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2024.01.282020年12月06日
オレオレ詐欺、キャッシュカード詐欺盗など
最新の特殊詐欺・悪質商法の種類と防犯対策は?
最近、オレオレ詐欺といった「特殊詐欺」、電話勧誘や訪問販売の「悪質商法」の手口がどんどん巧妙化しています。詐欺被害防止活動を行う一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部 の岩田美奈子さんが、最新の詐欺の手口の種類と対策、相談先を紹介します。
特殊詐欺は1日45件以上、年間被害額315億円!
警察官を名乗り「あなたの口座が犯罪に使われています。すぐに手続きをしないと引き出しができなくなります」、あるいは市役所から「医療費が還付されますので、すぐに手続きのためATMへ行ってください」などといった電話が、あなたのご両親にかかってきたら、安心していられるでしょうか?
これらは、シニア世代をターゲットにした「キャッシュカード詐欺盗」や「還付金詐欺」と呼ばれる特殊詐欺の手口です。
特殊詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして、対面することなく信頼させ、指定した預貯金口座へお金を振り込ませるなどの方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪です。
2019(令和元)年は、1万6851件の被害が確認されています。つまり、1日に45件以上も詐欺被害が発生していることになります。総被害額は、315.8億円。前年からは、件数も金額も減少していますが、依然高い水準で被害が発生しています。そして、被害者の8割以上が65歳以上の高齢者です(2019年警察庁発表)。
巧妙化・悪質化する特殊詐欺の手口
特殊詐欺は、高齢者でなくても誰でもだまされる可能性があるといっても過言ではありません。大手企業でも、被害に遭っています。詐欺師はうまく人の心理を突いてきますので、過信は禁物です。子どもを思う親心や、思わぬ返金が得られるといった予期せぬ喜びなどを利用して、人の感情を揺さぶってきます。
特に、不安や恐怖を煽ってくる特殊詐欺の手口が多く、冷静な判断ができないようにしてきます。「今日中に」とか「明日までに連絡がないと訴訟になる」といった、時間的切迫感を与えてくるのも特徴です。
特殊詐欺の手口は、その時代や時々に応じ変化するので、今流行している詐欺の手口を知っておくことが防犯対策には必要になります。
最近の手口は、劇場型勧誘のように組織化された集団が、それぞれの役回りを演じ、罠をしかけてきます。その設定は、どんどん巧妙化・悪質化してきています。
「キャッシュカード詐欺盗」や「還付金詐欺」の他にも、息子や孫をかたり、事故や会社に損失を与えるから助けてほしいと嘆いて金銭をだまし取る「オレオレ詐欺」や、身に覚えのない料金の請求や放置すると訴訟になるといったハガキやショートメールを送り付け、プリペイドカードなどを購入させる「架空料金請求詐欺」などがあります。
これまで特殊詐欺の多くは、固定電話を使って対面することなく銀行で現金を引き出させる、あるいはATMから振り込ませるといった手口で金銭を奪うものでした。ところが最近は、銀行の声がけで阻止されたり振り込み金額も制限されたりなどの対策が取られたことで、成功率が低くなりました。
そのため、特殊詐欺の手口は確実に現金化できる方法に変わってきています。加害者が、直接キャッシャカードを被害者から入手し引き出すという預貯金詐欺やキャッシャカード詐欺盗がそうです。
まず警察官などを装って電話をかけ、次に銀行協会を装い自宅にキャッシュカードを受け取りに来る(あるいはすり替える)など、1人のターゲットに対して加害者側は複数で罠を仕掛けてきます。
「特殊詐欺」の手口とは?一覧でチェック
現在、詐欺師が用いることが多い特殊詐欺の手口の一覧です。
- オレオレ詐欺
親族、警察官、弁護士等を装い、親族が起こした事件、事故に対する示談金等を名目に金銭等をだまし取る手口。固定電話を用いることが多い。
- 架空料金請求詐欺
身に覚えのない料金の請求や未払い料金があるなど、架空の事実を口実とし金銭等をだまし取る手口。メール、ネットやはがき等を用いることが多い。法的措置、訴訟、未納料金などの言葉に注意。
- 還付金詐欺
