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- 人生相談:認知症の父が家族以外の介護を拒否する…
「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、57歳女性の「認知症の父を母が老々介護。家族以外の介護を拒否する父に困っています…」という相談に、介護・暮らしのジャーナリスト、太田差惠子さんが回答。
57歳女性の「認知症の父の介護拒否」についての相談
現在両親とは別々に暮らしていて、父が認知症、母が父の世話をしています。父は家の外に出たがらず、ショートステイもデイサービスも嫌がり、母が実家で一人で介護をしている状況です。
母はかなり疲れてしまっているようなので、どうにか介護の負担を軽減させてあげたいと思っていますが、私も仕事で毎日クタクタなので、実家に行くのが難しい状況です。
家族以外の人と接すること、家から出ることを拒否し続けている父を説得して、母の負担を軽減させてあげる方法はあるのでしょうか?
(57歳女性・マミさん)
太田さんの回答:まずは「デイサービス」へ連れ出す!
高齢の親の介護……。離れて暮らすマミさんとしては、お母様まで共倒れにしないかとさぞ心配なこととお察しします。
介護する親の負担を軽減するためにデイサービスやショートステイの利用をすすめても「そんなのはいらない!」と本人は拒否。マミさんのところに限った話ではなく、とても多い事象だといえます。
けれども、だからといってそのままにしていると、共倒れが現実になりかねません。
ショートステイの利用は第二段階として、まず、デイサービスに参加してもらう方法を考えてみたいと思います。ここからは親をデイサービスに参加させることに成功した5つの事例を紹介します。
事例1:「スポーツジムのようなところ」と誘う
デイサービスといえば、みんなで歌ったり、ゲームをしたり、体操をしたりするイメージが強いのではないでしょうか。「そんなのやりたくない」と言う親はけっこういます。
そこで、ケアマネジャーに近隣のデイサービスで行われているプログラムについても教えてもらい、本人が好みそうなプログラムがあるところを選びます。例えば、運動面に力を入れるデイサービスもあります。「スポーツジムみたいなところよ」と言って、参加させることに成功した事例を複数聞いています。
また、平均寿命も影響し、参加者の女性比率が高いところが多く、男性からするとなじみにくいという声を聞くことがあります。参加者の男性比率の高いところを選ぶのも方法です。
事例2:「広いお風呂に入りに行こう」と誘う
現在、自宅でお母様が入浴介助もされているかもしれません。一般的に男女で体格差があり、お風呂の介助はかなり大変です。
そこで、「お風呂介助は素人では危険! ケガでもしたら困る。お風呂だけはデイサービスで入ろう。広くて、気持ちいいよ」と促して参加させることに成功した事例を結構聞きます。
慣れるまでは、入浴タイムを中心に利用時間を短くプランしてもらえば良いでしょう。
事例3:当面付き添う
上記方法を選択する場合も、最初は家族が付き添うのも一案です。
特に認知症がある場合、初めての場所、しかも初めてのスタッフと向き合うことは戸惑いが生じる可能性も。少しずつ慣れてもらえるよう家族が同行するのです。数回付き添うことで、なじんでくれた事例もあります。
事例4:主治医から提案してもらう
家族の言葉には耳を貸さない親は少なくありません。そんな親も、医師の言葉には耳を傾けてくれることがあります。
主治医から、「元気になるために、デイサービスに参加してみたら?」と言ってもらってはどうでしょう。成功率は高めです。
事例5:デイサービスで役割を作ってもらう
デイサービスに行く理由付けのために、簡単な役割を作ってもらえないか聞いてみましょう。
ある女性の母親は、タオルを畳む役割を与えてもらいました。「お母さんはタオルを畳むのが上手だから、デイサービスの人が、『手伝ってほしい』って」と、母親にアプローチ。母親はタオルを畳むためにデイサービスに通うようになりました。
ある男性はレクリエーションの椅子並べを手伝うことに。「お父さんに、レクリエーションのときの会場設営を手伝ってほしいんだって」と言うと「仕方ないな」と父親は出掛けるようになりました。
デイサービスの職員は介護のプロです。参加させるための動機付けについて相談してみると、良い策を提案してくれるかもしれません。
マミさんをはじめ、デイサービスに参加することを拒否する親に悩んでいる方、それぞれの事例を参考にしてください。地域包括支援センターのスタッフや、ケアマネジャーにも使えそうな知恵がないか聞いてみることをおすすめします。
回答者プロフィール:太田差惠子さん
おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト、NPO法人パオッコ理事長、AFP(日本ファイナンシャル・プランナーズ協会認定)。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。取材活動より得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」 等の視点でさまざまなメディアを通して情報を発信する。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと第3版』(翔泳社)、『得する!楽しい!安心!シニアの暮らし便利ブック』(産業編集センター)、『親の介護で自滅しない選択』(日経BP)など多数。
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