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2019年03月22日
素朴な疑問
無色透明でクセのない甲類焼酎(連続式蒸留焼酎)は、ジュースやお茶で割れば飲みやすいですね。でも、芋、米、麦、蕎麦といった乙類焼酎(単式蒸留焼酎)は、独特の香りが強くて苦手……。このような女性は多いのではないでしょうか? ワタシも、どちらかというと甲類焼酎の方が飲みやすいと思っていました。
でも、先日行った居酒屋で「前割り焼酎」というお酒をいただいてびっくり! クセの強い芋焼酎が、まろやかでとっても飲みやすかったのです。すっかり飲み過ぎてしまい、前割り焼酎がどんなものなのかを聞き忘れました。自分でも作ってみたいので、あらためて調べてみました。
前割り焼酎とは、焼酎と水を混ぜて数日間寝かせたものをいいます。九州地方ではポピュラーな飲み方で、来客や宴会の予定に合わせて、あらかじめ仕込んでおくことも多いそうです。(素敵なおもてなし!)
焼酎と水の割合や、寝かせる日数は好みによりますが、鹿児島県の国分酒造によると、割合は焼酎6:水4、もしくは5:5ぐらいがおすすめだそうです。寝かせて3日目から1週間が、ちょうど飲み頃みたいですよ。寝かせるのは、冷蔵庫でも常温でもかまわないとされていますが、夏場なら冷蔵庫が安心かもしれません。焼酎自体はアルコール度数25%前後と高いので、腐る可能性は低いですが、水や容器の雑菌は心配なので。
おいしい前割り焼酎を作るための注意点は、水道水ではなく軟水のミネラルウォーターを使うことです。水道水のカルキ臭と硬水の苦みは、焼酎の味や香りを変えてしまう可能性があるそうです。
前割り焼酎は、どうしてまろやかな味になるのでしょう? それは寝かせている間に、水の分子がアルコール分子のまわりに集まるからだと考えられています。アルコールの刺激が水分でパックされ、口当たりが優しくなるのですね。もちろん、水を混ぜた分アルコールが薄まるというのも、飲みやすくなる理由のひとつといえます。
常温でも熱かん(お湯割りとは味わいが違う!)でも、キンキンに冷やしてもイケる前割り焼酎。九州地方では、人肌程度のぬるめでいただくのが一般的だそうです。まだ飲んだことがない方は、試してみてはいかがでしょう? ただ、前割り焼酎は酒税法の第43条第11項「みなし製造」にあたる可能性があるため、作った本人と同居している家族で楽しむのがルールです。
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参照:国分酒造
イラスト:飛田冬子