冬空

更新日:2023年11月14日 公開日:2018年11月14日

菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法(15)

最低気温10度以下になったら保湿ケアは入念に

最低気温10度以下になったら保湿ケアは入念に

肌の乾燥が気になる冬はもうすぐ。そもそも肌はなぜ乾燥するのでしょう? 保湿ケアのために知っておきたい“皮膚のメカニズムと保湿のシステム”を、菅沼薫さんに教えてもらいました。

健やかな皮膚に水分は入りにくい

正しい保湿ケアを理解してもらうために、まずは年齢肌が乾燥しやすい理由を、皮膚のメカニズムに沿ってお話ししたいと思います。

肌の乾燥を防いでいるのは、皮膚の一番外側の部分の角質層です。角質層は角質細胞、細胞間脂質、皮脂膜で構成され、それぞれがうるおいを保つはたらきをしています。
若く健やかな角質層の断面は、下の図のようになっています。
 

健やかな角質層のイメージ
健やかな角質層のイメージ
  • 皮脂と汗が混じった皮脂膜。水分の蒸発を防ぎ、うるおいを保っています。
     
  • 並んだ角質細胞の隙間を埋め、角質細胞同士を結びつけているのがセラミドなどの細胞間脂質。水分を挟み込むようにしてうるおいを保っています。
     
  • 角質細胞は、尿素やアミノ酸などの水溶性成分の天然保湿因子(NMF)と呼ばれる保湿成分を含んでいます。細胞内で水分をつかむように、うるおいを保っています。
     
  • 健やかな角質層は、一番外側を皮脂膜が覆い、その下で角質細胞がレンガのようにきれいに並んで層をつくっています。レンガの間を細胞間脂質がぴったりと埋めているので、隙間がほとんどありません。

皮膚の本来の役割は、異物や水分などの侵入、刺激を防いで体を守ることです。その役割の一番手を担っているのが、皮膚の一番外側の角質層。皮脂膜と隙間のないレンガの層が二重の砦となって体をガードしています。これは、皮膚が健やかなほど水分は入りにくい、ということでもあります。
 

水分が“入らない”は“出ていかない”でもある

    

水をはじく肌

水分が入らないと肌が乾いてしまうのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。それは皮膚内に、もともと水分があるため。この水分を保つことができれば、外から水分を入れる必要はないのです。

また、水分が入りにくいとは、逆に、出ていきにくいということでもあります。体内の水分の蒸発を防いで体を守るバリア機能も、皮膚の役割の一つ。角質細胞内の天然保湿因子や細胞間脂質などの保湿成分と皮脂膜は、皮膚内の水分や保湿成分が出ていくのを防いでいます。この健やかな肌の保湿システムがうまく機能することで、肌は乾かず、うるおいを保つことができるのです。

健やかな角質層は水を弾きます
健やかな角質層は水を弾きます

 

赤ちゃんの肌は水を弾くといいますが、これは赤ちゃんの皮膚が健やかな状態にあるため。肌内に入れなかった水分が、肌の上で弾かれてしまうのです。でも、赤ちゃんの肌は乾いていませんよね。水分が入らなくても、もともとある水分や保湿成分が出ていかないので、うるおいのある肌であり続けられます。

 

          

年齢肌の保湿は“うるおいを閉じ込める”がポイント

次に、年齢肌の角質層の断面を見てみましょう 。   

うるおいが失われた年齢肌のイメージ
うるおいが失われた年齢肌のイメージ

 

年齢を重ねることで、肌の細胞間脂質の量は減少します。そのため、角質細胞のレンガの間に隙間ができ、レンガの層が乱れてしまいます。

隙間ができると化粧品が浸透しやすくて、むしろいいのでは? と思うかもしれませんが、それは間違い。水分や保湿成分が入っても、出て行ってしまうので肌はうるおいを保つことができません。

実際に肌の水分量を測定すると、若く健やかな肌の場合、化粧水をつけた直後と一定時間放置した後の数値はさほど変化しません。これは、角質層への水分の出入りが少ないため。

一方、年齢肌は化粧水をつけた後の水分量がぐんと上がります。ですが、一定時間程度放置すると水分量はめきめき減少……。時間の経過とともに、肌は元のうるおいのない状態に戻ってしまいます。

年齢肌の保湿ケアに大事なのは、うるおいのない状態に戻らないようにすること。出ていってしまった水分と保湿成分を補給することはもちろん、それら“うるおい”を肌内にとどめることこそが、年齢肌の保湿ケアといえるでしょう。
 

最低気温が10度以下になったら、積極的な保湿ケアを!

