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2021年07月21日
素朴な疑問
こんにちは! 好奇心も食欲も旺盛な50代主婦、ハルメク子です。
先日、乗っていた電車が突然、駅の手前でストップ! しばらくしたら動き出しましたが、どうやら「パンタグラフ」の不具合だったようです。
パンタグラフって電車の屋根の上にある、あの細い線のことよね……。知っているようで知らないパンタグラフって、いったいどういうものなのでしょうか? 気になったので調べてみました!
「パンタグラフ」とは、路面電車や新幹線など、さまざまな電車に取り入れられていて、電気を安全に供給するための重要なパーツです。電車の屋根に設置され、電車上部にある電線(架線)に接触して電気を得る仕組みのため、環境や走行速度による変化に耐えうる機構や素材が求められます。このように電線から電気を供給している方法は「架空線方式」と呼ばれています。
パンタグラフの種類は、時代とともにその形状が変化・改良され、「ひし形」・「下枠交差形」・「シングルアーム式」の主に3種類に分類されています。
その名の通りひし形の形が特徴で、日本では昔からなじみのあるタイプです。これは、下側が「台枠」と呼ばれるパーツの端部2か所とつながっているため、厳密には五角形をしています。
ひし形の次期モデルとなる下枠交差形は、ひし形の下枠を交差させた形状で、折りたたんだ際によりコンパクトにできる特徴があります。分散式冷房機器を搭載した車両や、屋根の上に他のパーツが多い交流・交直流の車両などに多く使用されていました。
シングルアーム式は、1950年代にフランスで開発され、ひし形を半分にしたような「くの字」型が特徴です。日本では、1990年代にシングルアーム式のパンタグラフが数多く採用され、現在は主流となっています。旧モデルよりも太く堅牢な造りをしています。さらに、少ないパーツ構成になっているため、メンテナンスが容易で、軽量かつコンパクトに収納できるのもポイントです。
電車のパーツ一つとっても、どんどん改良されているんですね!
実は電車の中には、パンタグラフがないものもあります。その多くはズバリ地下鉄です。なかなか地下鉄の屋根を見ることもそうそうないので、気が付きにくい部分かもしれませんね。さて、パンタグラフを持たない車両は、いったいどうやって電気を取り入れているのでしょうか?
それは、走行用のレールの横に、電線に替わる3本目のレールが敷いてあり、そこから電気が取り入れています。これは、「サードレール方式」や「第三軌条方式」と呼ばれています。
地下鉄でサードレール方式が採用されたのは、パンタグラフがない分、トンネルの断面を小さくできる経済的な理由と、シンプルな造りで断線しづらいといった構造的な理由があります。
こうしたメリットがある一方で、デメリットもあります。線路に平行して設置されているだけに、架空線方式に比べて人が触れてしまいやすいという点です。そのため、東京都台東区上野に位置する東京メトロ・銀座線上の一部では、人が侵入できないようにゲートでふさがれています。
ちなみに日本の地下鉄で初めて採用したのは、東京メトロ/銀座線・丸ノ内線です。その後、横浜市営地下鉄/ブルーライン(1号線・3号線)、名古屋市営地下鉄/東山線・名城線・名港線、大阪市営地下鉄/御堂筋線・谷町線・四つ橋線・中央線・千日前線などで採用されています。
とはいえ、地上を走行する電車と地下鉄の相互乗り入れを行っている路線の場合は、同様の方法で電気を供給する必要があるため、電線から電気を供給する「架空線方式」が採用されています。
パンタグラフって、いろいろな変遷をたどってきたのね……。
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参照:東洋電機製造株式会社
乗りものニュース 電車のパンタグラフ「ひし形」が「く」の字に コストだけではない普及の理由
乗りものニュース 上に電線がないのに電車が走る 地下鉄に多い「サードレール方式」のメリットとは
イラスト:飛田冬子