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- 青木奈緖さんのエッセー講座5期第3回参加者の作品
「家族」をテーマにしたエッセーの書き方を、エッセイストの青木奈緖さんに教わるハルメクの通信制エッセー講座。大切な思い出を形に残すべく取り組む参加者たちの作品から、青木さんが選んだ3つのエッセーをご紹介します。
青木奈緖さんが選んだ3つのエッセー
「青木奈緖さんのエッセー講座」参加者による家族のエッセーです。クリックすると、作品と青木さんの講評をお読みいただけます。
「冬じたく」加地由佳さん
今夏の猛暑日はいつまで続くのかと思いましたが……
「命と寿命」古河順子さん
最近、何かと老いを感じることが多くなりました……
「短気な父の思いやり」橋本ひろみさん
昭和30年代の大掃除と言えば……
エッセーに関する質問・お悩みに動画で回答
エッセイストの青木奈緒さんを講師に、半年間でエッセーの書き方を学ぶ通信制エッセー講座。
このエッセー講座のテーマは「家族」。日本各地からご参加いただいた30名の皆さんが毎月1本、家族との大切な思い出をエッセーの形に残すべく取り組んでいます。
参加者ひとり一人がエッセーを書くうちに直面する悩みや疑問は、実は、書く人にとって共通する学びの宝庫です。ハルメクでは、月1回青木さんが参加者の質問に回答する動画を制作。現在の参加者が生き生きと学べるように、また、どなたでもご覧になって学びを生かせるように公開していきます。
第5期第3回目となる今回の動画では、「筆者である自分と読者との距離感」や「相手に伝えるうえで注意すること」について、青木さん作成の例文を元にお話を伺いました。
「エッセーは読者ありき。読者が著者と同じ熱量で読めるような文章を心掛けましょう」
青木さん:こちらに例文をご用意しました。これは本当によくある書き方です。悪くはないとは思いますが、面白いですか? と聞かれたらどうでしょう。
なぜ面白く感じない文章なのか……。
今回はこんな「よくある書き方」から見える書き方の注意点についてお話します。
ポイント1 読者のことを考えた構成と説明をしましょう
青木さん:よくある書き方のひとつに、「俯瞰から入る書き出し」があります。
今回の例文ですと、「昭和4年生まれの母は、苦労の多い一生を送りました」という部分です。
このお母さんの生涯を俯瞰して捉えるような「総論」的な入り方をすると、この後、印象的な「各論」があっても続けにくくなってしまいます。
書き出しは印象的な「各論」から入ると読者の心をつかみやすいです。
そして、例文は人生(総論)から人間関係(各論)へと進んでいきますが、読み進めていくうちに「筆者のお母さんの話」なのか「筆者の祖母の話」なのかだんだん分かりにくくなってきます。そして、視点はいきなり「筆者の叔父の話」へと飛びます。
登場人物が多いエッセーを書く場合はこのように「誰にとっての誰なのか」が分からない文章になってしまうことがよくあります。
筆者にとっては身近で関係性や人柄がよく分かっている登場人物でも、読者には分かりません。
この人が誰で、どこの人で、どんな関係性なのかを読み解く作業は読者にとってストレスにもなり、作品を読む意欲を削ぎます。
登場人物が複数出て来る場合は、なるべくそういったストレスを減らすようなわかりやすい表現を心掛け、ストーリーで読者を導くような書き方ができるといいですね。
ポイント2 書いている対象者への呼びかけで終わらせない
青木さん:例文のように自身の父母、または子どもや家族に「ありがとう」「ごめんなさい」で終わる書き方をよく見ます。
ただ、私はこの書き方をおすすめしません。なぜなら、エッセーは読者ありきで書くものだからです。
読者は筆者が「自分に語りかけてくれている」と思って読んでいます。でも、最後の最後に読者ではなく、作品の中の対象者に向けた一文で終わってしまうと、読者はどう思うでしょう?
それまで向き合って対話をしていたのに、急にそっぽを向かれたような残念な気分になってしまいます。
また、読者にとっては筆者の気持ちを押し付けられているように感じるかもしれません。
誰でも「ありがとう」「ごめんなさい」の気持ちはあります。けれど、エッセーでは直接的な表現、ストレートな言葉で落とし込むのではなく、どんな言葉を使い、表現したらそれが読者に伝わる作品になるのかを考えて書くようにしましょう。
ポイント3 「買いたくなる」ような魅力的なタイトルをつけましょう
青木さん:最後は、タイトルについてです。タイトルはとっても大切なものです。
例えば、書店へ行ったときを想像してみてください。
本を買うか、買わないか。並んでいる本の中からどの一冊を手に取るか、取らないか。その瀬戸際は、タイトルで決まりませんか。
もちろん、装丁に魅かれて手に取ることもあると思いますが、面白そう、読んでみようかなと興味を持たせるのは、やはりタイトルです。
タイトルは作品を総合的に捉えた内容のものよりも、作品の中の印象深い場面から考えてみることをおすすめします。
青木奈緒さんの今月の朗読作品
動画では、さらに詳しいお話や、青木さんの朗読もお楽しみいただけます。朗読するのは、何気ない日常の中で過ごしてきた家族の時間をしっとりと織りこんだ作品「冬じたく」(加地由佳さん作)です。
エッセイスト・青木奈緖さんのプロフィール
1963(昭和38)年、東京生まれ。文豪・幸田露伴を曽祖父に、作家・幸田文を祖母に、随筆家・青木玉を母に持ち、自身もエッセイストとして活躍。著書に『幸田家のきもの』(講談社刊)、『幸田家のことば』(小学館刊)他。
ハルメクの通信制エッセー講座とは?
全国どこでも、自宅でエッセーの書き方を学べる通信制エッセー講座。参加者は毎月1回家族の思い出をエッセーに書き、講師で随筆家の青木奈緖さんから添削やアドバイスを受けます。講座の受講期間は半年間。
2023年3月からは、第6期がスタートします(受講募集期間は終了しています)。5月からは、青木先生が選んだ作品と解説動画をハルメク365でお楽しみいただけます(毎月25日更新予定)。
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