50代からの女性のための人生相談・177

人生相談:今までの生活費を父が請求…返済は必要?

畠中雅子
回答者
ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)
畠中雅子

公開日:2024.03.03

「50代からの女性のための人生相談」は、読者のお悩みに専門家が答えるQ&A連載。今回は、54歳女性の「頑固な父が大学までの生活費の返済を要求…素直に応じるべき?」という相談に、FPの畠中雅子さんが回答。

54歳女性の「父が今までの生活費の返済を要求…」という相談

現在私は54歳、両親は80代です。今は別々に住んでいて、私は夫と二人で生活しています。

父は昔から「子どもは親に絶対服従するべき!」という考えの人で、いろいろな無理を押し付けられてきました。そんな父の主張の一つに、「子どもが稼いだお金は親のもの」というものがあります。

現在、「大学まで出させてあげたのだから、稼いだお金で親に返済するべき!」と言われています。就職してから結婚するまでに稼いだお金から、数百万円単位での返済を求められています。何に使うのかを聞くと「親がどう使おうと親の勝手だ!」と言い返されてしまいます。

私たち夫婦には子どもがいないので「老後のためにも貯蓄として残しておきたい」という思いと、父の性格的に「払わないと面倒なことが起こりそうだな……」という思いが交錯しています。

お金のことで両親と不仲になるのは嫌なので、私は親が要求しているお金を支払うべきなのでしょうか……?

(54歳女性・TSさん)

畠中さんの回答:親子ともに納得できる解決は難しい…

畠中さんの回答:親子ともに納得できる解決は難しい…

今回のご質問を拝見して感じたのは「親子ともが納得できる解決策はなさそうだな」ということです。

私自身も、TSさんと同じ子ども側の立場で考えれば、お父様がおっしゃっていることは理不尽に感じます。自分が同じようなことを言われたとしたら、縁を切るまでいかないとしても、できるだけ連絡を取らないようにするだろうなと想像します。

そういう意味で、返還について真剣に悩まれているTSさんは、お優しいのだと推察します。

お父様が「大学まで出してやったんだから、親にお金を返すのは当たり前」だと考えていらっしゃるのなら、その考えを曲げるのは難しいでしょう。お父様は長年、そのような考え方を貫かれているとしたら、話し合いで解決できるような事柄でもなさそうです。

今回のご相談では、TSさんがどこまでお父様との付き合いを割り切れるかがポイントになるように感じます。

お父様の申し出をそのまま聞いていたら、TSさんご自身の老後生活にリスクが生じてしまうので、個人的な意見としては、要望通りの金額を渡す必要はないと思います。

とはいえ、要求通りの金額を渡さなければお父様との関係は悪くなると思うので、ある程度は「お父様の機嫌を損ねる覚悟」も必要になるのではないでしょうか。

渡すにしても、親の財産状況の確認が必要

渡すにしても、親の財産状況の確認が必要

そこで、一つ提案します。お父様は絶対に嫌がるはずですが、お父様に財産リストを作成してもらうように頼んでみてはいかがでしょうか。

親御さんの財産状況を把握して、生活に困ってお金の要求をするのか、生活には困っていないけれど子どもからお金をもらうのが当然だと思っているから要求するのか、を確認するためです。

お父様が子どもからお金をもらうのが当たり前と思っているならば、介護が必要になった場合などに、介護費用の追加負担を求められる可能性もあります。今後も次々と要求がきては大変なので、まずは財産リストの作成を促した上で、金銭援助の具体策を検討してはいかがでしょうか。

もちろん「財産リストを書いて」と頼んでも、すんなり書いてもらえるとは思っていません。リストの作成を頼むときは「書いてくれないなら、お金も渡せない」と伝えて、お父様の出方を見てみませんか。

実際に財産リストを作ってもらえるように促すために、金額だけを書き入れればすむような表を、TSさん側が作成することもおすすめします。A4用紙などで、金額だけを書き入れれば済むような表を作成してお父様に渡すのです。

「子どもには財産状況を教えたくない」と考える親御さんは多いですが、そのような方には「亡くなったら、いずれにしてもバレますよ。生きているうちに伝えれば、相続対策なども親子で協力できますが、亡くなってからだと対策は何もできなくなりますよ」と伝えています。

お父様が財産リストの作成を拒み続ける間は、援助(返還?)も保留にしておきましょう。ここらへんは、TSさんとお父様の根くらべになります。

お父様が財産リストを作成し、財産状況がわかったら、次は援助するか、否かを決めましょう。援助するとしても「金額の交渉」はするべきだと思います。

親の財産状況が把握できれば、援助すべきなのか、あるいは援助をしなくても、お父様の生活は成り立ちそうかがわかります。援助することになった場合は、いくらくらいの援助が適当なのかを、具体的に検討できるのではないでしょうか。

今のまま、言われるままに援助するのだけは避けた方がいいと思いますので、お父様との根くらべに負けないように、強い気持ちを持ってください。

回答者プロフィール:畠中雅子さん

畠中先生

はたなか・まさこ 1963(昭和38)年生まれ。ファイナンシャル・プランナー、CFP(R)。『70歳からの人生を豊かにするお金の新常識』(高橋書店刊)他、著書は70冊以上。また「ミニチュアワールドと観光列車」に造詣が深くブログを開設している。


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