公開日:2022/03/10
2020年7月に乳がんの診断を受けたファッションデザイナーの横森美奈子さん。抗がん剤治療によって髪が抜けても、ウィッグや帽子でカバーして前向きに楽しんでいました。今回は、そんな横森さんにウィッグをおしゃれに楽しむコツを教えてもらいます!
おしゃれは「服より髪!」が持論の私(笑)。そんな私が乳がんとわかり、抗がん剤治療が決まったときに思ったのは、まずおしゃれなウィッグを探すことでした。
幸いステージ1~2、転移なしの早期発見ということもあり、どっぷり落ち込んだり泣いたりは、ほぼなし。仕事も忙しかったのでそれどころではなく、でもウィッグのことは頭から離れず(笑)。いっそ「初めての自分を楽しんじゃえ」という気持ちでした。
あれこれリサーチした結果、「自然なウィッグ」を求めるのは無理があると思いました。どうせウィッグとわかるのなら、「なるべく自然で気付かれないように」という後ろ向きではなく、「あら、おしゃれなウィッグね~」という前向きを目指そうと。せっかくだから、ブロンドなどいろいろな色やスタイルも試してみたいと思いました。
そこで目を付けたのが、1万円以下の若い人向けのウィッグ。そこそこよく出来ていて、愛用しています。
今では治療後に髪が生えても、ウィッグをおしゃれの一部として楽しみたいとも思っています。みなさんも、自分に似合う髪色を試したいときやイメチェンしたいときに、ウィッグはいわば「帽子感覚」で便利ですよ。
黒やダークなブラウンのウィッグを選ぶと、年齢を重ねた肌とのコントラストが強くて肌質が気になったり、キツく見えてしまうことも。明るめのブラウンの方が優しい印象で顔色も明るく見えます。グレイヘアの延長として、ブロンドなどさらに明るい色を試してみるのも手ですよ。
ボブヘアの明るいブロンドは、グレイヘアのような優しいニュアンス。「似合う服まで左右する髪色。ブロンドだと淡く優しい色の服を選びたくなりますね」(横森さん)
医療用ウィッグではおしゃれなものが見つからず、オーダーすると10~30万円もして、気に入らなかったら……と考えるとリスクが大き過ぎ。
そこで横森さんが探したのが若い人向けのブランド「プリシラ」。フルウィッグでも1万円以下と手頃で品質も十分。人工毛なのでメンテナンスも簡単です。
上の写真の横森さんのフルウィッグは、若い人向けの7000~8000円のもの。主に前髪の部分を何回かに分けて自分でカットしました。
前髪ウィッグを帽子と合わせると、意外とシックな感じに。「前髪だけお試し感覚で、似合う色を探してみるのもおすすめ」(横森さん)
病気という変化で自分のものの見方もいろいろ変わり、優しい色や女性らしいコーディネートを好むようになったという横森さん。「前髪ウィッグ+帽子」をファッションの一部として楽しんでいます。上の写真のスカートはユニクロです。
全然着ていなかった去年のワンピースも、とても着たくなって新鮮な自分を発見。実は苦手だった帽子に開眼したかも?
「きもののときはいったいどうする?」と家でウールの普段着を着てみた横森さん。意外と新鮮なスタイルでした。
前髪ウィッグは、地毛がない場合、ベロアのヘアバンドのような「ウィッグバンド」に安全ピンで留め付けると便利ですよ。
最後に、番外編として横森さんの乳がん発覚以降のヘアスタイルの変化をまとめて公開します。
7月に発覚、9月に全摘再建手術。その間は仕事も忙しかったので、11月の抗がん剤治療で仕事を休む前にFacebookでカミングアウトしました。
入院なので洋服はないものの、デジタル機材や食糧などあれこれ持参して海外旅行並みの大荷物に。「入院バカンス」と称して自分時間を楽しむ方向でした。
「どうせ髪が抜けるなら、この際やりたいことをやっちゃおう」と、思い切ってベリーショート&ブリーチに挑戦。
抗がん剤治療は、1回目だけ1泊入院し、2回目からは通院に(週1×12回)。病院には白髪の人が多いので、プラチナヘアで通院してもまったく違和感なし(笑)。
抜けた髪が服についたり、床に散らかるのが嫌だったので、指の入る長さ2~3cmで自分でザンギリカット!始末がラクになりました。
「短髪でも抜けるのがうっとうしい」と、病院の理容室で人生初のバリカンを経験。前髪とサイドだけを残して、すっきり刈り上げてもらい爽快でした。
横森さんは全摘手術を経て、仕事にも復帰。がんも明るく乗り越える姿がとても素敵でした!
構成=五十嵐香奈(ハルメク編集部) 撮影=日高奈々子 ヘアメイク=木村三喜
※この記事は雑誌「ハルメク」2021年4月号に掲載された内容を再編集しています。
■もっと知りたい■
▼横森さんの記事はこちら!
「横森美奈子の目からウロコのおしゃれ塾」は、雑誌「ハルメク」で毎月好評連載中! 最新情報もあわせてチェックしてくださいね。
※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。
この記事をマイページに保存