悠々自適のリタイア生活再び~残るは海外旅行~

ルンルン気分が一転…不自由なりに楽しめる旅の模索

公開日:2019.11.29

2016年、C型肝炎を克服してわずか21日後に脳出血になったharumatiさん。以来、体に障害が残り、海外旅行が叶わない日が続いていましたが、ついにクルーズ旅に挑戦します。寄港地ツアーを選び、楽しみしていたところが一転。悲しいお知らせが。

早替わりの風景の中で

真っ赤な彼岸花

稲刈りが終わるのを待っていたかのように、畦道に真っ赤な彼岸花がぬっと現れ、咲きそろう。また、その終わりを待っていたかのように、どこに潜んでいたのかと思うほど唐突に、鈴なりに実をつけた鶴の子柿が茶畑に現れる。

そんな早替わりの風景は、毎年、8月下旬の黄金色に輝く田園風景と、11月下旬に山々が紅葉で粧(よそお)われるまでの間に、毎年現れ、私たちの目を楽しませてくれます。

でも、美しい季節の中で、私は、珍しく落ち込んでいます。

11月早々、ジャパングレイスの担当者から電話があり、10月下旬に申し込んでおいたオプショナルツアーの内の2つを、変更するように求められたのです。それは、第1寄港地中国「厦門」と、第2寄港地インドネシア「バリ島」でのツアー。「要体力」の印がついていない、世界遺産を含む観光を選んだのですが、「ものすごく混雑するし、駐車場が離れている場合もあって、歩いての移動が多くなります。皆さん、かなりのスピードで歩かれますよ。どちらの目的地にも車椅子対応のツアーもあるので、そちらはいかがですか」とのこと。

車椅子対応のツアーは、殆どが車窓観光。私は、車窓観光には興味が持てません。けれども、オプショナルツアーの実情を知らない以上、ついて行けないかもしれない、他の参加者の皆さんにご迷惑をおかけすることになってしまうかもしれない……という思いがよぎります。少しずつイメージを高めながら、私でもついて行けそうだと判断したオプショナルツアーではあったのですが。膨らんでいたルンルン気分は、一転。不自由なりに楽しめる旅の難しさに、早速ぶつかってしまったのです。

病後初めての一人でのお出かけ

10月中旬に予定されていた、ボランティアとして取り組んでいる学生の漁業体験が、台風19号の接近によって、11月2日~4日の連休に延期となったため、10月には思いがけない体験できました。

その一つが、ハルメクから募集のあった「“ポケモンGO”の健康関連効果に関する研究」
(慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科)の説明会です。送られてきたメールによると、開催場所は、阪急南方駅のすぐ前にあるホテルとのこと。

京都河原町駅から阪急電車に乗り、淡路駅で、ホームの移動なしで特急から準急に乗り換える。電車を降りてからの歩行時間は2分。これはチャンス! 脳出血発症から3年、一人で電車を乗り換えて初めての場所へ行ったことはまだありませんでした。河原町は、京都随一の繁華街。人混みでの杖歩行に、まだまだ不安は残るものの、始発駅ですし、阪急電車は、若い頃通勤に使っていた路線でもあるのです。一人で行動し、自信を高める絶好のチャンスです。

人混みを縫って阪急電車に乗り込んで座っていると、乗り換え案内のアナウンスが。目的地「南方」へは、次の駅で準急に乗り換えると聞こえたので、慌てて近くにいた若い女性に聞くと、路線図を見ながら、「その準急で南方へ行けますよ」と言ってくれたので、まだ淡路駅ではなかったけれど、慌てて準急に乗り換えました。

乗ってからもアナウンスに耳を傾けていると、大阪中心部の駅名が出てくるではありませんか。アレッと思っていると、若い男性がツカツカと歩み寄ってきて、「南方へ行かれるんですよね。この準急は、大阪市内行きですから、南方は通りませんよ。次の淡路で降りて、別の準急に乗り換えた方がいいですよ」私は、「ありがとうございます」と、お礼をいうと、淡路駅に着くや否や、飛び降りました(客観的には…杖をついてよろけながら)。
私は、幸せな気持ちでいっぱいになりました。その男性は、私と若い女性とのやりとりを、耳にして、心配してくれていたに違いありません。こうして、説明会会場に着くと、担当スタッフである若い男性の、これまた、親切なこと! たくさんの優しさに出会えたことが、どんなポケモンをゲットするよりも感動的な、初めての一人でのお出かけとなりました。

振り出しに戻った、寄港地での過ごし方

ピースポート

初めての一人でのお出かけがうまくできたことで自信がつき、ジャパングレイスより送られてきたQRコードから、iPadに着岸地点の地図をダウロードして、拡大したり縮小したりしてにらめっこ。港近くに町が開けている場合は、近場をゆっくり散策してその場の風情や人情に触れる。港周りに見所がない場合は、オプショナルツアーに参加するetc..寄港地での過ごし方の具体化を進めていたのですが、残念ながら、寄港地での過ごし方は、振り出しに戻ってしまいました。

障害を持つことの重さを、思い知らされながらも、まだテはあるはず。不自由なりに楽しめる旅の模索は出発間際まで、まだまだ続きます。

次回「助っ人の登場で、戻ってきたルンルン気分」

harumati

45歳~66歳までC型肝炎と共生。2016年奇蹟とも思える完治から、今度は脳出血に襲われ右半身麻痺の大きな後遺症が残り身体障害者に。同居する息子と夫に家事を任せての暮らしにピリオドを打ち、2021年11月「介護付き有料老人ホーム」に夫と入居。「小さな暮らし」で「豊かな生活」を創り出そうと模索中です。

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