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マンガ家・文筆家のYASCORN(やすこーん)さんが、気軽に行ける女性一人旅を紹介。東武鉄道の特急スペーシアにお得に乗れるきっぷで、日光へ。東照宮など日光ならではの観光と、老舗の金谷ホテルでグルメを堪能!※2021年3月取材当時の内容です
東武鉄道・特急スペーシアで日光に向かいます
私の名前「やすこーん」は本名の「康子」と、大好きなとうもろこしの「コーン」から来ています。康子という名前は、健康な子に育つように、と願って付けられた名前。昔はこの名前が好きになれませんでしたが、その名の通り育ち、今では健康であることに日々感謝しています。健康でないと好きなものも食べられないし、気軽に旅にも行けませんからね。
今回は浅草駅から東武鉄道で、栃木県の日光を目指します。使用するきっぷは日光・鬼怒川地区の鉄道・バスが乗り降り自由の「まるごと日光・鬼怒川東武フリーパス」。駅売店で朝ごはんに浅草の老舗洋食屋「ヨシカミ」のロースカツサンドを買って特急スペーシアに乗り込みます。
「まるごと日光・鬼怒川東武フリーパス」は、発駅(今回は浅草)から下今市間の往復乗車券と、フリー区間乗車券のお得なきっぷ。4日間有効です。特急スペーシアに乗車する際は、この他に別途特急指定券が必要なので、買い忘れのないようご注意ください。
1時間50分で、あっという間に東武日光駅に到着しました。駅構内はきれいに改装されていました。駅では駅弁も多数売られています。バスはすぐ目の前から出ているのでわかりやすいです。
駅前広場も改装され、かつて日光市内を走行していた路面電車の車両が静態保存されていました。この路面電車は最盛期には年間551万人の乗客を運び、観光客の足となっていましたが、自動車交通量増加の影響で1968年に営業を終了しました。
路面電車にぜひ乗ってみたかった……と思っていたら、なんとこの車両と全く同じラッピングのバスがやってきました。車内は横向きのロングシート、床も木で作られており、かつての路面電車を彷彿とさせます。こちらのバスでまずは二荒山神社前に向かいました。
日光で観光といえば、二荒山神社と東照宮!
バス停を降りると目の前は二荒山神社入口。東照宮周りを巡る順番としては、二荒山神社→東照宮→輪王寺、がわかりやすいと思います。二荒山神社の境内は東照宮、輪王寺の境内とともに「日光山内」として国の史跡に指定され、なおかつ「日光の社寺」として世界遺産に登録されています。こちらの境内は無料で入れます。
二荒山神社から東照宮へ抜ける道もなかなか雰囲気があります。ただし、これらの場所には休めるようなベンチなどがないので、行きたい場所をあらかじめ決めて回った方がよいかもしれません。東照宮へは入場券を買って拝観します。
日光東照宮は、江戸幕府初代将軍、徳川家康公を神格化した東照大権現を祀るお宮。境内に入ってすぐ左、国の重要文化財の神厩舎には、全部で16匹の猿が彫られています。これらは人間の人生を表していて、三猿はそのうちの幼少期。幼少期は悪いことを見たり聞いたり言ったりせず、素直な心のまま成長させよ、という教えです。
神厩舎(神馬の厩舎)に猿がいるのは、猿が馬を守る厩神(うまやがみ)といういわれから。平成の大修理を終えて4年、16匹の猿をすべて塗り替えたのは実に65年ぶりだそうです。
東照宮はあちらこちらの彫り物に動物がいます。来る度に、それらを発見するのも楽しみの一つ。上神庫に描かれたこちらの象は、狩野探幽作といわれています。実際に象を見たことがなく、想像で描いたとか。確かに象にしては、様子が変です。
改修したばかりの陽明門、墓所、輪王寺を見学
2017年に44年ぶりの大改修を終えたばかりの陽明門はキラキラしていました。前回来た時は工事中だったので、ようやく見ることができてうれしいです。こちらにも細かな彫刻が508も施されています。神獣や、江戸時代のさまざまな生活や文化が凝縮された彫刻は、一日中眺めていても飽きません。そのことから、陽明門は「日暮の門」とも呼ばれています。
徳川家康公の眠る墓所、奥宮の入口に彫られている有名な眠り猫。こちらも色鮮やかに生まれ変わっていました。「猫がのんびり眠っていられるほど平和な世の中になりますように」と天下泰平の願いが込められています。表の猫が眠っているため、裏側ではスズメがのんきに遊んでいます。
明治時代から輪王寺・東照宮・二荒山神社の三か所が日光の参詣所とされ、二社一寺と称されています。以前は二社一寺共通拝観券という共通チケットが販売されていたのですが、現在停止中だそうで、それぞれで入場券を買って入ります。輪王寺も2019年に長年の大修理がようやく終わり、本堂の三仏堂の高さ約8.5mの仏像3体を久しぶりに拝観できました。
