母の認知症の進行で不安に…
いきなり始まった私の介護に関わる人生(15)
兄、無言の帰宅
職場で倒れそのまま亡くなってしまった兄は、一日警察で解剖されることに。その間、私は母にどう話したら良いのか悩み抜いたうえ、伝えることに。その時の母の様子は……。そのお話です。
兄の死因
職場で倒れ亡くなったことで、兄は病院から帰宅できず警察で解剖されることに。次の日家族が警察に出向き、ようやく帰宅できることとなりました。
死因は「急性心筋梗塞」。
職場で胸が苦しいと言いながら、職場の医務室まで自分の足で行き診察を受けていた時に、大きな発作が起きたそう。救急車で都内の大きな病院に運ばれたのですが、病院に着いたときにはもう意識はなかったという状況、とにかくあっという間だったとのことでした。
母に伝える
頭が回らない状態でしたが、兄が実家に戻ってくることになりその準備をしなくてはいけないため、早く母に伝えなければなりませんでした。
「あのね、聞いて驚いちゃうと思うんだけれど」
そう言ったとたん、私は涙が止まらなくなり、その姿を見た認知症の母は「あら、なに、どうしたの! 何があったの?」と、心配そうな顔して私を見つめてきました。その母の顔を見たらさらに号泣してしまい、隣にいた主人が代わりに伝えてくれました。
「お兄さんが、昨日突然亡くなっちゃったんです」

母の言動
「ええ?? 何で?」
母はそう一言言って、言葉を失っていました。
ここまでの経緯を話し、兄が今ここにお義姉さんと向かっているから支度しようねと、伝えます。
止まらない涙を拭きながら、まさか亡くなった父が眠ったお布団にまた真っ白なシーツを敷く時がこんな早く来るとは。しかも兄のために敷くとは思いもしなかった現実を受け止めることを誰もできぬまま無言で支度をしました。
そこに兄とお義姉さんを乗せた車が実家に到着し、今にも起きだしそうな顔をした兄が運ばれてきました。
「なに、邦浩(くにひろ)じゃない! 何で? 亡くなったのはお父さんじゃないの?」
アルツハイマーの母は、先ほどの会話を忘れてしまっており、目の前に現れた亡くなった息子の顔を見て驚き、泣き出しました。それを見たお義姉さんも、張っていた糸が切れたように泣き崩れました。
「がんばろう!がんばろうね、これからがんばろう!」
アルツハイマーの母は、お義姉さんの背中をさすって、そう声をかけていました。
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あさくら さとみ
生前の父の介護を3年前に携わり、母のアルツハイマー認知症の介護に7年。介護のことを何も知らない状態から始まりました。2年前には兄が急死し不安な状況での介護。介護する側の気持ちや、認知症というものの現実などお話しできたらと思います。
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