50代からの女性のための人生相談・150

人生相談:ありがた迷惑なご近所さんとの関係に悩む…

名取芳彦
回答者
元結不動・密蔵院住職
名取芳彦

公開日:2023.09.13

読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は58歳女性の「自分のやり方や考えを何でも押し付けてくるご近所さんと、うまく付き合う方法を教えて」という相談に、仏教の教えをわかりやすく説いて「穏やかな心」へ導く、住職・名取芳彦さんが回答。

58歳女性の「ありがた迷惑なご近所さん」についての相談

とにかく攻撃的なご近所さんとの関係に悩んでいます。

近所に住む少し年上の女性が、考え方や家事のやり方などを押し付けてきて困っています。最近では我が家で使用している調味料にまでダメ出しをしてきます。

そんな彼女の「常に自分が正しい!」という話し方や、攻撃的な言動に疲弊しています……。

距離を置きたいと思うのですが、毎日顔を合わせるので気まずくなるのも嫌なので知らん顔もできません。ストレスが溜まらないようにするには、どのように付き合っていけばいいのでしょうか?

(58歳女性・エムさん)

名取さんの回答:相手を「理解」することから始めてみて

名取さんの回答:まずは相手の理解から始めて

まず、口うるさいご近所さんの言動について理解するところから始めましょう(理解であって、同意する必要はありません。understandとagreeは別だからです)。

いちいちうるさい人は、自分の知識や経験から学んだ正攻法(正しいやり方)を持っています。そのため、自分と違ったやり方をする人がいると「それじゃダメ」「それより、こっちの方がいい」と言いたくなります。

自分が得た知識も新しい研究によって次々に塗り替えられているかもしれないのに、その情報を得られなければ過去の情報に基づいた発言になります。また「自分の方法なら失敗しない」という経験値があるので、「自分の方法以外にも有効な方法があるかもしれない」と思いにくくなります。

もし自分自身が“いちいちうるさい人”だと自覚がある場合は、そのようなことを理解して「今の私の知識なら」「私の経験から言えば」という前提を忘れない方がいいでしょう。自分の考えや経験が正しいのは“今の自分にとって”という、限定的な条件でしか成り立たない話なのです。

仏教で説く慈悲(じひ/優しさ)は“お節介”と同意です。「慈悲は、余計なお世話なのです」とまでは申し上げませんが、エムさんのご近所さんのように、行き過ぎたお節介は人間関係を壊し、双方の心を乱します。そこで、行き過ぎるお節介に歯止めをかけるのが、仏教で説く智恵です。

残念ながら、エムさんのご近所さんはまだ智恵が発揮される状況にはないようです。

「スルー」も人間関係を円滑にする術

「スルー」もご近所付き合いを円滑にする術

さて、攻撃的な言動に疲弊しないために、現状でエムさんができる対応策についてお伝えします。

とりあえず、迷惑な“ご近所さん”の断言系の言葉は、「そうなんですか」と軽く受け流しておきましょう。もちろん、相手はお節介な人ですから、その後に「どっだった?」と確認されるかもしれません。そのときは「まだやっていない」とスルーしておきましょう。

「やった方がいいわよ」とごり押されるでしょうが、「そのうちにね」とニッコリ笑いましょう。相手が「この人には何を言っても暖簾(のれん)に腕押し、糠(ぬか)に釘(くぎ)だ」と思ってくれればしめたものです。

厄介な“ご近所さん”は周囲に「せっかく教えてあげたのに、エムさんは……」と吹聴するでしょう。しかし、周囲の人も、その方の“価値の押しつけ癖”に気付いているでしょうから、相手にしないでしょうし、むしろエムさんに同情するでしょう。

こうした雰囲気を“ご近所さん”が気付いてくれれば、お節介に歯止めをかける智恵が本人の中に生じる可能性があります。

「せっかく教えてあげているのに」と憤慨して心が乱れるおかげで、「『~のに』と思うのは、自分が見返りを求めている証拠かもしれない」と気付けるかもしれません。

「私のことをわかってくれない」と悲嘆に暮れるかもしれませんが、そこで初めて「では、私のお節介に疲弊しているかもしれない相手の心情を、私はどれがけわかろうとしているだろう」と気付くかもしれません。

“ご近所さん”にこのようなことに気付いてほしいと思えれば、それはエムさんの心にゆとりが生まれた証拠です。“ご近所さん”の言動に疲弊したり、ストレスを感じたりする度合いは激減します。

ご近所ですから物理的に距離を取るのは難しいでしょう。しかし、“ご近所さん”の言動には「そうなんですか」と「そのうちにね」で対応するくらいの心の距離を保っても、何の問題もありません。

付かず離れずの近所付き合いができるようになることをお祈りしています。

回答者プロフィール:名取芳彦さん

回答者:名取芳彦さん

なとり・ほうげん 1958(昭和33)年、東京都生まれ。元結不動・密蔵院住職。真言宗豊山派布教研究所所長。豊山流大師講(ご詠歌)詠匠。写仏、ご詠歌、法話・読経、講演などを通し幅広い布教活動を行う。日常を仏教で“加減乗除”する切り口は好評。『感性をみがく練習』(幻冬舎刊)『心が晴れる智恵』(清流出版)『気にしない練習』(三笠書房)、『心がすっきりかるくなる般若心経』(永岡書店)など、著書多数。


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