3人に1人?「帯状疱疹」50代以降から急増する身近な病気の基礎知識
誰にでも起こりうる帯状疱疹の予防と対策#2
「帯状疱疹」痛みや発疹が出たら迷わず受診を!症状と治療を専門医が解説
50代以降から発症率が急増する、気を付けなければならない病気「帯状疱疹」。その症状と治療について皮膚科専門医が解説します。痛みと発疹がセットで現れたら、帯状疱疹の可能性が高いので、早めに医師の診察を受けましょう。
INDEX
教えてくれた医師:松尾光馬さん
まつお・こおま 中野皮膚科クリニック院長。日本皮膚科学会皮膚科専門医・医学博士。東京慈恵会医科大学医学部卒業、同大学附属病院皮膚科、富山医科薬科大学ウイルス学講座などを経て、2014年に開業。単純ヘルペスや帯状疱疹の治療・研究に加え、一般的な皮膚疾患や美容皮膚科にも対応。「帯状疱疹ガイドライン2025」策定委員会メンバーも務める。
【帯状疱疹の可能性チェック】こんな症状はありませんか?
- ピリピリ、チクチクする痛みや違和感が出てきた
- 虫刺されのような赤い発疹が現れた
- 痛みと発疹は体の片側だけにある
- 痛みと発疹はほぼ同じ場所にある
- 痛みが強く、眠れないことがある
- 症状が出る前に過労やストレスがあった
- 最近、症状周辺にけがをした、または運動で負荷をかけた
思い当たる人は帯状疱疹(たいじょうほうしん)の可能性あり。我慢せずに治療を受けましょう。
初めは虫刺されやかぶれと勘違いする人も
前の記事では、帯状疱疹が増えている背景や症状が出る原因を紹介しました。
帯状疱疹の症状は、ある日突然現れます。「前駆痛」と呼ばれるピリピリするような痛みがまず出現し、4~5日ほどたつとその周辺に赤い発疹が顔を出してくるのが、典型的なパターン。「初めは虫刺されやかぶれと勘違いする人もいます」と松尾さん。
赤い発疹は痛みを伴いながら、やがて水ぶくれになり、膿(うみ)を持ったり、ただれたりした後、かさぶたになって治癒へと向かいます。皮膚の症状は発症から2〜3週間ほどで治るのが一般的です。
もし上のような症状があれば帯状疱疹の可能性が高いと考え、できるだけ早く皮膚科やかかりつけ医を受診しましょう。
「発症初期ほど効果が高いので、発疹が出た日から3日以内に治療を開始するのが理想的です。
特に顔に症状が出た場合は、治療が遅れると脳梗塞や視力低下、難聴、顔面神経麻痺などの合併症を起こすこともあるので要注意です」と松尾さん。ちなみに四谷怪談のお岩さんは顔の帯状疱疹だったとの説もあるそうです。
帯状疱疹はこんな経過をたどります
1.発症
ピリピリ、チクチク痛む
2.4~5日ほどすると……赤い発疹が出現

ここで3日以内に治療開始!
- 抗ウイルス薬を1週間飲み続ける
- 鎮痛薬で痛みを抑える
3.水ぶくれになる

膿がたまったり、ただれたりする
4.かさぶたになる

痛みをしっかり抑えることが重要!
5.2~3週間ほどすると……治癒
6.痛みが残ると……帯状疱疹後神経痛
3か月以上、強い痛みが続く
抗ウイルス薬と、痛みを和らげる鎮痛薬の2本柱で治療
治療はウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬と、痛みを和らげる鎮痛薬が2本柱です。
「抗ウイルス薬は1週間服用します。症状がよくなっても最後まで飲みきるようにしてください。薬の種類はいくつかありますが、近年は腎臓の機能が低下した人や高齢者も比較的安全に使える『アメナメビル(販売名:アメナリーフ)』という薬がよく処方されています」(松尾さん)
痛みに対しては、解熱鎮痛薬のアセトアミノフェンなどが処方されます。
「痛みは我慢しないことが肝心。処方された薬が効かない場合は、必ず医師に相談してください。薬を変えたり、ペインクリニックを紹介したりすることもあります」(松尾さん)
帯状疱疹の後遺症で怖いのが、痛みが3か月以上残る「帯状疱疹後神経痛」です。神経が障害されて起こる強い痛み(神経障害性疼痛-とうつう-)で、“焼けるような痛み”、“刺すような痛み”、“服が触れただけでも痛い”などと表現されます。
「発症初期の痛みとは異なるため、抗うつ薬や抗てんかん薬、オピオイド(麻薬性鎮痛薬)などで治療をします。年齢が上がるほど起こりやすく、50歳以上では約5人に1人といわれています。予防のためには発症初期から痛みをしっかり抑えることが重要です」と松尾さんは強調します。
帯状疱疹にかかったら気を付けたいこと

帯状疱疹自体は人にうつりませんが、水ぼうそうにかかったことのない人にウイルスが感染すると、水ぼうそうを発症することがあります。小さな子どもなど家族に心当たりがある場合は、皮膚症状が治るまで接触を避けた方が安心です。
患部は水ぶくれをつぶさないようガーゼで保護して。「消炎鎮痛薬の塗り薬やワセリンを塗ると、痛みの緩和にも役立ちます」と松尾さん。また発疹が出てから1週間程度は飲酒やハードワークを控え、十分な睡眠を。
取材・文=佐田節子、イラストレーション=落合恵、構成=五十嵐香奈(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年1月号を再編集しています。
次の記事では、重症化や後遺症を防ぐ帯状疱疹ワクチンについて紹介します。
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