股関節に痛みがなくてもおすすめ!専門医が教える3つの簡単エクササイズ
専門医が教える股関節ほぐし#1
衰え度をチェック!寝たきりにもつながる股関節の痛みの原因を専門医が解説
股関節は立つ・座る・歩くなどの動作に関わり体を支える重要な関節。痛みや不具合があると外出がおっくうになり、筋力低下から寝たきりになる可能性も。そうなる前に知っておきたい股関節の仕組み・痛みの原因・対処法を整形外科専門医に全3回で教わります。
INDEX
教えてくれた人:医師・高平尚伸さん

たかひら・なおのぶ 北里大学大学院医療系研究科整形外科教授および同大学医療衛生学部教授。1989年北里大学医学部卒業。同大学病院整形外科医局長、同大学大学院医療系研究科講師などを経て、現職。専門は股関節外科学。股関節痛の運動療法の開発や指導にも力を入れている。著書に『股関節痛 こわばり・だるさ・脚長差 自力で克服! 名医が教える最新1分体操大全』(文響社刊)など。
股関節の衰え度をセルフチェック!
まずは、自分の股関節の状態を知ることが大切。下記のチェックリストで、チェックしてみましょう。
- 動き出すときに股関節が痛む
- 脚を動かすとゴリッと音がして股関節が痛む
- 痛みがあるために股関節が動かしづらいことがある
- 股関節の痛みのために脚に力が入りにくいことがある
- お尻や太もも、ひざにこわばりや痛みがある
- 長時間の歩行や運動後などに脚の付け根に痛みを感じる
2つ以上当てはまったら、股関節の変形が始まっている恐れあり!
「不調があれば整形外科へ。『日本股関節学会』のサイトでは股関節専門医のいる病院を調べられます」(高平さん)
女性は妊娠や育児などで股関節が変形しやすい

人体最大の関節である股関節は、重い上半身を支え、歩く、座るなどの動作時にも重要な役割を果たしています。
「脚を前後左右になめらかに動かすことができるのは、股関節が自由度の高い球状の関節だからです。ただし、股関節には上半身の重みによる負荷がかかり続けているために、加齢とともに、痛みや違和感が生じやすくなります」
北里大学病院・整形外科教授の高平尚伸さんは、そう説明します。股関節の痛みにつながる変形性股関節症の患者数は500万人と推計され、そのほとんどは女性です。
「女性の股関節が変形しやすいのは、球状の関節を屋根のように覆う骨盤の寛骨臼(かんこつきゅう)という部分が、生まれつき浅い人が多いからです。
さらに、妊娠や運動不足で体重が増加したり、子どもを抱っこしたりして負荷がかかり、痛みが出ても育児や家事を休めないことが、股関節の変形を加速させています」と高平さん。
股関節の仕組みと痛みや違和感の原因を知ろう
股関節は、骨盤のくぼんだ部分である寛骨臼に大腿骨頭がすっぽりはまりこみ、22の筋肉群に支えられることで、前後左右に動かせるようになっています。クッションとして働く関節軟骨がすり減ると、股関節が変形し痛みが生じます。
体重が1㎏増えると股関節の負荷は3〜4倍増える

靴下をはくときなどに片足立ちをすると、股関節には体重の3〜4倍、階段の上り下りでは6〜7倍、歩行時につまずくと10倍の負荷がかかります。
「片足立ちは、脚の骨や筋肉を強化するために有効な体操ですが、痛みや違和感があるときには控え、股関節に過大な負担をかけないようにしましょう」と高平さん。
体重が1㎏増えると股関節の負荷は3〜4倍増えるので、太り過ぎにも注意が必要です。
股関節を骨折すると、がんよりも5年生存率が低い!

股関節の痛みや不具合を放置し続けると、いずれ歩行が困難になり、いっきに全身が衰え、命に関わることもあります。股関節を骨折した人の5年生存率は45.6%(下グラフ)と、すべてのがんの平均(全がん:64.1%)より低いのは、骨折後に寝たきりになって、肺炎や感染症などで亡くなる人が増えるからです。
「一生、自分の脚で歩けるかどうかは、股関節の若さと強さで決まります。股関節の痛みや不具合を軽減・予防し、若さを保つためには、縮こまっている、股関節を支える22の筋肉群とそれを覆う筋膜ラインをほぐすことが大切です」と高平さんは強調します。
股関節の動きは、主に2つの筋膜ラインに支えられている
筋膜ラインとは、体中の筋肉や腱、関節、臓器を覆っている結合組織(膜)のネットワーク。全身は大きく分けて4つの筋膜ラインでつながっていますが、特に、股関節の動きに関わるフロントラインとバックラインがこり固まってしまうと、痛みや違和感が生じます。
「痛みがある人でも、次回から紹介するストレッチなどで、筋膜ラインと筋肉をほぐすと、股関節の症状が改善します。ぜひ、今日から試してみてください」(高平さん)
取材・文=福島安紀、イラストレーション=金子なぎさ、構成=新井理紗(ハルメク編集部)
※この記事は、雑誌「ハルメク」2026年2月号を再編集しています。
次の記事では、簡単にできる股関節の痛みやこわばりをなくすエクササイズを紹介します。
■「専門医が教える股関節ほぐし」をもっと読む■
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