今日から始める50の手習い(3)

話題のこんまりメソッドや整理収納のプロに学ぶ片付け

公開日:2019.12.27

更新日:2022.03.21

知的好奇心にあふれる大人女性が、50代の今から始めてみたいこと、いろいろありますよね。そんなあれこれに、コラムニストの柚原路子さんがトライします。今回は「片付け」のレッスン。リバウンドせず、部屋も心もすっきりするメソッド習得を目指して!

片付けのコツを知ってスッキリした暮らしを実現する

仕事に家事に忙しいハルメク世代の日常。週末を迎え、一通りの片付けと掃除を終えると、部屋はもちろん気持ちもスッキリする。そんな経験をお持ちの方も多いのでは。

私自身も毎週末、嫌々ながらも片付けを終えると、部屋だけではなく頭も整理され、新たな1週間が見渡せるような気持ちになってきます。

私が現在のマンションに引っ越したのは、2016年のこと。今のところ、室内は比較的整理されている方だと思うのですが、悩みの種になっていたのはキッチン収納でした。

2畳ほどのコンパクトなキッチンには作りつけの収納棚が10か所以上あるのですが、そのいずれもが“帯に短し、たすきに長し”。その上、鍋や食器類の数も無駄に多く、収納方法が今ひとつしっくりこないまま、数年がたっていました。

また、執筆業という仕事柄、すぐに書類がたまってしまうことにも悩まされていました。情報源としてクリッピングした記事や取材先で入手した資料が自宅にあふれ、必要な書類がなかなか見つからなければ、整理しようにもまとまった時間が確保できずにいたのです。

書類の山

そこで今回、片付けと収納の課題を解決してスッキリした暮らしを実現しようと、2つのサービスを体験してみました。

一つは、「一度片付けたら、絶対に元に戻らない」という、「こんまり」こと近藤麻理恵さんが開発した「こんまりメソッド」の、ポイントがわかる「こんまり流片づけ体験セミナー」。もう一つは、インターネットで見つけたLIXIL(リクシル)オンラインショップの「整理収納サービス:半日(3時間)/1人プラン(お試し)」です。※どちらも2019年11月の取材当時のサービス・料金です。

片付けは、なりたい自分になるためのはじめの一歩

世界40か国以上で翻訳出版されているベストセラー
世界40か国以上で翻訳出版されているベストセラー

いまや世界的に有名な「こんまり」。「こんまり流片づけ体験セミナー」は、たった1時間半で「こんまりメソッド」の概要がわかるというのだから興味津々です。

WEBサイトで申し込んだ後、送られてきた受付完了メールに従って受講料5000円(2019年11月取材当時)を振り込むと、会場の住所・電話番号とアクセス方法が記されたメールが送られてきました。

今回の会場は、私鉄沿線の駅を降りて徒歩10分ちょっとの講師の自宅マンション。通されたリビングは、さすが無駄なものが全く出ておらず、スッキリと整理されています。

参加者は多いときには5~6人になるとのことでしたが、その日の参加者は私一人。最初は多少緊張したものの、講師を独り占めできるのはラッキーとばかりに、我が家のキッチン収納の悩みや、仕事柄、書類がたまる一方の現状を包み隠さずにお話しました。

セミナーの最初は、「こんまりメソッド」の「リバウンドしないための5つのステップ」について。ここでは、講師が手掛けたBefore/Afterの写真をプロジェクターで壁面に投影しながら、具体的な説明がされました。 

1.理想の暮らしを考える
(暮らしは、持っているモノと時間の使い方により規定される)
2.モノを「ときめくかどうかを基準に」見極める(手放すモノへの「ありがとう」の気持ちを忘れない)
3.適正量を認識する
(残したモノの数にときめくかどうか自問する)
4.定位置を定める
(使用後の戻しやすさや同居人との情報共有を考えたラベリングなどの工夫をする)
5.使ったら元に戻す
(戻せていなかったら、1からさかのぼって理由を考える)

