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素朴な疑問「銀座」があって「金座」はなかったの?
先日友人と会うため、久しぶりに銀座まで足を伸ばしました。歴史を感じる街並みを散策して、新作のブランド品が並んだショーウィンドーで目の保養、老舗の喫茶店でひきたてのコーヒーとおしゃべり、すっかりセレブ気分を満喫したワタシです。
ただ、あの日以来どうしても気になっていることがあります。「銀座」があるなら「金座」はなかったの? 折り紙なら、金と銀は必ず両方あるのだけど……。眠れなくなりそうなので調べてみました。
結論からお伝えすると、やっぱり金座はありました! 東京都中央区日本橋本石町に建っている日本銀行が、ちょうど昔の金座にあたるそうです。1595年(文禄4年)、徳川家康が彫金師の後藤庄三郎光次に、小判の鋳造を命じたのが金座の始まりといわれています。
それまでの日本には、藩内でしか通用しない藩札や中国から輸入された硬貨はありましたが、当時の人々が共通で使える「国産の通貨」がなかったのですって。大判小判はありましたが、その価値はお金としてではなく、贈答品や褒美の品としての値打ちだったようです。家康の天下統一には、通貨の統一も含まれていたようですね。
小判の鋳造を命じられた後藤庄三郎光次は、もともと橋本庄三郎という彫金職人でした。詳しい生い立ちは不明ですが、とにかく非常に才能があったらしく、師事していた後藤徳乗から後藤という姓を、家康からは光次という名前を授かり、加えて五三桐の家紋を使用することも許されました。
後藤庄三郎光次は、世襲制によって金座を支配する一族となり、1869年(明治2年)に政府が造幣局を建設して金座を廃止するまで、「御金改役(ごきんあらためやく)」として富を得たことがよく知られています。
当時の貨幣は「三貨制度」に基づき、金貨、銀貨、銭貨という3つの貨幣で成り立っていたと考えられています。金貨の鋳造は、東京・京都・静岡・新潟・山梨の金座。銀貨の鋳造は、東京・京都・大阪・長崎にある銀座。銭貨は各地の銭座で作られていたそうです。静岡県には、金座町や銭座町という地名が残っています。
そうそう! 三貨制度以外にも、銅座、鉄座、真ちゅう座、人参座まで存在していたのにはビックリしました。それぞれ最後についている「座」とは、江戸幕府の管理下に置かれた組織や場所の通称です。
銅座、鉄座、真ちゅう座、人参座は、貨幣ではなく海外輸出入品の製造や管理をする組織でした。長崎には今でも銅座町という地名が残っており、大阪には「銅座の跡」の記念碑が建てられています。ちなみに、ニンジン座で扱っていたのは薬用のニンジンです。昔の漢方薬って貴重だったのね~。
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参照:日本銀行
イラスト:飛田冬子
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