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2020年11月09日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
夕方になると「夕焼け小焼け」の音楽が聞こえてきて、なんだか懐かしい気持ちになりますよね。そのことを友人に話したところ、彼女の地元は音楽ではなくチャイムだけだったそうです。
そもそも、あの音楽は何のために鳴らすものなのでしょう? 子どもの帰宅時間を知らせるためのものだと思っていましたが、他にも意味がありそうです。早速調べてみましょう!
総務省のサイトによると、夕方に流れる音楽やチャイムは「市町村防災行政無線(同報系防災行政無線)」という放送設備の点検なのだそうです。これは各市町村が運営・管理を行っているもので、地域における防災や災害復旧、応急救助などに使用されています。
幹線道路沿いの地域では光化学スモッグ注意報、獣害の多い地域ではクマやイノシシへの注意、河川沿いの地域では氾濫への警戒を呼び掛けるなど、それぞれの地域の特性に合わせて住民の安全を守るために運用されているのです。
2020年8月には、地震・津波や武力攻撃などの発生時に備えた「Jアラート全国一斉情報伝達訓練実施」として、全国一斉に訓練放送が流れました。これも防災行政無線を通じて放送されているものです。
1984年では31%だった同報系防災行政無線の整備率は、2000年時点では65%まで上昇し、2019年には78.5%に。千葉県・山梨県・岐阜県・静岡県・三重県・和歌山県・鳥取県・島根県では、整備率が100%に到達しました。地震や台風、水害の発生を受けて、官民共に防災意識が高まっているといえそうです。
ここでまとめると、夕方に流れている「夕焼け小焼け」は防災無線の点検で、時間を知らせるものではないということです。では、なぜ多くの自治体でこの曲を流すようになったのでしょうか?
市町村防災行政無線はその性質上、常に正しく作動することが求められています。そのため毎日試験放送を行うのですが、その時間帯や流す音楽は自治体に任せられています。
生活の邪魔にならない時間帯に、サイレンのようにうるさくなく、子どもたちの見守りにもなるような音楽として「夕焼け小焼け」が選ばれることが多いようです。
中には、その土地にゆかりのある音楽を流している自治体もあります。宝塚歌劇団のお膝元である兵庫県宝塚市では、歌劇団を象徴する名曲「すみれの花咲く頃」が、千葉県館山市では地元出身であるX JAPANのYOSHIKIさんにちなんで「Forever Love」が放送されているそうです。
他にも静岡県富士吉田市では、29歳の若さで亡くなった地元出身のミュージシャン、フジファブリックの志村正彦さんをしのんで、誕生日である7月10日を中心に代表曲「若者のすべて」を放送しています。この時期は全国から志村さんをしのぶファンが集うなど、街を訪れるきっかけにもなっているようです。
夕方のチャイムや音楽は防災無線の試験放送という本来の目的を果たすためだけではなく、地域社会を彩る風物のようなものになっているんですね。
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イラスト:飛田冬子