医療費や税金還付等に必要な手続きを装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により振り込ませる。固定電話を用いることが多く、12月や3月はこの手口には要注意。
- 預貯金詐欺
警察官、銀行協会職員等を装い、「あなたの口座が犯罪に使われています」などと言って、キャッシュカード、クレジットカード、預貯金通帳等をだまし取る手口。固定電話を用いることが多い。
- キャッシュカード詐欺盗
警察官や銀行協会、百貨店店員などを名乗り、キャッシュカード等をすり替えて持ち去る手口。2018年から被害が多発。固定電話を用いることが多い。
「悪質商法」の特徴と手口とは?一覧でチェック
特殊詐欺と同様気を付けたいのが、悪質商法です。悪質商法は、電話勧誘や訪問販売によって、高額な商品やサービスを契約させられる詐欺の手口です。日中自宅にいる時間が長い高齢者がターゲットとして狙われる傾向があります。
- 点検商法
無料で点検などといって屋根床下工事・シロアリ駆除・浄水器などの契約をさせる。
- 訪問購入
不用品を買い取るといって訪問し、貴金属など強引に安価で買い取る。
- 利殖商法
株、公社債、暗号資産や投資用マンションなど、儲かるなどと言って投資や出資を勧誘する。
- 送り付け商法
注文していない健康食品、海鮮、生鮮食品等を勝手に送りつけ、代引きなどで支払わせる。
- SF商法(催眠商法)
景品を進呈などといって人を集め、閉め切った会場で冷静な判断ができないようにして、高額な布団や電気治療器などを販売する。
- 原野商法
原野(山林)の所有者に、「高値で買い取ります」などと話を持ちかけ、実際は他の土地との交換契約で差額を払わされたり、整地料の請求や解約料を取られたりするなど、原野(山林)の所有者が騙される二次被害が増加している。
特殊詐欺・悪質商法被害に遭わないためにできる防犯対策は?
神奈川県警察「特殊詐欺の認知状況」によると、「平日の午前11時から午後4時台」に多く被害が発生しています。これは平日の日中、家族が出掛けた後など1人になりがちな時間帯を狙ってくると考えられます。
この時間帯の訪問者や電話は、特に用心を心掛けてください。
固定電話を主な犯行ツールに使う「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺や、強引な電話勧誘の対策として、自動通話録音機や迷惑電話防止機能の付いた電話機への買い替えをお勧めします。
これは着信があると、発信者に対して「この通話を録音します」という警告アナウンスが自動的に流れ、不審な電話を門前払いできるというものです。本人の判断や操作はないため、負担にもなりません。
行政では、このような機器の無料貸与や電話機の交換に補助金を出しているところもあります。高齢なご両親に代わって、居住地の警察や自治体に問い合わせ、申請手続きと取付けまでサポートしてあげるのはいかがでしょうか。
また、直接自宅を訪れるアポ電強盗や、悪質な訪問販売業者には、玄関を開けないで対応ができるドアフォンが有効です。取り付けがまだの方は、ぜひこの機会にご両親宅への対応をしましょう。
特殊詐欺被害かも、と思ったときの相談先は?
被害防止で最も大切なのが、誰かに相談することです。特に家族の存在は重要です。普段から連絡が取りやすいようにしておくことが大切です。同居していても、日中仕事をしていると電話に出られない場合も考えられます。
電話以外にもショートメールやLINEなどでのやり取りや、消費生活センターや警察に相談することも確認しておくのがいいでしょう。被害に遭うと金銭的なもの以外に精神的にも影響を受けてしまいます。未然防止の対策を講じておくと安心です。
- 全国共通ダイヤルの消費者ホットライン「188(いやや)」
- 警察相談ダイヤル 「#9110」
教えてくれた人
岩田美奈子さん
高齢者の豊かで安心・安全な消費生活を支援することを目的に、自身が代表理事を務める一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部(http://scmimamoriclub.org/)を立ち上げ、自動通話録音装置の無償配貸与事業、講話・講演、サギ撃退サポーターによる防止活動等、高齢者の詐欺被害防止活動に取り組む。JST-RISTEX(社会技術研究開発)「高齢者の詐欺被害を防ぐしなやかな地域連携モデルの研究開発」研究開発プロジェクトに参画。(https://defrec.jp/)
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