目の不調は早めのケアが大切

近視や老眼の「見えにくい」を放っておくと認知症リスクが高まるって本当?

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近視や老眼を放っておくと認知症リスクが高まるって本当?

40代頃から増える、老眼などの目の不調。視力低下は不便なことが増えるだけでなく、認知症のリスクにもつながります。視力と認知症の関係や、目と脳の健康寿命を延ばす対策について、早期からの認知症予防を提唱する医師・今野裕之さんに伺います。

視力が悪いと認知症のリスクが高まる?

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40歳を過ぎると、老眼をはじめとした加齢による目の不調が増えてきます。

「小さい文字が見えにくい」「目が乾きやすい」「目がかすむ」「目が疲れやすい」などの変化を感じたら、それは目の老化のサインかも。「そういう年齢だから仕方ない」と軽視されがちですが、視力が低下して視界がぼんやりしてくると、日常生活が不便になってきますし、転倒やケガのリスクも高まります。

さらに最近の研究では、視力低下が認知症のリスクにつながることもわかってきています。

世界的な医学誌『The Lancet』が設置した国際専門委員会は、2024年、予防できる可能性のある認知症のリスク因子に、新たに「視力低下」を追加しました。

より早期からの認知症予防(ブレインケア)を提唱する医師の今野さんはこう話します。

「未治療の視力低下と認知症の発症リスクとの間に関連があることが、複数の大規模研究の分析から明らかになっています」

視力を守ることは、暮らしの安全だけでなく、脳の健康を守ることにもつながります。

視覚情報が脳に与える影響は大きい

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今野さんによると、視力低下が認知症のリスクになる理由には、いくつかの要因が考えられるそうです。

「視覚は五感の中でもより多くの情報を脳に送っていると言われるため、視力が低下して目から得られる情報が減ると、脳の刺激も減り、認知機能の衰えが加速すると考えられます」(今野さん)

また、目が悪いと外出や人に会うことが億劫になり、それが運動不足や抑うつ、社会的孤立など、認知症の他のリスク因子を高める要因にもつながることもあります。さらに、読書や脳トレ、趣味などの知的活動がしづらくなる影響も考えられます。

「実際に、視界がぼやける・かすむといった症状が多い白内障の人が、手術によって視力を回復させると、認知症の発症リスクが約3割下がるという報告もあります」(今野さん)

40~50代は、白内障や緑内障、加齢黄斑変性といった、加齢と共に発症リスクが高まる目の病気も気になる世代。加齢による目の変化は、早く気づいて、早く対処することが大切です。

まずは以下のチェックリストで、現在の目の健康状態を確認してみましょう。

<目の健康状態チェックリスト>

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□目が疲れやすくなった
□夕方になると見えにくくなることが増えた
□新聞や本を長時間見ると疲れる
□食事のときにテーブルを汚してしまうことがたまにある
□眼鏡をかけてもよく見えないと感じることが多くなった
□光をまぶしく感じやすくなった
□目が乾燥しやすい
□まっすぐの線が波打って見えることがある
□階段や段差を危ないと感じることが増えた
□信号や道路標識を見落としそうになったことがある

当てはまる項目が多いほど、加齢による目の変化が始まっている可能性があります。

「これらの症状は加齢だけでなく、早期の対応が大切な目の病気のサインである可能性もあります。気になる症状がある場合は、一度眼科で検査を受けてみましょう」(今野さん)

40~50代からの視力を守る対策5選

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目の老化そのものは避けることができませんが、適切な対策によって目の健康寿命を延ばすことはできます。

ポイントは、「目のダメージを軽減する」「目の疲れをケアする」の大きく2つ。今野さんに、40~50代から始めたい視力を守る対策を教えてもらいました。

■対策1:サングラスや帽子で紫外線対策を
「目は非常に繊細で紫外線ダメージに弱く、過度に浴びてしまうと、白内障や加齢黄斑変性といった、主に加齢が原因で起こる目の病気のリスクが高まると言われます。外出時にはサングラスや帽子を使い、目を紫外線から守りましょう」(今野さん)

なお、サングラスのレンズの色の濃さは、あくまでもまぶしさを低減させるためのもので、紫外線カット効果とは別物です。

「色が濃いのにUVカット機能が不十分なレンズは、瞳孔が開いて逆に紫外線が入りやすくなることもあります。紫外線対策のサングラスでは、色の濃さよりも『UVカット率99%以上』『UV透過率1%以下』など、UVカット表示を必ず確認するようにしましょう」(今野さん)