2.では、「触った瞬間にときめきを感じるかどうか」で残すモノを見極めていくわけですが、講師によると、自分のときめきを信じると同時に、「自分が片付けを終えることができる」と確信することが大切だとか。

また、リバウンドしている場合は、5つのステップをさかのぼってその原因を探るという話に、なるほどと納得させられました。

5つのステップの後は、2つのワークを通して、1.2.にかかわるスキルを身に付けていきます。

まず最初は、理想の暮らしを考えるワーク。通常は「理想の朝の過ごし方を考える」とのことですが、私の場合はテレビをつけっぱなしにしがちな夜の過ごし方を考えることになりました。

「テレビを見ている時間のいくばくかを読書に振り向けたい」と理想を言うと、本が読みやすいように家具の配置を変えるなど、理想の暮らしに合わせてレイアウトを見直すことをすすめられました。

次は、「ときめきの感じ方」に関するワークです。当日の持ち物の中から一番ときめくモノを取り出すように言われたものの、1つに絞り込めずに迷っていると、心中を察したかのようにこれを見極めるためのコツを披露してくれました。

同じジャンルのモノはまとめて、「衣類→本→書類→小物→想い出の品」の順番で、集中して見極めることが大切なのだそうです。

セミナーの最後は、収納のコツについてです。ここでは同じジャンルのモノを分散させないことと、「とにかくたたむ」「とにかく立てる」という収納の2原則を教えてもらいました。

写真提供=KonMari Media Japan
写真提供=KonMari Media Japan

講師が最後に力説されていたのは、「片付けにより、自分の判断に自信が持てるようになるとともに、人生のさまざまな局面での決断力がつくようになる」との一言。

実は今回の講師には、こんまり流片づけコンサルタントとして独立する以前、周囲に次々と不幸が襲いかかり、経済的にも困窮を極める中、自身も大きなストレスを抱えるという人生の壮絶な物語がありました。

こんまりメソッドに出合い、そこから立ち直ることができたのだそうです。

心にズシンとくるその物語を聞いて、私は「こんまりメソッド」が単なる整理・収納のテクニックに留まらず、「なりたい自分になるためのはじめの一歩」であることを、しっかりと腑に落とすことができました。

経験豊富なアドバイザーと一緒に悩みを解決

LIXILオンラインショップの「整理収納サービス」は、整理収納のプロが自宅にやって来て、ベストな整理収納方法を提案し、実際の片付けを手伝ってくれるサービスです。

インターネットから申し込み、アンケートに答えると、LIXIL住生活ソリューションが選定した最適な整理収納アドバイザーのプロフィールシートがメールされてきました。

プロフィールシートには、担当アドバイザーの名前や対応エリア、資格などと合わせて写真が付いてきます。これを見ることで、室内で提供されるサービスならではの不安感が多少なりとも解消されました。その後、本人から電話をもらって日時を決定、当日を迎えました。

当日は、いくら整理収納を手伝ってくれるからといって、あまりに家が汚くては恥ずかしいと、朝から机の上を片付けたり、軽めに掃除をしたり……。そんな自分におかしさを覚えながらも、ちょっとドキドキしながら待っていると、約束の時間ちょうどにインターフォンが鳴り、写真の女性がやってきました。

玄関を上がると、手慣れた様子でエプロンをつけ、持参したルームシューズを履いて、あっという間にスタンバイ完了。リビングに移動して、あらかじめアンケートに記入した収納の悩みや要望に沿って、当日の作業の流れを打ち合わせました。

写真提供=LIXIL(リクシル)住生活ソリューション
写真提供=LIXIL(リクシル)住生活ソリューション

その後は、家の中をひと回りして、大枠でのアドバイスをもらった上で、いよいよ今回の注力ポイントであるキッチンへ。

キッチンに関する私の悩みは、「頻繁には使わないものの、捨てられない食器が多い」「大皿を高い位置に重ねて収納しているので、取り出すのが重くて大変」などなど。これらの悩みを解決する上で参考になる原則として、次の3点を提案されました。

