素朴な疑問料理の「さしすせそ」って何?

公開日:2019/04/21

料理の「さしすせそ」って何?

 

先日、友人家族とキャンプに行った時のこと。友人の娘さんが知り合いの外国人留学生と一緒に参加していました。食事の準備をしながらお話していると、「日本料理はヘルシーでおいしい。早く作り方を覚えたい」とのこと。外国の人からそんな風に言われると、素直にうれしいものですね。

 

さっそく「和食にはね、<さしすせそ>という基本があってね」と話し始めたワタシ。ところが「<さ>は砂糖、<し>は……(あれっ、塩だっけ? 醤油?)」と思い出せずパニック状態! 

 

その場はどうにかしのぎましたが、とんだ冷や汗ものでした。グローバル社会の現代、いつかまた同じようなシチュエーションになるかもしれないので、(オリンピックも近いし!)今のうちに確認しておくことにしましょう。

 

料理の「さしすせそ」とは、和食の基本となる5大調味料の1文字を取って覚えやすくした語呂合わせのこと。どの調味料を指しているかというと……。

 

さ……砂糖
し……塩
す……酢
せ……醤油
そ……味噌

 

「せ、そ」は難易度が高いわね! 「せ」は醤油の旧仮名づかいである「せうゆ」からきたもの。「そ」はなぜここだけ頭文字じゃないの? と思いますが、ここが最後の締めだから、味噌は噌で終わり! と覚えるしかないわね。

 

一説には明治時代から使われていたという「料理のさしすせそ」。実は名前以外に重要な情報が秘められています。それは「使う順番」。味つけするときに、さ(砂糖)→し(塩)→す(酢)→せ(醤油)→そ(味噌)の順に入れると味がおいしくなるということで、生活の知恵として受け継がれてきました。

 

これにはれっきとした化学的根拠があるんですって。砂糖を初めに入れるのは、砂糖の分子が他の調味料より大きいため。分子が大きいと素材の奥まで浸透するのに時間がかかるので、他の調味料を先に入れてしまうと砂糖がしみこまなくなるんです。また砂糖は肉や野菜をやわらかくする働きがあるので、先に入れた方がいいんだとか。

 

塩は浸透圧が高いので食材にしみこみやすく、食材の水分を外に出すはたらきもあります。塩をふった後は味が入りやすくなるので、お塩が2番手というわけね。続いて登場する酢、醤油、味噌は、いわゆる発酵食品。風味や香りをもたらす調味料なので、加熱しすぎるとせっかくの風味が消えてしまいます。そこで、加熱に弱いものほど後に使うのがポイント。

 

こうすればそれぞれの調味料の良さを最大限に生かせることを、昔の人はよくわかっていたんですね。順番通りにやらないと絶対ダメというわけではありませんが、よりおいしくなる料理のコツとして覚えておきたいところ!

 

ちなみに「さ」は「酒」という説もあります。料理酒や本みりんを指しますが、アルコールは食材のくさみを消し、味の浸透を早める働きがあることから一番に入れるのがよいとか。酒と砂糖なら酒→砂糖の順番ね。ただし「みりん風調味料」はアルコールより糖分が多く、風味や照りを出すために最後に入れるのがいいそうなので、ここは要注意!

 

これで知識も料理もバッチリ。いつ外国の方に会ってもオッケーよ!

 

 

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イラスト:飛田冬子

 


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