相続対策で悩まないための重要なポイントとは?
2021.11.182018年11月29日
素朴な疑問
夫の死後は親戚と付き合いたくない。どうすればいい?
この前友人が夫を亡くしてお葬式に行ってきました。「顔を突き合せれば、嫌味なことしか言わない親族との付き合いが金輪際なくなるのが、唯一うれしい」と、こぼしていたんですよね。
そういえば、夫が亡くなっても親族の付き合いって続けなくちゃいけないものなのかしら? 専門家に聞いてみよっと!
そこで、川崎ひかり法律事務所の橋本訓幸(はしもと・くにゆき)弁護士に聞いてみました。
橋本さん:付き合いたくなければ付き合わなければいい、ということもありますが、現実にはそんなに簡単にはいかないですよね……。
さて、法律的な観点ではどうなるかというと、妻から見た夫の親族というのは「姻族」(血はつながっていないけれど、結婚したことによって親族となった人たち)にあたります。
一方で、親子といった血のつながった親族のことは「血族」といいます。
法律上、一定の範囲の「姻族」関係にある場合は、互いに助け合わなければならないとされていたり(730条)、特別な事情があるときには、扶養義務を負うとされていたりします(877条2項)。
へえ~「姻族」ってそういう意味だったんですね。互いに助け合わなくちゃいけないって、結婚の誓いみたいですね……。大変そうです。
橋本さん:前者の「助け合う」というのは、法律の条文での表現であって、それほど重いものではありません。
後者の扶養義務というのは、夫婦や親子関係については、簡単に例えると「ごはんが一膳しかないなら、分けあいなさい」というくらいのものになります。しかし、姻族は「必要性がある場合は、余裕があったら助けてあげたらいいんじゃない?」ぐらいのものです。
わかりやすい! でも、必要性があるとか、余裕があったら、とかふわっとしていて人によって捉え方が違いそうですね。そして結局、ワタシの友人は親族の縁が切れないということですよね?
橋本さん:どうしても付き合いを終わらせたいなら、できますよ。姻族は、夫を介したものなのでリセットすることもできます。
えー! でも、亡くなったら離婚はできないですよね?
橋本さん:はい、おっしゃる通り姻族関係は、原則、生前にする離婚によって終了するとされています(民法728条1項)。しかし死別の場合、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときにも、同様に終了するとされています(同2項)。
したがって、このように姻族関係を終了させるという手続きをとれば、法的な観点からは関係を清算することができるということになります。
そうなんですね!それはどんな手続きがあるんですか?
橋本さん:役所で「姻族関係終了届」を出すだけです。誰かの同意も不要ですし、期限はありません。届け出をすれば、姻族の関係が終了します。
ただし、親戚づきあいというのは、純粋に法的な関係のみで割り切れるとは限らないものなので、一律にどうするのがいいとは言えません。具体的な状況に応じてどうするのがよいか検討したほうがよいと思われます。
そうですね、逆に助けてもらえることもあるかもしれませんしね。友人に教えてあげたいと思います。
【監修】
川崎ひかり法律事務所 橋本訓幸(はしもと・くにゆき)弁護士
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