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2020.02.072020年01月18日
貴族の館を舞台にした人間模様に笑い、泣ける
【映画レビュー】個性が光る「ダウントン・アビー」
50代以上の女性におすすめの最新映画情報を映画ジャーナリスト・立田敦子さんが解説。今回の1本は貴族の館「ダウントン・アビー」に住む個性豊かな人物たちを巡る人間模様を描いた作品です。心に響く人間味のあるドラマを織り込んだエピソードが満載です。
人気ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」が映画に!
20世紀初頭のイギリス、ヨークシャーに佇む瀟洒な貴族の館「ダウントン・アビー」。当主は、グランサム伯爵。館には先代の伯爵夫人である母のバイオレットをはじめ、米国から嫁いだ富豪の妻コーラ、娘たち、そして、執事、従者、料理人などの使用人たちが住んでいる。
2010年より放送が始まったITVの人気ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」は、これらの個性豊かな人物たちを巡る人間模様を、タイタニックの沈没や第一次世界大戦など歴史的背景を織り交ぜながら描いた群像劇である。15年にシーズン6をもって放映が終了したが、その直後から噂に上っていた映画版がついに公開となる。
舞台はシーズン6から2年後の1927年。国王夫妻の訪問が決まり、晩餐会やパレードの準備が始まる。伯爵家の長女メアリーは、かつての執事カーソンを呼び戻し、この一大イベントを成功させるため万難を排して臨む。夫婦の不和や新しいロマンス、同性愛、使用人の間でのいざこざ、陰謀、さらには相続問題とさまざまなテーマが満載だが、どのエピソードにも心に響く人間味のあるドラマが織り込まれている。
特に映画版で初めて登場するのが、バイオレットの従妹で犬猿の仲のモード・バッグショーだ。モードは、全財産をメイドに相続すると宣言し、皆を騒然とさせるが、その裏にはある秘密があった。マギー・スミスとイメルダ・スタウントンというイギリスを代表する演技派女優の対決は大きな見どころの一つだ。
イギリスの美しい風景とノスタルジーを感じさせる館を舞台にした時代ものでありながら、ときに現代的なテーマを胸に突きつけてくるのも侮れない。映画版はドラマを見ていなかった人でも楽しめる1話完結型のストーリーなのでご安心を。
1927年、英国王ジョージ5世夫妻が、ダウントン・アビーに宿泊することになり、クローリー家の人々は浮足立っていた。引退した執事カーソンも復帰するが……。国王の訪問という一大イベントを巡り、新たなロマンスや相続問題が勃発する。
監督/マイケル・エングラー
脚本/ジュリアン・フェローズ
出演/ヒュー・ボネヴィル、ジム・カーター、ミシェル・ドッカリー、エリザベス・マクガヴァン、マギー・スミス、イメルダ・スタウントン、ペネロープ・ウィルトン
製作/2019年、イギリス・アメリカ
配給/東宝東和 1月10日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷他、全国公開
今月のもう1本『男と女 人生最良の日々』
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「男と女」は、フランシス・レイの音楽とともに生き続ける恋愛映画の名作だ。本作は、名匠クロード・ルルーシュが自ら撮ったその続編。53年後、元カーレーサーのジャン・ルイの息子は、父がずっと想い続けている女性アンヌを探し出す。別々の道を歩んできた二人の再会を、過去の映像とともに描き出す。主演のアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャンの再共演が感動的だ。
監督/クロード・ルルーシュ
出演/アヌーク・エーメ、ジャン=ルイ・トランティニャン、スアド・アミドゥ、アントワーヌ・シレ
製作/2019年、フランス
配給/ツイン
1月31日(金)より、TOHO シネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマ他、全国公開
文・立田敦子
たつた・あつこ 映画ジャーナリスト。雑誌や新聞、webサイトなどで執筆やインタビューを行う他、カンヌ、ヴェネチアなど国際映画祭の取材活動もフィールドワークとしている。共著『おしゃれも人生も映画から』(中央公論新社刊)が発売中。
※この記事は2020年2月号「ハルメク」の連載「トキメクシネマ」の掲載内容を再編集しています。
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