・重いモノは下に
・頻繁に使うモノは使いやすい位置に
・同じジャンルのモノはまとめて


ちょっと考えればわかることとはいえ、そこは限られた収納スペースをめぐるパズルのような世界。プロでも、一発でベストな案が提示できるわけではなく、原則に則ってトライ&エラーを積み重ね、ベストな収納方法を編み出していくことになりました。

お約束の3時間のうち、こうして一緒に手を動かしたのは2時間半ほど。その間、自分一人では決めかねていた古い食器の断捨離をすすめてくれたり、残り物のウエットティッシュは乾燥する前に食器棚を拭くのに使うといい、などのちょっとしたコツを教えてもらったりしながら、我が家のキッチン収納は、使いやすく生まれ変わったのです。

Before
Before
After
After

「頻繁に使うモノは使いやすい位置に」という原則に則って、ラップ&ホイル類は必要な分のみを使いやすい位置に。それまで大量のストックを入れていたシンク下の引き出しには、普段使いのトレイやパン籠、コースターなどを移動しました。

これまで高い位置にあった大皿は、下の引き出しに移動
これまで高い位置にあった大皿は、下の引き出しに移動

料金は1万7600円(税込、※2019年11月取材当時)で、私の場合は後払いの振り込みを利用しましたが、クレジットカードで支払うこともできるとのことでした。

新時代の始まりに、改めてモノとの付き合い方を見直してみよう!

整理収納

「整理収納サービス」の利用から数週間たった今日、新たな収納場所がわからなくなったり、間違って別の棚を開けてしまったりすることはあっても、かつてのように思いっきり背伸びして高い所にあるお皿を取るようなことはなくなり、我が家のキッチンはグンと使いやすくなりました。
    
一方、片付けに関する私のもう一つの悩みであった書類の整理については、「こんまり流片づけ体験セミナー」のQ&Aの時間を使ってコンサルタントに相談してみました。

結果、アドバイスされたのは、蓄積された書類の山は1枚ずつ確認して所定の位置に収納するしかないものの、さらなる書類の増殖を防ぐため、持ち帰った書類は入手当日のうちに収納する、ということ。

それから数週間、このルーティンをおおむね守っているものの、所定のファイルに収まりきらないような書類もあり、これらについてはセミナーで紹介された「5つのステップ」をさかのぼることで、収納方法そのものを見直す必要がありそうです。
 

収納方法そのものを見直す

そんなこんなでこのお正月は「こんまりメソッド」に則って、仕事の上でのときめきについても今一度、考えてみようかと思っています。

50代は、人生のセカンドステージに向かうプレ世代。令和になって初めてのお正月に、みなさんも、自分の将来ありたい姿を改めて考えるとともに、それに合わせてモノとの付き合い方を見直してみては? 

週末の片付けと掃除で気持ちがスッキリするように、セカンドライフの道筋がスッキリと見渡せるようになるかもしれません。
 


A. 「こんまり流片づけ体験セミナー」
KonMari Media Japanが主催する「こんまり流片づけコンサルタント養成講座」を修了したこんまり流片づけコンサルタントが開催している公開講座の一つで、2019年11月取材時のサービス。現在は、オンラインでも参加できる形も加わり、2時間の「ワークショップ」として開催しています。
https://konmari.jp

B. LIXIL(リクシル)オンラインショップの「整理収納サービス」
水まわり製品と建材製品を開発、提供するLIXILグループ内で暮らしにかかわる課題解決を担うLIXIL住生活ソリューションが提供するサービスの一つ。整理収納のプロが自宅を訪問、要望に基づくベストな整理収納方法を提案すると同時に実際の片付けをサポートする。3時間のお試しプランから1日単位のサービスもある。サービス提供エリアは、北海道から九州まで(離島など一部地域を除く)。
https://www.care-goods.lixil-online.com

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柚原路子

ハルメク世代のコラムニスト。マーケティング・リサーチ会社勤務、フリーのプランナー&ライターを経て、マーケティング・エージェンシーを立ち上げ。最近ではコラムニストとして「異文化コミュニケーション」「トレンド」「メディア」「顧客接点」「終活」などの領域で取材・執筆も行う。

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