ところで、同じ肌でも夏より冬の方が乾燥しますよね。これは、夏に比べて冬の方が湿度が低くなり、皮膚表面が乾きやすくなるため。また、気温が低くなると新陳代謝が悪くなり、角質細胞の保湿力も弱くなって、肌は乾燥してしまいます。「目安として、最低気温が10度以下、湿度50%を下回るようになったら、保湿ケアのはじめどき」と思ってください。

朝晩すっかり寒くなって、地域によっては保湿ケアの始めどきを迎えているでしょう。

次回は、“うるおいを閉じ込めるケア”の具体的な方法をお話ししていきます。

次回、(16)肌のくすみ対策にも!年齢肌の簡単保湿ケア

取材・文=田中優子


■意外と知らない、美容の常識を学ぶ
菅沼薫の美容講座ジャンルTOPへ

肌のうるおいに関する記事はこちら

シミ知らず、白魚のような手の甲に導くハンドクリーム

リキッドファンデーションの選び方と塗り方

肌のうるおいとハリ感、つやをサポートするサプリ

菅沼 薫
菅沼 薫

ビューティ&ライフ サイエンティスト、武庫川女子大学客員教授、sukai美科学研究所代表。日本顔学会会長をはじめ、化粧品成分検定協会理事、日本香粧品学会学術委員などを務める。美容雑誌「VOCE」における化粧品比較実験を長年手掛ける。化粧品と肌のスペシャリストとしてメディアでも活躍中。

みんなの コメント
ハルメクが厳選した選りすぐりの商品

暑い夏でも涼しくおしゃれに

大人のための軽やかデニムの決定版 大人のための軽やかデニムの決定版

今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ♪

今、レンズを薄いカラーにするのがおしゃれ

50代女性の紫外線対策は、メガネのレンズを「カラーレンズ」にするのがおすすめ!おしゃれ&機能的に、カラーレンズを選ぶコツを紹介します。

2025.06.24
【PR】自分の尿モレタイプはどれ? 簡易診断でチェック!

自分の尿モレタイプはどれ?

たまに尿モレがあっても、だましだまし過ごされている方も多いのでは? けれど一口に尿モレと言っても症状によってタイプはさまざま。そこで自身の尿モレのタイプがわかる簡易診断チャートをご紹介!

2025.06.10
【PR】巻き爪や外反母趾などの足悩み解消を目指せる「正しい歩き方」

巻き爪解消を目指せる「正しい歩き方」

間違った歩き方は足トラブルを招き、健康寿命に影響があることを知ってましたか?正しい歩き方と足トラブル対策を専門家が解説!

2025.05.12
皮脂・メイク汚れに要注意!夏こそ眼鏡をメンテナンスしよう

眼鏡の皮脂汚れ気になる…

夏は汗や皮脂、メイク崩れなどで、いつもより眼鏡が汚れやすい季節。レンズやフレームの汚れを放っておくと、眼鏡の寿命が縮むことにもつながります!

2025.07.01
眼鏡愛好家の紫外線対策に!度付きサングラス・調光レンズを活用しよう

紫外線の量でレンズの色が変わる眼鏡!?

紫外線に反応して色の濃さが変わる調光レンズはこの季節にぴったり。屋外などではレンズカラーが濃くなり、紫外線が弱い屋内などではクリアに近くなります。

2025.07.01
更年期は気象病になりやすい?つらい症状を遠ざけるおすすめ対策3つ

更年期は気象病になりやすい?

雨が降ると頭痛やめまい、だるさなどの不調が起こる「気象病」。天気の変化によって起こる気象病は、実は更年期とも関わりがあると言われます。気象病のメカニズムや更年期との関係、つらい症状を和らげる対策について、医師の石原新菜さんに伺います。

2025.06.22
「ほったらかしの投資」~手軽に投資を始める・続ける方法

「投資は難しそう…」と思っている人は必見

興味があるけど自信がない人におすすめな、長期的に資金を積み立てていく「ほったらかしの投資」。家計をラクにする資産運用の方法が知りたい人はぜひチェック!

2025.06.02
【PR】始めるなら相談できる「対面証券」がおすすめ

お金のこと、なんでも無料相談

資産運用、相続、ローンまで!お金の「よくわからない」をプロに気軽に相談できる♪

2024.12.17
物価高の今こそ考えたい!インフレ時代に「資産運用」ってどうして必要なの?

本当に必要な「お金の準備」

物価が急激に上昇している今こそ、将来に向けて「お金の準備」が必要です!年金や退職金に頼らない、資産形成を進めるには?

2025.04.18
【PR】タイプで分かる!ライフスタイル別レンズ診断

タイプ別!ぴったりの眼鏡

「近くのものが見えづらくなった」と感じる人は眼鏡の変え時かも!ライフスタイル別におすすめの眼鏡レンズを無料で診断♪

2025.03.10
50代のための「お金の相談ガイド」〜まず何をすればいい?

50代のための「お金の相談ガイド」

50代に入ると現実味を帯びてくる老後への不安。家族や健康、仕事の悩みに加えてお金の問題についても漠然と不安を感じているものの、何から始めたらよいのかわからない人も多いのではないでしょうか。お金の悩みを解決したい人はぜひチェック!

2025.06.13
【PR】鼻への重量感・違和感のストレスから解放!

「ふわっ」と軽いメガネ♥

メガネがずり落ちる・鼻の頭が重いなど、メガネのプチストレスにサヨナラ!あっと驚く程つけ心地抜群のメガネをぜひお試しください

2024.12.17