そのまま歩いて「明治の館」というレストランへ。明治の館は蓄音機を日本に初めて紹介したアメリカの貿易商F.W.ホーンの別荘として建造された、明治時代の石造りの洋館です。
室内も暖炉があったり、古い道具類が置かれていたりで、写真を撮らせていただきました。
西洋料理・明治の館のハヤシライスとチーズケーキが絶品
こちらのレストランではデミグラスソースを使ったお料理が有名。私はハヤシライスをいただきました。濃厚なソースなのにさっぱりした後味で、お腹がすいていたこともあり、あっという間に食べてしまいました。そして美しいチーズケーキ・ニルバーナは40年間愛されている伝統の味。フワッフワでしっとりとした口当たり、ぜひまた食べたい味でした。
さて、またバスで移動します。目的地は金谷ホテル歴史館。以前来た時はなかったような......?と思ったら、案の定2015年にオープンしたばかり。実は今日は日光で最も古い西洋式リゾートホテル「日光金谷ホテル」に宿泊します。その前に、前身となった「金谷カテッジ・イン」の歴史から知っていこうと思います。
金谷ホテルの歴史は、アメリカ人宣教医ヘボン博士(ヘボン式ローマ字の考案者)が日光を訪れた際に、金谷善一郎(かなや・ぜんいちろう)氏が自宅を宿として提供したのが始まり。そのおもてなしに感動したヘボン博士は、外国人向けにホテルを造ることを進言、善一郎氏が1873年に開業したのが「金谷カテッジイン」」でした。博士のつてで宿泊した、英国人女性イザベラ・バードが、著書『日本奥地紀行』に「金谷カテッジイン」を紹介したことで、世界的にも有名になりました。
さて、せっかくなので、さらに足を伸ばしてバスで華厳の滝まで行きました。こちらも来るたび、その迫力と同時に怖さを感じます。冬に凍って氷瀑になるところも一度は見てみたかったですが、今年は暖冬で、雪自体もほぼ積もっておらず、見ることは叶わなさそうです。
明治から続く老舗ホテル!日光金谷ホテルへ
再びバスで神橋まで戻ってきました。木造朱塗りの神橋は、二荒山(男体山)をご神体としてまつる二荒山神社の建造物。「神橋バス停」が日光金谷ホテルに一番近いバス停になります。ただ、ホテルまではそこからかなりの上り坂なので、体力を残しておいてください。
高台の場所で「金谷ホテル」として開業したのは1893年。建築家のフランク・ロイド・ライトやアインシュタイン博士、ヘレン・ケラーほかたくさんの著名人が滞在しました。
回転式扉から中に入ると、あちらこちらに東照宮を模したような彫刻が。東照宮で見た想像で作られた象みたいなものもいます。宿泊客を楽しませようとするそれらの彫刻を見るためにも、早めのチェックインがおすすめです。ホテル内はまた改めて紹介します。
私が宿泊するのは、1935年に新築された別館のお部屋です。ツインのベッドルームで天井が高く、洋館らしい風情もありつつ、和風なテイストもミックスされていて、とても落ち着きます。窓際には今も現役のスチーム暖房があります。
トイレとバスタブ回りには白いタイルが貼られ、まるで映画に出てくるような雰囲気。日本の家屋では、なかなかこういうスペースは取れないですよね。
金谷ホテルの「特製日光虹鱒金谷風ディナー」を堪能
ディナーの時間になりました。ダイニングルームは大きく2つに分かれていて、写真は奥のダイニングルーム。天井の造りや柱が見事です。他にも繊細な彫刻があちらこちらにあります。
夕食は「本日のディナー」と、「特製日光虹鱒金谷風ディナー」の2コースのうちから選べます。私は「特製日光虹鱒金谷風ディナー」にしました。
前菜は日光湯波と海老のサラダ。湯波がとにかくおいしいです。そしてかわいらしい容器に入ったオニオングラタンスープ。メインが日光虹鱒のソテー金谷風です。最後に野菜サラダ、本日のデザート・コーヒーと続きます。
以前、友人と宿泊した際もこちらのコースをいただきました。虹鱒は見た目が少しグロテスクですが、臭みもまったくなく、白身の味もしっかりあります。ぜひ白ワインとともに味わっていただきたいです。大満足なディナーでした。
金谷ホテルは一人でも宿泊できます。ほとんどツインルームなので二人利用より多少割高になりますが、気軽に贅沢気分が味わえますよ。
☆本記事に記載されている写真や本文の無断使用・ 無断転載を禁じます。また掲載情報は取材時点のものであり、最新の情報は施設等へお問い合わせください。
※この記事は2021年3月取材当時の内容です
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