■対策2:老眼が始まっているなら老眼鏡を使う
「未治療の視力低下」には老眼も含まれます。気になったら早めに眼科を受診して相談するようにしましょう。

「老眼は加齢に伴って目のピント調節力が低下し、近くが見えにくくなる状態です。老眼鏡などで適切な対策をすることは、脳に入る情報量を保つという観点からも大切です」(今野さん)

「たかが老眼」と放っておくと、見えにくいものを無理に見ようとすることで目や脳が疲れ、頭痛や肩こりを招いたり、老眼が進行するといった悪循環を招きます。

「手元が見えにくい」「夕方になると視界がぼやけることがある」など老眼のサインが見られる人や、「昔作った眼鏡が見えにくくなってきた…」など見え方の変化を感じている人は、眼科で視力検査を受け、適切な眼鏡やコンタクトレンズを使うようにしましょう。

■対策3:目の健康に役立つ栄養素で内側からもケア

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「スマホやパソコンの普及とともに、疲れ目に悩む人が増えています。日々、酷使される目を労わるには、目の健康にいいとされる栄養素を日常的に取って、内側からもケアをするのがおすすめです」(今野さん)

目の栄養にいいとされる栄養素には次のようなものがあります。

<ルテイン>
紫外線やブルーライトなどの光刺激を和らげる働きが報告されている栄養素。体内で合成することができないため、日々の食事で積極的に摂取することが大切です。

◎ルテインが含まれる食べ物……ほうれん草、ブロッコリー、ケール、かぼちゃ、にんじんなど。

<アントシアニン>
抗酸化作用や抗炎症作用を通じて、目の疲労感を軽減すると言われている栄養素。

◎アントシアニンが含まれる食べ物……ブルーベリー、ぶどう、シソなど。

ヨーグルトにブルーベリーをトッピングする、味噌汁やスープに緑黄色野菜をたっぷり加える、薬味にシソを使う…などを意識するだけでも、目を労わることにつながります。

■対策4:1年に1回は目の検査を受ける
目の病気の多くが、進行しないと自覚症状があらわれにくいとされます。

「失明原因の第1位である緑内障の他、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などの目の病気も、初期には無症状なことが多く、進行しないと気がつきにくいという特徴があります」(今野さん)

これらの病気の多くは、診断のきっかけが検診と言われますから、目の機能低下が始まる40歳を過ぎたら、1年に1回は健康診断や眼科で目の検査を受けるようにしましょう。

■対策5:目の病気に関係する生活習慣病を予防

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糖尿病や高血圧は目の病気と深く関係します。

定期的な健診と適切な治療、生活習慣によるケアなどで生活習慣病の予防・改善に努めることが、ひいては目の健康にもつながります。塩分や糖質・脂質の取り過ぎ、アルコールの飲み過ぎにも気をつけましょう。

「体の老化を早め、生活習慣病を引き起こす要因とされる酸化ストレスのケアも、目と脳の健康に役立ちます。酸化ストレスのケアでは、抗酸化作用を持つビタミンCやビタミンE、ポリフェノール類、ミネラル類といった栄養素を取るのがおすすめです」(今野さん)

  • ビタミンC……緑黄色野菜(パプリカ・パセリ・ブロッコリー・青菜類など)、フルーツ(キウイフルーツ・いちご・かんきつ類など)
  • ビタミンE……植物油(ひまわり油・やし油・べに花油など)、種実類(ごま・アーモンド・ピーナッツなど)
  • ポリフェノール類……プルーン・りんご・赤ワイン・コーヒー・緑茶・紅茶など。
  • ミネラル類……海藻類(わかめ・のり・昆布など)、魚介類(桜えび・うるめいわしなど)、納豆など。

フルーツは皮にもポリフェノールが豊富に含まれているため、できれば皮ごと食べるのがおすすめ。ミネラルは、熱には強くても水に溶けやすい性質なので、茹でるよりも蒸す方が効率よく摂取できます。煮込み料理の場合は煮汁ごといただきましょう。

なお、ミツバチ産品のプロポリスも、酸化ストレスや血糖値、体脂肪に関するデータが報告されています。白内障や加齢黄斑変性症といった網膜疾患に対しての有効性を示す報告もあり、40~50代の体の変化に寄り添ってくれそうです。

視力低下は認知症のリスクになる一方で、適切な対策をすれば回避できるリスクでもあります。生活の安全や、将来の脳の健康を守るのは他でもない自分自身。目を労わる対策で、安心・元気な暮らしを守っていきましょう。

■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所

■監修者プロフィール:今野裕之(こんの・ひろゆき)さん


医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人ひとりに合わせた診療にあたる。著書に『ボケたくなければ「寝る前3時間は食べない」から始めよう』(世界文化社)などがある。

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