公開日:2020/11/09
ファッションデザイナー・横森美奈子さんが、50代・60代女性におしゃれのコツをアドバイスする連載企画。今回のテーマは「大人のコートコーデ」。地味&マンネリ化しやすい冬コートをおしゃれに見せる、着こなしのポイントを教えてもらいました。
黒・グレー・ベージュなど、冬コートは地味な色が多いものです。いろいろな服に合わせるというコートの性格上、致し方ないことですが、ベーシックな色のコートをただ普通に着ても、あまりおしゃれには見えませんね。
コート選びで一番大切なのは、デザイン。同じようなカラーのコートでも、デザインが変わるだけでグンとおしゃれに見えるようになります。
それを感じてもらうために、インナーはそのままアウターだけを変えて、見た目がどのくらい変化するのかを確認してみましょう。まずは、黒のダウンのピーコートです。
そもそも、ダウンコートは兵士や猟師たちの作業着を発祥とする実用着。ピーコートも原形は男性服なので、無造作に着てしまっては、全然しゃれっ気は出ないわけです。
50代・60代の女性は、“コートは値が張る”という時代を経てきたので、ついずっと昔のものを着てしまう、ということもあるかもしれません。
でも今は、安くおしゃれなコートが買える時代です。例えば、下の写真で私が着ているフェイクスエードのコートは、ZARAで1万円以下で購入したもの。
上の写真と同じ、ボーダーシャツにワイドパンツというカジュアルな普段着でも、一枚羽織れば、それだけでおしゃれなコートコーデの完成です。
フェイクスエードのコートは、しなやかで着心地よく、雨風も気にせず、ほとんど手入れも必要ないのがうれしいところ。意外と暖かいので、インナーダウンを活用すれば真冬まで着られます。
形やデザインが今の自分に似合わないと感じるなら、“コート=高い”という思い込みを捨てて、新しい服でコートコーデに挑戦してみるのもおすすめですよ。
続いては、大人女性にありがちなコートコーデのお悩みを解決する方法を紹介します。
今回、大人のコートコーデに挑戦するのは、読者モデルの内藤輝美さん (60歳)。
「コートは値が張るので、カジュアルスタイルが基本。何にでも合わせやすいグレーや黒など、大人しい色ばかり選ぶので、着こなしが暗くなるのが悩みです」という内藤さん。
そんな内藤さんに「カジュアルなコートこそ、無難にコーデするのはNG!」と横森さん。
カジュアルなコートの原形は、ほぼ男性服。無造作に着ては“オジサン化”するので要注意! ストールやマフラーなど、顔まわりに明るい色を持ってきて、アクセントをつけましょう。
▼おしゃれなコートコーデのポイント
「重いコーデになりがちな冬こそ、パンツは足首丈がおすすめ。“足首を出すのは寒そう”と思うかもしれませんが、膝下ストッキングを重ねばきすれば、防寒も万全です。靴はスニーカーやショートブーツでもOK! きれいめカジュアルを目指しましょう」
「値段の高かったコートは、ほとんど着ていなくても、なかなか手放せません」と内藤さん。そこで、手持ちのコートを横森さんに診断してもらいました。
「デザインが古いコートは手放す決断を。実際に着て見て、老け見えするようなら手放すが正解です」と横森さん。
次にチェックしたのは、10年間で数回しか着ていないという、濃いグレーのコートです。
こちらは今でも着られるデザインですが、日常的に着回すのは難しそうです。
「高価でも普段使いが難しいコートは、葬祭用と割り切って」と横森さん。
▼おしゃれなコートコーデのポイント
「コートに限らず、長年着ていない服は今でも似合うのか、実際に着てみて判断を。カジュアルとフォーマルなど、場面に合わせてアイテムを使い分けるのも、おしゃれな着こなしのコツです」
「ダウンコートを着るともっさりして、ただの“寒がりさん”に見えてしまう」という内藤さん。
横森さんは「ダウンコートにこそ、スカートやワンピース、カラータイツなどを合わせ、女性らしい軽やかなおしゃれ感を」とアドバイスします。
ダウンは太って見えると決めつけないで! コーデ次第で堂々とエレガントな雰囲気になります。さらに、ベルトでボリューム感にメリハリをつけるのもおすすめです。
▼おしゃれなコートコーデのポイント
「冬のおしゃれには抜け感も大事。重たいコートの中には、軽いワンピやスカートを合わせて。スカート=寒いは思い込みです。あったか素材のタイツや膝上丈のロングパンツなど、中にいくらでも重ねられるからです。足元の防寒はロングブーツがおすすめです」
新しい服に挑戦したくても「コートは高価なものだけに、思い切ったデザインに挑戦できない」という大人女性も多いよう。
内藤さんも「カラーコートが欲しくて昨年買った、『薄いグリーン』のコート。でも、なんだかおしゃれに見えないんです」といいます。
そんな内藤さんに「“コートを買うなら一生ものを”という考えは時代遅れ。今は1万円台のコートでもいいものがたくさんあります。ぜひきれい色のコートにチャレンジを!」と横森さん。
カラーコートを買うなら、新しい要素のあるものを手頃な価格で楽しむ方向がベストなようです。
「自分では絶対に選ばないサーモンピンク。でも、何だか明るく若々しい気分になりますね! 今年こそ明るい色のコートに挑戦したいです」と内藤さんも満足そう。
おしゃれに年齢は関係ありません。みなさんも今年は新しいコートで「大人のコートコーデ」を楽しんでみませんか?
▼おしゃれなコートコーデのポイント
「薄手のコートでも、インナーダウンを下に着れば体温調節ができて便利。カラーコートの中は黒で統一し、縦長ラインでスタイルよく見せましょう。チラッと肌見えも抜け感につながり軽やかさがアップしますよ」
構成=五十嵐香奈(ハルメク編集部) 撮影=中村彰男 ヘアメイク=木村三喜
※この記事は雑誌「ハルメク」2019年12月号に掲載された内容を再編集しています。記事内の年齢は、掲載時のものです。
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