菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法

頭皮のスキンケアに必須!女性の育毛剤の選び方

公開日:2019.05.22

更新日:2023.09.05

更年期を過ぎると、抜け毛が気になる方が増えてきます。予防のためにも、抜け毛を防ぐヘアケア剤として“育毛剤”がおすすめです。50歳を過ぎた頭皮ケアに欠かせない「女性用の育毛剤」の選び方について、菅沼薫さんに教えてもらいました。

すすぎの正解!シャンプー後の頭皮は、しっかりすすぐ

頭皮環境を整えることが、抜け毛を防ぐ第1段階であるとお話ししました。第2段階は頭皮のスキンケアですが、その前に頭皮の”すすぎ”についてお話ししたいと思います。

洗顔後、肌に洗顔料が残ったまま化粧水をつけませんよね。これと同じで、頭皮のクレンジング後も、シャンプーが皮膚に残らないよう、しっかりすすいでください。髪の上からシャワーをあてるだけでなく、頭皮に水が当たるよう髪を持ち上げてシャワーをあてると、髪と頭皮に隙間ができ、頭皮についたシャンプーをきれいに落とすことができます。

髪を持ち上げて洗う様子

 第9回「フケの原因!トリートメントは頭皮につけないで」でお話ししましたが、頭皮にシャンプーが残っていると、毛穴を詰まらせる、頭皮のターンオーバーが遅れてフケが出るなど、頭皮トラブルの原因になります。その結果、毛髪の成長が妨げられて抜け毛を増やしてしまうことも。この後につける育毛剤の効果も減ってしまうので、すすぎは念入りに行なうようにしましょう。

ヘアトリートメントは頭皮につけない

シャンプーをすすいだ後は、ヘアトリートメントをつける人がほとんどでしょう。ここで注意したいのが、トリートメントを頭皮につけないことです。こちらも第9回でお話ししましたが、トリートメントに含まれる油分が毛穴を詰まらせ頭皮環境を乱し、髪が抜けやすくなるだけでなく、髪の根元についたトリートメントの重さでボリュームが出にくくなります。トリートメントは、額の生え際や頭皮から2~3cmくらい上からつけるようにしてください。ヘアトリートメントだけではなく、ヘアコンディショナーの場合も同じです。

トリートメントをすすぐときって、どうしても顔についてしまいますよね。

顔についたトリートメントをそのままにすると、髪に油分や保湿成分を吸着しやすくするカチオン界面活性剤が残って、逆に地肌のターンオーバーを遅らせてしまうので要注意。トリートメントをすすぐときは、髪の後に顔もすすいでください。

私はヘアコンディショナーをすすいだ後、顔についたヘアコンディショナーのヌルつきを流すために、石鹸や洗顔剤を軽く泡立てて顔を洗います。特に生え際や耳の後ろ、襟足を洗い、それを落とすためにシャワーを直接当てて十分に流します。そうすることで額の吹き出物予防になりますし、肌のターンオーバーを正常にすることができます。

自然乾燥はNG!ドライヤーで乾かす

シャンプー・トリートメントの後は、頭皮をドライヤーで乾かします。濡れたままで放置すると、雑菌が繁殖して頭皮トラブルを起こしやくなります。また、濡れた頭皮では、髪が太く育つことができません。髪は乾いた頭皮の方が健やかに育つことができるのです。頭皮が冷えると血行不良になり、抜け毛を増やしてしまうことも。髪の上からだけでなく、内側からドライヤーの風をあて、しっかり乾かすようにしてください。

ただし、この後につける育毛剤によっては、乾かし加減が異なります。しっかり乾いた状態、少し湿った状態など、どのような頭皮の状態で使うのが効果的なのか、商品の説明を必ず確認しましょう。

頭皮の美容液!? 育毛剤ってどんなもの?

育毛剤のイメージカット

前回お話ししましたが、女性の場合、更年期を過ぎると抜け毛が生じやすくなります。「今は抜け毛が気にならない」という人も、予防のためにも抜け毛を防ぐヘアケア剤として“育毛剤”の使用をおすすめします。育毛という言葉に抵抗があるかもしれませんが、頭皮エイジングやスカルプなど、商品名も手に取りやすいものに変わってきています。洗顔後に化粧水や美容液で肌をケアするように、育毛剤で頭皮をケアすると考えて、ぜひ試してみてください。

育毛剤とは名前の通り髪を育てるためのものです。頭皮環境を整え、生えている毛を健やかにすることで抜け毛を防ぎ、髪のボリュームをアップ効果も期待できます。ここで間違えないでほしいのが、髪を生やして増やす発毛剤とは別のものということ。頭皮環境が整うことで、結果として髪が増えることはありますが、育毛剤をつければ髪が生えるわけではありません。

一般的な育毛剤には、頭皮環境を整える成分が配合されています。頭皮の血行をよくすることで、毛根にある髪を造る毛母細胞に作用する有効成分を血液(栄養)と共に運んでくれます。男性用と女性用があり、血行をよくする作用は男性用の方が強いようです。男性用のヘアケア剤はスーッと爽快感のあるものが多いですよね。これは炭酸やメントール成分が配合されているためで、血行促進の効果があります。

やっぱり薬用を使うべき?育毛剤の選び方

たくさんある育毛剤のうちどれを選べばいいか? この答えは化粧品の選び方と同じで、頭皮に合うものを選ぶのが正解です。ですが、化粧品のようにサンプルを使い比べることがほとんどできないので悩ましいですよね。

商品選びの基準として、個人的には薬効効果のある医薬部外品をオススメします。商品に医薬部外品と書かれていない場合は、種別名が「化粧料」と記されています。薬用の「育毛剤」ではなく、こちらは頭皮を健やかにする美容液のようなものです。

容器の形状は様々ですが、これは自分が使いやすいものを選べばいいでしょう。今は「頭皮のエイジングケア」などおしゃれなネーミングのものや、香りの良い育毛剤が増えてきています。抵抗感を持たずに使えると思いますので、ぜひ使ってみてください。

とはいえ、医薬部外品なら絶対にトラブルがないとは言い切れません。刺激を感じたり頭皮トラブルが見られる場合は、使うのをやめてください。トラブルがなければ、使ってすぐに効果が実感できなくても1本は使い続けてみましょう。育毛の効果は、今日塗って翌日に劇的変化が期待できるものではありません。1本使い切ってみて効果があまり実感できなければ、違う商品を試してみるといいでしょう。

次回は、育毛剤の効果をUPさせるヘッドマッサージについてお話しします。

※この記事は2019年5月の記事を再編集して掲載しています。

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取材・文=田中優子

 

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菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

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