50代からの女性のための人生相談・182

人生相談:家族5人の生活費が月16万円では厳しい!

畠中雅子
回答者
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子

公開日:2024.03.30

「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、50歳女性の「夫から受け取る月の生活費が16万。家族5人の生活費には足りないので、もう少し夫の協力を得たい…」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答。

50歳女性の「夫からもらう生活費では家計が苦しい」という相談

現在は、長男が大学進学を機に家を出て、下の2人の子どもと夫の4人で暮らしています。

結婚してから、夫は収入や貯蓄額を教えてくれません。毎月、生活費として16万円を渡してくれますが、5人分の生活は16万円では足りず、毎月、私が働いた分から補填している状況が続いています。

大学生の息子への仕送り、親の介護なども重なり、体調を崩しがちなので、仕事を辞めたいと思っています。しかし、それでは生活ができなくなってしまうので、仕事を辞められずにいます。正直、体がきついです。

夫にもう少し協力をしてもらうことや、毎月貯蓄に回すお金を減らしてもらうことなども考えるのですが、なかなか言い出せずにいます。このままでは家計も、私自身もきつくなる一方なので、どうにかしたいです。いいアドバイスをお願いします。

(50歳・みーこさん)

畠中さんの回答:家計の合計収入をつかむのは必須の作業

畠中さんの回答:家計の合計収入を掴むのは必須の作業

大学生を含む5人家族の生活費が16万円というのは、やりくりがきつくて当たり前だと思います。体がきつくて、働くのも厳しいのに、夫に収入や貯蓄の開示について、あるいは生活費の増額を言い出せないのは、なぜでしょうか?

「聞きづらい」のが原因だとすれば、勇気を出して聞き出すしかありません。

「お金のことを聞くと、夫が怒り出す」のであれば、会話は最小限にとどめて、収入や貯蓄状況を紙に書いてもらえるように促すのが良いと思います。収入や貯蓄を書いてもらうためには、みーこさん自身も家計費の内訳を丁寧に書き出して、夫に見せる必要があります。

家計がいかに厳しいかを、数字で伝えるのです。

畠中さんの回答:家計の合計収入を掴むのは必須の作業

現時点でみーこさんは、家計収入の合計額を掴んでいないとします。高校時代の助成金に当たる、修学支援金や私立高校の助成金の申請はどうされていましたか?

収入によって、受けられる支援が変わってきますが、収入証明などは夫が取って申請書類に添付されているのでしょうか。家計全体の収入をつかんでいないことで、もらえるはずの助成金を逃している可能性もあります。

高校だけではなく、大学の給付型奨学金についても、収入を把握するのは必須です。

特に2024年度からは、3人以上の子どもがいる多子世帯が大学に進学する場合、給付型奨学金を受けられる収入基準が緩和されます。2023年度までは380万円程度までが対象となっていた給付型奨学金の収入制限が、多子世帯の場合は600万円程度まで緩和されるのです。

3人の子どもがいらっしゃる、みーこさんのご家庭も、収入によっては給付型奨学金の対象になるかもしれません。夫に生活費のアップをお願いするのと並行して、家計収入の全容をつかむ必要があるわけです。

仕事を変えて、働く時間を減らすことも検討してみては?

仕事を変えて、働く時間を減らすことも検討してみては?

収入全体をつかむだけではなく、貯蓄額の把握も必須です。上の子に仕送りが必要ということは、下の子にも必要になる可能性があるはずです。

下の子が大学を卒業するまで、今の働き方を続けるのはきついのであれば、貯蓄額の把握も欠かせません。夫から聞き出した貯蓄額に余裕があれば、その中から下の子の学費や生活費をどのくらい取れそうかを検討して、いったん退職する考え方もあるでしょう。

一方で、教えたがらない場合は貯蓄が少ない可能性もあります。思ったよりも貯蓄が少なければ、みーこさんが仕事を辞めることで家計が成り立たなくなるかもしれません。

そうはいっても、今のまま働き続けると、体調を崩して働けなくなる可能性もありますので、社員でない形に働き方を変えるというのはいかがでしょうか。パートのように、働く時間数を減らして、体への負荷を減らすのです。

自己都合の場合は、2か月の給付制限期間があるものの、失業手当をもらいながら、ゆっくりと仕事を探してもよいでしょう。

またみーこさんの収入が減ることで、来年度(2025年度)以降は給付型奨学金が受けられるようになるかもしれません。

いずれにしても悩んでいる時間はもったいないので、下の2人の子どもが安心して大学に進学できるようにするためにも、勇気を出して、夫に収入と貯蓄を尋ねてみてください。そのうえで、生活費の増額アップをお願いしましょう。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

畠中先生

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。


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