花屋が教えるベランダガーデニング

ベランダでも木を育てたい!オリーブの育て方

公開日:2020.10.13

更新日:2022.10.16

「花を知り、楽しむ」がコンセプトの第一園芸のWEBサイト・花毎(はなごと)の石川恵子さんが、マンションでも園芸を楽しめるベランダガーデニングをお伝えします。今回は、観葉植物として育てやすい樹木、オリーブの育て方を紹介します。

オリーブとは、どんな植物?

小豆島のオリーブ畑

オリーブは5000~6000年前から栽培されていたとされる、とても人と関わりの深い植物です。

多くの由来も残されており、聖書の一説であるノアの箱舟では、鳩がオリーブの枝をくわえて戻って来たことで、洪水が終わったことを知ることから、オリーブの葉は平和と安全のシンボルとされました。

また、ギリシャの伝説では女神アテナが人間に最も役立つものを創造したときに生まれた木がオリーブであり、神聖な木とされていました。このようなことから古代オリンピックでは勝者にオリーブの冠が与えられたそうです。

そのようなことから、縁起の良いシンボルツリーとして大人気の樹木ですが、今回はそんなオリーブをベランダで楽しむ方法をご紹介します。

オリーブの育て方、育てるときのポイント

オリーブに水やりをする方法

オリーブの置き場所

オリーブは日当たりを好みます。耐陰性がなく、寒さに弱いので日差しがある温かい場所に置きましょう。

水やりの仕方

乾燥に強い植物ですが、水切れは注意してください。鉢の土が乾いたら、鉢底から水が流れ出るぐらいたっぷりと水やりをしましょう。土が乾かないまま水やりを行うと過湿が根腐れの原因となり、オリーブを傷める原因となります。

肥料

花が咲く前の2月~3月、花が終わった後に果実が生育する6月、果実の収穫後10月~11月にバイオゴールドオリジナルなどの有機肥料を適量与えます。

実らせるコツ

ほとんどのオリーブは1本、1種類では実がなりません。異なる品種を2本以上植えることで実がなりやすくなります。ちなみに、近所にオリーブの木がある場合は、1本でも実がなることがあります。

実の収穫を期待しないのであれば、もちろん1本で育てても問題ありません。

オリーブの植え付けのコツ

オリーブの植えつけ・植え替えの時期

3月~5月または9月~10月が適期です。寒さが厳しい地域の場合は春に行うのがおすすめです。このとき、オリーブは根が浅いので支柱を立てましょう。

鉢のサイズ

苗より1~2周り大きい鉢に植え付けます。大きくしたいからといって、大きすぎる鉢に植えると生育が悪くなり、根腐れが起きやすくなります。
 

鉢の選び方

テラコッタの鉢

オリーブの雰囲気にぴったりなテラコッタの鉢は、通気性に優れていて、見た目も素敵ですが、重たく、割れやすいといった欠点があります。

重さがある鉢は強風でも倒れないといったメリットもありますが、植え替えをしながら大きく育てていくことを踏まえると、取り扱いがラクなプラスチック鉢がおすすめです。

「ナーセリーポット」で検索すると、取手付きの黒い鉢が多数見つかります。移動しやすく、丈夫なのでプロも使用している鉢です。こういった鉢であれば、プラスチックであっても、オリーブの雰囲気になじむと思います。

植え替えのタイミング

オリーブは品種にもよりますが、生育が早い植物です。大きく育てたい場合は、木の生長速度に合わせて鉢のサイズを大きくしていきましょう。

3年に1度は土の入れ替えを行いましょう。これは水やりを続けているうちに、土の有機物が水と一緒に流れて土が痩せていくためです。

このとき、鉢が大き過ぎて植え替えが困難な場合は、部分的な土の入れ替えでも効果があります。

 

