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C型肝炎を克服して21日後に脳出血になったharumatiさん。前回は家族にお願いして、嫁入り道具の洋服だんすをリメイクしました。リメイク第二弾でも、大切な思い出の品が素敵に生まれ変わりました。
今週もまた、ログハウスへ
47年前の洋服だんすをリメイクした、サイドテーブルを置いた和室は、東側と南側の2面が掃き出し窓で、朝から夕方まで明るく、しかも涼しい。自作のサイドテーブルを置いたことで、今までほとんど使ったことがなかったこの部屋は、夫のお気に入りとなったようです。同じように東側と南側に窓がある2階の寝室兼夫の書斎は、夏の日中は暑くてクーラーなしではとても過ごせません。
主婦感覚がすっかり身に付いてしまった夫は、クーラーも扇風機さえも使わなくてすむこの部屋で読書をし、昼寝までもするようになり、「経済的で、環境にも優しい」と、ご満悦です。窓の外には大きなカエデの木が枝を広げ、より涼しさを醸し出しています。
そんな夫の様子を見ていて、解体した洋服だんすからもう一つ作ってもらいたい物を思い付きました。それは、リビング用のサイドテーブルです。不自由になった身には、必需品をごく手近に置いておくのが何かと便利。かといって、何でもかんでも、テーブルの上に置きっぱなしという状態は、私には耐えられません。それで、毎日必要な、血圧計・鉛筆・ハサミ・メモ用紙・シニアグラス・ティッシュペーパーなどを、ニトリで買ったかごにまとめ、リビングテーブルの下に置いています。
これも結構お気に入りの整理方法なのですが、ソファに座ったままそれらを取るとき、大きく腰を曲げなければならないのが難点。不自由な身にはちょっと苦しいのです。そこで思い付いたのが、以前『ハルメク 健康と暮らし』で見た、身近に置けるサイドテーブル。少し高さがあれば、しゃがみ込むことなく、物が取り出しやすい。手作りの利点を活かして、リビングテーブルの下に入れられる高さ・大きさに作り、キャスターを付ければ、必要なときだけ引っ張り出して使える。
このアイデアを夫に話すと、これまたツボにはまり、早速、今週末にも作業場のある三重県のログハウスに、出掛けることになったのです。
リメイクでよみがえった、もう一つの嫁入り道具
不便だけど、処分できない物がもう一つ寝室にありました。それは、嫁入り道具の一つとして買ってもらった、鏡台の鏡に掛けられたカバー。
当時は三面鏡の鏡台が主流で、嫁入り道具には、それを選ぶのが一般的でした。でも私は、その「主流」が苦手。あえて全身が映る縦長の一面鏡を選んだのでした。三面鏡は両面を折り畳むので、それが鏡のホコリよけとなり、カバーは必要ありません。少数派ゆえに、その一面鏡にはカバーはセットされていませんでした。母は、おめでたい赤い布を選んで、丁寧に美しい刺繍を施し、カバーを手作りしてくれたのです。
体が不自由になると、身だしなみを整えることが、一層大切になります。きちんと着たつもりでも、麻痺した右腕の袖がねじれていたり、首のあきが右にずれていたり……。朝、着替えを済ませると、必ず鏡を見てチェックしますが、背の高い鏡だけに、カバーをめくり上げるのも一苦労。何度も無理を繰り返しているうちに、裏地をとじ付けている糸がほつれてきてしまいました。そこで、もうカバーを処分して、楽に使えるようにしょうと決心してカバーを外したものの、やはり捨てることはできず、「再考用」の紙袋に入れたまま1年が過ぎました。
洋服ダンスのリメイクについて夫と相談しているときに、いきなり思い付いたのです。「そうだ! あのカバーも捨てずに活かせる!!」と。
こちらは、ごくごく簡単な作業でよみがえらせることができました。赤い布に似合いそうな額縁を買ってきて、カバーから刺繍の部分を切り取り、その額縁に入れるだけ。寝室用の素敵な額になりました。
リメイクしながら考えたこと
長引くコロナ禍、50年に一度の規模といわれながらも、毎年のように起こる大水害。私には、経済的な豊かさや効率のよさを追い求め、自然を破壊し続けてきた人間への警告とも思えるのです。我慢することの多い今、この時間こそが、本当に大切なものに、私たちが気付くチャンスなのではないでしょうか。
ログハウスでは、50年前、京都へ出てきて下宿生活を始める私のために、母が刺繍を施して作ってくれた真っ白い木綿の座布団カバーがまだ現役です。結婚するときもやっぱり刺繍入りの真っ白い木綿の座布団カバーを持たせてくれました。それもまた、今もなお現役なのです。
心を込めて手作りし、洗って、繕って、リメイクする。それは、ほんの50年前までは、日本人(きっと日本人に限らず)にとって当たり前の、「物」への向かい方だったような気がします。母の世代は、そうして戦後の大変な時代を生き抜いてきたのでしょう。
そうしたことも忘れてしまうほどに、私たちの回りには物があふれ、多くの物がゴミと化し、捨てられています。そんなことに気付かせてくれた夫と私の「リメイク旬間」でした。
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