度。沖縄出身で寒がりな私は、モコモコソックスにヒートテックで完全防備)。
食料品や日用品の買い出しは週1回。1週間分のレシピを考えて買い出しリストを入念に作成し、なるべく短時間で買い出しを終えるように工夫しています。
そして外出時に欠かせないお供が、アルコール消毒ジェル。このコロナの感染が始まって以降、不特定多数の人が触ったものに触れた後で手を洗えないときには、消毒ジェルで小まめに手を消毒するようになりました。
日本での緊急事態宣言・布マスク配布に思うこと
日本でも2020年4月7日、ようやく主要都市を中心に1か月程度の緊急事態宣言が発令されましたね。
ドイツをはじめ世界諸国の対応から見ると、今回の日本の対応は遅いと個人的には感じましたが、緊急事態宣言が出たことで、ようやく本格的な対策に踏み切れると安心した人も多くいるかと思います。
また緊急事態宣言の内容としても、先に紹介したドイツの「接触制限措置」と似たような内容なので、学校に行けない子どもがいる世帯は別として、基本的には外出を控える以外はこれまでと変わらない生活を送ることができるかと思います。
緊急事態宣言を前にスーパーでは買い占めが起こったようですが、ドイツと同じように、必要とされる外出(日用品の買い出しを含む)は認められるので、買い占めに走る必要はないと思います。逆に過度の買い占めは需要・供給バランスの崩壊などを起こす要因となります。必要な分だけを購入するのが、緊急事態の中でも平和に過ごせるポイントです。
日本政府配布の布マスクも上手に活用!
去る2020年4月2日には、再利用可能な布マスク2枚を各世帯に配布するとの発表があり、この対応については世間で賛否両論飛び交っていますが、WHOは布マスクの使用による「感染予防」の有用性はないとしながらも「飛沫の拡散を防ぐ」ことには効果があると認めています。
また、米国CDC(アメリカ疾病管理予防センター)でも、布マスクの着用は感染拡大を防ぐ、あるいはスピードを緩めることができるとして、一般人へ布マスクの使用を推奨し始めています(※3)。
コロナウイルスは発症までの潜伏期間が4〜10日あるといわれています。発症するまでは無自覚で、自分でも知らない内に他人を感染させてしまっていることが世界各地で起こっている感染爆発の一つの原因であるということは、みなさんもきっとご存じのはず。
「飛沫感染の拡大を防ぐ」という意味で、何度でも洗って使用できる布マスクはとても貴重なアイテムだと個人的には思っています。
ちなみに、ドイツでもマスクの品切れが起こっているようですが、ロックダウン中でも、街中でマスクをしている人を見掛けることはあまりありません(規制中で私の行動範囲が狭いというのもあるかと思いますが)。ただ、ロックダウン前にドイツに帰国した際には、空港などで多くの欧米人がマスクをしていました。接触感染防止のために、ゴム手袋をして出掛ける人も増えている印象です。
外出自粛中も、工夫次第で日常を楽しめる!
外出自粛と聞くとどうしてもネガティブな印象を抱きますが、紹介した通り、自宅でも読書に料理、散歩にサイクリング、日光浴や自宅での映画観賞など、いろいろなお楽しみを実行できます。ただし、その普通の生活を送ることができるのも、健康あってこそ。
感染拡大を防ぐためにも政府の出すルールはしっかりと守りつつ、適度にリフレッシュできる方法を見つけてみてくださいね。
文・写真=島袋芙貴乃 編集=竹下沙弥香(ハルメクWEB)
【参考資料】
※1:米国ジョンズ・ホプキンズ大学システム科学工学センター(Johns Hopkins CSSE)調べ
※2:日本集中治療医学会が4月1日に出した理事長声明より
※3:米国CDCが出した発表
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