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- 人生相談:認知症の父の自宅介護…施設も考えるべき?
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、50歳女性の「認知症の父と、神経痛の母。自宅介護をしたいけど、施設入居も考えるべき?」という相談に、介護・暮らしのジャーナリスト、太田差惠子さんが回答。
50歳女性の「認知症の父の自宅での介護」についての相談
現在、夫(50歳)と長男(22歳)、長女(18歳)、私の両親(父84歳、母82歳)で、二世帯住宅で暮らしています。
コロナ禍で外出しなくなったことがきっかけで、父の認知症が進み、自分が今どこにいるのか?ということが、わからなくなってしまったようです。家にいるのに「家に帰る!」などと言うようになりました。
父は基本的に優しい人なので、認知症になっても穏やかで、何度も同じことを言ったりはしますが会話も普通にでき、着替えなど少し介助が必要な程度です。
母は神経痛があり、ひどいときは歩行が不自由になることもあり、できることが減ってきました。
今は私の職場が近いので、昼に一度自宅に帰り、一緒にご飯を食べたりできる環境ですが、このまま家で介護を続けられるか心配です。
二世帯住宅ですし、可能な限り家で介護したいと思っていますが、施設の検討なども視野に入れた方がいいのでしょうか?
(50歳女性・からすの娘さん)
太田さんの回答:在宅が難しくなることも視野に入れて
二世帯住宅で暮らすお父様が認知症で、このまま在宅で介護を続けられるか、ご心配なのですね。現在は、仕事の昼休みに帰宅して一緒に昼食を食べられており、ご両親もからすの娘さんのことを頼りにされていることと思います。
今は、お父様の状態は比較的安定し、穏やかにお過ごしとのこと。けれども、将来のことはわかりません。症状が悪化することもあり得るでしょう。「最期まで在宅で介護を続ける」と決めてしまわない方が良いと思います。
例えば、からすの娘さんが、お昼の時間帯に家に戻るだけでは介護が追い付かなくなる日がくるかもしれません。また、お母様も神経痛を患っておられるとのことなので、いずれ日中にお父様と二人で過ごすことが不安になられることも考えられます。
在宅でホームヘルプサービスやデイサービスを利用しても対応が難しくなってきたら、施設介護に移行するのも選択肢だと思います。
備えあれば憂いなし!今から施設見学を始めて
「在宅では介護が難しい」と思うタイミングは、徐々に訪れるかもしれませんが、突然やってくることもあります。備えあれば憂いなしという言葉があります。今から“もしかしたら”に準備しておきませんか。少しずつ近辺にどのような施設があるかを調べ、見学をしておくことをおすすめします。
認知症介護に特化したグループホーム、あるいは有料老人ホームや特別養護老人ホームなどが選択肢となるでしょう。
それぞれの施設で、入居条件、ケアの方法、雰囲気、それに費用も異なります。見学をして、説明を聞くことで、お父様に合うのはどういう施設かが見えてきて、将来をイメージしやすくなるでしょう。
からすの娘さんはどうかわかりませんが、親を施設に入れることに対し、申し訳ない気持ちになる人もいます。
けれども、もし、トイレや入浴に介助が必要になると考えてみてください。家族がサポートするより、プロの介助のほうが本人も安心できる面もあるのではないでしょうか。それに、施設に入居されても、近所だったら、ちょこちょこ面会に行くこともできるでしょう。
お父様も、からすの娘さんが介護のために無理をしたり、離職したりすることを望んではおられないと思います。当面は在宅サービスをしっかり活用し、将来的には施設のことも想定しておくと家族皆の安心につながると思います。
回答者プロフィール:太田差惠子さん
おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)、『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』(産業編集センター)、『親の介護で自滅しない選択』(日経BP)など多数。
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