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- 【一九四六】展、ありがとう 王希奇さん!
2023年3月、王希奇(ワン シーチー)氏の【一九四六】展が、【満蒙開拓平和記念館】で開催されました。5年半をかけ完成された絵画【一九四六】は、終戦後満州から引き上げる人々の様子を描いた、縦3m×横20mの大作です。
『あった事を無かった事にしてはいけない』
満蒙開拓平和記念館については、2022年9月<望郷の鐘は今も>、2022年8月<これからどうする (2)>で、少し触れました。
資料によると、全国で長野県が一番多くの人々(3万1264人)を送出しました。県内では、飯田・下伊那からの送出数(8389人・県の25.4%)が最多です。
悲しい歴史は、学校では詳しく教えられて来なかったように思います。大人になるまで、開拓という言葉に惑わされていました。昔、養父から『開拓なんてしていない。中国人を追い出した所だから』と聞くまで知りませんでした。
資料によると日本政府は、強制的に低価格で土地を買収して、移民・入植をさせました。中国の人にすれば、憎む気持ちが湧くのは当然と思います。
良い事もそうでない事も、本当の事を知ることが大事だと思いました。
『この子どもは敵ではない』…王希奇さんの言葉
2023年3月21日、作者・王希奇(ワン シーチー)氏の講演会があり、運よく参加できました。中国人画家がどういう気持ちで描こうと思ったのか知りたいと思い、申し込みました。
きっかけは、2010年10月に子どもが骨壺を持った写真を見たこと、だそうです。その写真のスライドも見せてくれました。骨壺と思ったけれど、中身は遺品で、男の子と思ったら、女の子が男装していた……という話でした。
その写真を見て、「この子どもは敵ではない」 と思ったそうです。
それから、国に帰れないかわいそうな人たちの写真や資料をたくさん研究し、気の毒な人たちを帰してあげたいと、思ったと話されました。
毎日、写真の中の個人と向き合い、話をしたそうです。
絵を描いた理由は『行為・言葉・芸術』『歴史の記録・心に直接訴える・命の輝を表現・視覚の芸術的効果』、『この場所に帰してあげられた。帰国が叶わなかった人々の魂を蛍の光として表現した』と話されました。
【一九四六】展…葫蘆(ころ)島からの引き上げを描いた絵画
多くの人が見学に訪れていました。他の展示物はNGですが、絵の撮影は許されていました。描かれた一人一人の気持ちを受け取りたいと思いました。
葫蘆島に着いた人、家族を待つ人、一人で困っている子ども、船に乗り込もうとする人たち、子どもを必死で守る母親、呆然とした人など。ほとんど、着の身着のままの様子です。
『持って帰って良いのは、1家族千円まで』と、葫蘆島から帰国できた方が絵の前で話してくれました。
なぜ、そのような目にあったのか、良く考えないと!
『人の心情は記録されない』と言う人がいますが、そんな事はありません。この絵が証明しています。
この絵の中の一人一人の心情が伝わってきます。王希奇さんが一人一人と向き合ってきたからですね。
【証言 それぞれの記憶】を読むと、中国の人に助けてもらった人も多くいたようです。
この本は、『歴史に学び、今を見つめ、未来をつくる。同じ過ちを繰り返さないために。平和な社会を築くために。』と結んでいます。
結局、いつでもどこでも、人と人です。
王希奇さん、ありがとうございました!
※画像は、許可を経て掲載しています。
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