最強の美容液!リンパと血流で美肌の土台をつくる
2023.10.132023年11月14日
菅沼薫さんに聞く、今の自分に合う美容法(15)
最低気温10度以下になったら保湿ケアは入念に
肌の乾燥が気になる冬はもうすぐ。そもそも肌はなぜ乾燥するのでしょう? 保湿ケアのために知っておきたい“皮膚のメカニズムと保湿のシステム”を、菅沼薫さんに教えてもらいました。
健やかな皮膚に水分は入りにくい
正しい保湿ケアを理解してもらうために、まずは年齢肌が乾燥しやすい理由を、皮膚のメカニズムに沿ってお話ししたいと思います。
肌の乾燥を防いでいるのは、皮膚の一番外側の部分の角質層です。角質層は角質細胞、細胞間脂質、皮脂膜で構成され、それぞれがうるおいを保つはたらきをしています。
若く健やかな角質層の断面は、下の図のようになっています。
- 皮脂と汗が混じった皮脂膜。水分の蒸発を防ぎ、うるおいを保っています。
- 並んだ角質細胞の隙間を埋め、角質細胞同士を結びつけているのがセラミドなどの細胞間脂質。水分を挟み込むようにしてうるおいを保っています。
- 角質細胞は、尿素やアミノ酸などの水溶性成分の天然保湿因子(NMF)と呼ばれる保湿成分を含んでいます。細胞内で水分をつかむように、うるおいを保っています。
- 健やかな角質層は、一番外側を皮脂膜が覆い、その下で角質細胞がレンガのようにきれいに並んで層をつくっています。レンガの間を細胞間脂質がぴったりと埋めているので、隙間がほとんどありません。
皮膚の本来の役割は、異物や水分などの侵入、刺激を防いで体を守ることです。その役割の一番手を担っているのが、皮膚の一番外側の角質層。皮脂膜と隙間のないレンガの層が二重の砦となって体をガードしています。これは、皮膚が健やかなほど水分は入りにくい、ということでもあります。
水分が“入らない”は“出ていかない”でもある
水分が入らないと肌が乾いてしまうのでは?と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。それは皮膚内に、もともと水分があるため。この水分を保つことができれば、外から水分を入れる必要はないのです。
また、水分が入りにくいとは、逆に、出ていきにくいということでもあります。体内の水分の蒸発を防いで体を守るバリア機能も、皮膚の役割の一つ。角質細胞内の天然保湿因子や細胞間脂質などの保湿成分と皮脂膜は、皮膚内の水分や保湿成分が出ていくのを防いでいます。この健やかな肌の保湿システムがうまく機能することで、肌は乾かず、うるおいを保つことができるのです。
赤ちゃんの肌は水を弾くといいますが、これは赤ちゃんの皮膚が健やかな状態にあるため。肌内に入れなかった水分が、肌の上で弾かれてしまうのです。でも、赤ちゃんの肌は乾いていませんよね。水分が入らなくても、もともとある水分や保湿成分が出ていかないので、うるおいのある肌であり続けられます。
年齢肌の保湿は“うるおいを閉じ込める”がポイント
次に、年齢肌の角質層の断面を見てみましょう 。
年齢を重ねることで、肌の細胞間脂質の量は減少します。そのため、角質細胞のレンガの間に隙間ができ、レンガの層が乱れてしまいます。
隙間ができると化粧品が浸透しやすくて、むしろいいのでは? と思うかもしれませんが、それは間違い。水分や保湿成分が入っても、出て行ってしまうので肌はうるおいを保つことができません。
実際に肌の水分量を測定すると、若く健やかな肌の場合、化粧水をつけた直後と一定時間放置した後の数値はさほど変化しません。これは、角質層への水分の出入りが少ないため。
一方、年齢肌は化粧水をつけた後の水分量がぐんと上がります。ですが、一定時間程度放置すると水分量はめきめき減少……。時間の経過とともに、肌は元のうるおいのない状態に戻ってしまいます。
年齢肌の保湿ケアに大事なのは、うるおいのない状態に戻らないようにすること。出ていってしまった水分と保湿成分を補給することはもちろん、それら“うるおい”を肌内にとどめることこそが、年齢肌の保湿ケアといえるでしょう。
最低気温が10度以下になったら、積極的な保湿ケアを!
ところで、同じ肌でも夏より冬の方が乾燥しますよね。これは、夏に比べて冬の方が湿度が低くなり、皮膚表面が乾きやすくなるため。また、気温が低くなると新陳代謝が悪くなり、角質細胞の保湿力も弱くなって、肌は乾燥してしまいます。「目安として、最低気温が10度以下、湿度50%を下回るようになったら、保湿ケアのはじめどき」と思ってください。
朝晩すっかり寒くなって、地域によっては保湿ケアの始めどきを迎えているでしょう。
次回は、“うるおいを閉じ込めるケア”の具体的な方法をお話ししていきます。
取材・文=田中優子
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