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2023.06.152018年10月19日
素朴な疑問
芥川賞に、ワタシも応募できる?
今年の夏は暑かった。毎年そう言っている気がするけれど、それでもとびきり暑かった。夏がつらければつらいほど、秋の訪れに幸せを感じますよね。クーラーをつけずに眠れる快適さったら! このままずっとこの心地よさが続いてくれたらいいのにと願わずにはいられません。
体が楽になってくると、がぜん趣味や行楽に意欲が湧いてくるもの。紅葉を見にいく旅行を計画するのもいいし、美術館でアートにひたるのもいいけれど、お気に入りのカフェでゆったり読書を楽しんだり、自分の思いを随筆にまとめてみる、なんて「文学の秋」もいいかも。さまざまな経験をしながら年齢を重ねてきた今だからこそ、書ける文章がきっとあるはず。いざやるとなったら、つい欲が出てしまうのが人の常。夢は大きく、めざせ芥川しょ―っ!
ところで芥川賞って、どうやって応募すればいいの?(そこからスタートなのね……)というわけで調べてみました。
芥川賞は言わずと知れた文豪・芥川龍之介の業績を記念して作られた文学賞。芥川氏の死後、出版社・文藝春秋の社長で彼の友人でもあった菊池寛が、直木賞とともに1935年(昭和10年)に創設したのがはじまりです。
対象となるのは新聞や文芸誌に発表された純文学作品で、無名の作家やデビューしたての新人作家の作品が選ばれています。すでに多くのファンを獲得している人気ベテラン作家の作品が選ばれることが多い直木賞とは違い、芥川賞では受賞によって初めて世間に存在を知られるケースが多く、注目度はバツグン!
昨日までまったく無名だった作家が突然スターになってしまう……なんてことも芥川賞ではよくある話。最近ではお笑い芸人・又吉直樹の『火花』、古いところでは石原慎太郎の『太陽の季節』、村上龍の『限りなく透明に近いブルー』など、100万部をこえるベストセラーが誕生するケースもあり、夢はますますふくらみます。
そんな芥川賞に応募するにはどうすればいいんでしょうか?
ここで残念なお知らせです。
芥川賞は公募制ではないので、自分で応募することができません!(号泣)
じゃあどうやって選ばれているの? とギモンに思いますよね。じつは芥川賞というのは「すでに発表されている純文学作品」の中から選ばれているんです。くわしく説明すると、過去半年間に新聞または文芸誌、同人誌に発表された中編・短編の純文学作品が対象となります。
とはいえ受賞作の大半が『文學界』『新潮』『すばる』『群像』『文藝』の5大文芸誌に掲載された作品から選ばれていますので、芥川賞を狙うにはこれらの文芸誌に掲載されることが最初の関門といえそうです。
文芸誌に自分の作品を載せてもらうなんて、恐れ多くてペンも止まってしまいそう……。それでも、2012年に『abさんご』で75歳9か月にして芥川賞作家となった黒田夏子は、母校・早稲田大学の文芸誌に作品を掲載してチャンスをモノにしています。2017年に『おらおらでひとりいぐも』で受賞した若竹佐知子も、夫に先立たれたあと55歳から小説講座に通い始め、63歳で芥川賞を受賞しています。
つまり、誰にでもチャンスはあるということ!(ポジティブシンキング~!)
さっそく作品づくりに入りましょう。おっと、その前に芥川賞の対象となる文章の長さを確認しておかなければ。なになに、中編小説は400字づめ原稿用紙で100枚以上300枚未満……ですって? 300枚って意外とあるのね。ビギナーは短編から始めたほうがいいかしら。なになに、短編小説はだいたい原稿用紙100枚未満だそう。原稿用紙100枚を文字数に換算すると、およそ4万字。(よ、よんまん……)
未来の芥川賞作家をめざして、まずは目が疲れないようにメガネを新調するところから始めようと思いまーす。
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イラスト:飛田冬子