50代からの女性のための人生相談・168

人生相談:祖母や母から受け継いだものを整理したい…

阿部絢子さん
回答者
生活研究家・薬剤師
阿部絢子

公開日:2023.12.26

「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、67歳女性の「祖母や母、夫の両親が残したものを整理したい!でも、故人を思うと処分できない…」という相談に、消費生活アドバイザーの阿部絢子さんが回答。

67歳女性の「祖母・母から受け継いだもの」についての相談

私はものが捨てられない性格です。祖母や母、夫の両親などが残した大量のものを「いつか使うかもしれない」と思い、ずっと持ったままでいます。

リサイクルショップやアプリ(メルカリ)などで売ろうと思っても、すごい安値なので「亡き方々に申し訳ない」と思い、なかなか持ち込めません。

特に、高価なものや先祖歴代の家伝的なものは、どうしたらいいのかわかりません。

このまま息子のお嫁さんに残すのは申し訳ないので、どうにかしたいとは思っています。祖母や母から引き継いだものを、どのように片付けたらいいか、いいアイディアをいただきたいです。

(67歳女性・すうちゃんさん)

阿部さんの回答:「故人の意思」を尊重して選別を

阿部さんの回答:「故人の意思」を尊重して選別を

先日、知り合いのお父様の遺品整理の手伝いに出掛けました。お父様の最期は、知り合い家族と一緒に過ごしたのではなく、自宅でのヘルパーさんとの暮らしを選んだそうで、二階建ての広大な屋敷の各部屋、至る所にお父様の遺品がそのままで、生前暮らしていた時がそっくりと残されていました。

あまりにも膨大な遺品数と量、この状態に、整理する本人は「どこから手を付けていいかわからない……」と、こぼしていたのです。

本来、遺品とは「故人が生前の暮らしの中で大切にしていた」「家族に受け継いでほしいと思っていた」「家宝にしてほしいと願っていた」といった、故人の思い出が詰まった品々のことです。

故人と一緒に暮らしていれば、そうした思いは残された家族にもよく伝わっていたはずです。しかし少し疎遠状態となっていた場合、果たして残された品々のどれが思いの詰まった遺品なのか……と残された家族に判断が付きにくいのは仕方ないことかもしれません。

遺品を整理するときには、その点を見極めて判断することが大切です。ですから、私の知り合いには、遺品について「まずはおおざっぱに部屋別に選別していくこと」をおすすめしました。

まずは「気にかかる場所」から整理をスタート!

まずは「気にかかる場所」から整理をスタート!

例えば、部屋別にすると、まずは、気にかかる場所を選んで整理する場所を決めます。

私の知り合いは、真っ先に書斎を選びました。そして書斎を眺め、そこにある遺品類を大きく分類して取り出してみます。すると、書斎には生前使用していたカバンや手帖、ノート、カメラと写真類などが書斎にぎっしりと現れたのです。

その分類された遺品から「故人が思い出を持っていた品」を、整理する人が選び取っていくのです。

この選び方は、整理する人の判断で十分です。「生前の思い出と一緒に遺品として拾っていく」これが遺品整理ということになります。

と言っても、膨大な種類と量ですから、すべてを拾うというわけにはいきません。そこは、故人の思いを受け取る作業として、本人(整理する人)が強く残したいと思う判断でいいのではないでしょうか。

こうした考えを基本として、手伝った当日は整理者本人が膨大な遺品の種類と量の中から、まずは整理する場所を選び、そこにある遺品の種類と量をおおざっぱに分類整理をしていったのです。

その後、整理者本人から「自分としての整理の第一弾として、故人が書き残した数冊のノートと手帖、そして数枚の写真を遺品に選び取った」との結果の報告がありました。

次にリビングや寝室、最後にキッチン、玄関へと順に、範囲を広げて行く予定であること。もし“譲る、売る、リサイクルする”などの品々があれば、その手立ても取っていくつもりであるとも話していました。

整理の第一歩は「お祖母様・お母様から受け継いだもの」を選別

まずは「お祖母様・お母様から受け継いだもの」を選別

すうちゃんさんも、膨大な遺品の品々をずっと持ったままだと、おっしゃっています。生前の故人の遺志を尊重することが大事ですから、まずは、受け継いだと判断している品を、分類してみてはいかがでしょうか。

例えば、“高価なもの”“歴代の家伝的なもの”そして“「いつかは使うかもしれない」と考えているもの”です。その中で、高価なもの、歴代の家伝的なものは、これぞ遺品というものですから、そのままの形で、手元に残しておきましょう。次の代に、責任を持って伝え残すことも大切です。

次に、「いつかは使うかもしれない」と考えているものについてです。こうした遺品は、そのままで残す、あるいは形を変えて残す、という選択肢があります。このどちらにしていくかを、一つ一つの遺品と向き合い、判断していくことが大切です。もちろん、判断は、家族全員で行っていきます。

そのままで残す場合も、置き場所やそのスペースなどを考慮しましょう。場合によっては、残すけれど、実物ではなく、写真で、ということもありましょう。

また、形を変えて残すという判断も大切です。その場合にも、どこで形を変えていくか、その費用はどうするか、などを検討していくことです。

こうして、多くのお祖母様・お母様から受け継いだものから、さらに、残していくものを選び取っていくように進めていきます。

最後に、この選別から外れた遺品についてですが、機会があれば、無償を覚悟で、リサイクルする、販売する、譲るなどの手立てを考えてみることです。

まずは、遺品中の残す遺品を選び出すことから、始めてみてはいかがでしょうか。一歩進んでみると、次の一歩も見えてくるはずです。始めなければ、何事も進んでいきませんから。

回答者プロフィール:阿部絢子さん

回答者プロフィール:阿部絢子さん

あべ・あやこ 1945年、新潟県生まれ。生活研究家(消費生活アドバイザー)・薬剤師。家事全般や食品の安全性の専門家として活躍。薬剤師の資格を持ち、今も現役で働いている。


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