オリーブの剪定のタイミングと方法

オリーブの木の剪定

生育が旺盛なオリーブは、適切な剪定で美しい樹形を保つことができます。また、余分な枝を剪定することで、風通しが良くなり、病害虫の被害を受けづらくなります。

1月~3月 強剪定の時期

オリーブの生育が休眠中のこの時期は大きな枝を切る「強剪定」が行えます。全体の樹形を大きく整えたい場合はこの時期に行いましょう。

3月~4月、9月~10月 枝の間引き

気温が上がってくるこの時期には、幹の脇から出た突発枝や、枝の流れと逆方向に付いた枝などを剪定して、全体を整えましょう。この期間に切りすぎると、実が実らなくなります。

ちなみにオリーブは同じ場所から2本の枝が発生しやすいという性質がありますので、どちらか一方を剪定しましょう。

オリーブの品種・樹形

オリーブの樹形

オリーブの樹形には大きく分けて、写真のように枝が横に向かって伸びる開帳型と、比較的垂直に枝を伸ばす直立型があります。

大きく育ったときの姿をイメージして、置き場所にあった品種を選びましょう。

鉢でも育てやすいオリーブの品種

一見どれも同じに見えるオリーブですが、栽培種だけでも1000種以上があると言われています。それぞれ、樹形や葉の形、実の生育や大きさが異なります。こちらでは比較的入手しやすく、育てやすい品種をご紹介します。

ミッション

上に向かって伸びる樹形。バランスがよく成長しやすい。葉の裏が特に白っぽいため、遠目に見ると全体がシルバーにも見える美しい品種。

ネバティロブランコ

代表的な品種、ネバティロブランコ
代表的な品種、ネバティロブランコ

葉の数が多く、フサフサな樹形になりやすい。観葉植物としても代表的な品種で、丈夫で育てやすいです。
 

ルッカ

ルッカ
よく育つルッカ

生育旺盛。1本でも結実しやすいが、木が大きくならないと実が付きにくい。

レッチーノ

気候の変化にも順応して、病害虫にも強く、育てやすい品種。

シプレッシーノ

上に向かって伸びる樹形。気候の変化にも順応して、病害虫にも強く、育てやすい品種。
 

マンザニロ

マンザニロ
マンザニロ

樹形が乱れるタイプ。生育はゆっくり。実付が良い。

上級者向けのオリーブの品種

ジャンボカラマタ

ジャンボカラマタ

寒さや病気に弱いものの、オリーブの実としては最大級の大きさの実を付ける。

ペンドリーノ

ペンドリーノ

樹勢は弱めで、枝垂れるようなシルエットになる。隔年で実付きが良い。イタリアではオリーブオイル用の品種として栽培されている。
 

バロウニ

バロウニ

樹形が乱れるタイプだが、個性的な樹形にもなる。実は大粒。

オリーブが育つ、石川さん宅のベランダの様子

オリーブが育つ、石川さん宅のベランダの様子

我が家では1本だけですが、オリーブを育てています。最初は高さ40cm程度の苗が、7年かけて1.6m程度になりました。日当たりが良ければもっと大きくなるのでしょうが、生育環境が良くなくてもゆっくりと育ってくれています。

オリーブに合わせて、ミモザ、ユーカリ、ウエストリンギア、ローズマリーの鉢を合わせて置きました。一鉢ずつだと見劣りがしても、いくつかの種類を組み合わせることで、雰囲気が変わります。こういった楽しみ方が気楽にできるのが鉢植えの魅力ですね。

秋のベランダの様子  

ベランダガーデニングの様子

初夏に植えた花苗が大きく育ち、だいぶ乱れた姿になりました。10月に入ってもまだまだ花を咲かせますが、そろそろ植え替え時ですね。

寒さに強いバジル

ハーブはとても大きく育ちました。手前は紫色のバジルですが、まだ色づきません。このバジルは寒さに強いそうなので、これから色づいていくのが楽しみです。

秋のバラ

そしてベランダは秋バラのシーズンが始まります。過酷な環境でも「ボレロ」が大きな花を付けてくれました。バラについては次回の記事で詳しくお伝えしたいと思います。

■もっと知りたい■

花毎(はなごと)

花屋の第一園芸が運営する花にまつわるコトを楽しむWEBサイト「花毎」。二十四節気とともに感じる季節の花を軸に、買うだけではない花の楽しみ方をさまざまな角度からご紹介。書籍に『花月暦』(株式会社パイ インターナショナル刊)

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